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電子工作・DIYの製作例やノウハウを公開しています

ロジックICだけで時計を作る[製作編]

All-discrete clock

ディスクリートロジック時計とは?

ディスクリートロジック時計とは、マイコンを使わず、いわゆるDIP部品のロジックICだけを組み合わせて作った時計のことです。

写真を見て頂ければわかると思いますが、ロジックICが大量に整然と並んでおり大変インスタ映え(死語)する外観となっております。作ってみたいというストイックな方のために、製作可能なデータを公開します。

ちなみに作った経緯は、最初はとりあえずニキシー管を使っていれば何でも良かったのですが、

ニキシー管の構造上、たまに表示が変化する方が見栄えがあるなあ →
実用性も考えて温度計とかもいいけど、やっぱり時計かなあ →
どうせレトロなデバイスなんだから、とことんレトロに作ろうか →
じゃあマイコンなんて使わずに全部ロジックICで作ってみよう

…という思考の流れで5秒くらいで決めました(笑)。後悔はしていない。

仕様

重要なことですが、この時計は現代のマイコンで動作する時計に比べると機能的には大変見劣りします。GPSやNTPや電波による自動時刻補正・アラーム・ストップウォッチなどの便利機能はまったく付いてません。そういうのを望む人にはこの時計は向きませんのでご注意ください。

仕様
電源 主電源:AC6V 50/60Hz ※DC(直流)電源では動作しません
サブ(停電中):DC6〜7V + サブクロック(100/120Hz)
消費電力 約3W
表示デバイス ニキシー管(IN-12)×4本
スタティック表示方式
Nixie tube
経時動作 電源同期式
50Hz/60Hzスイッチ切り替え可能
時刻表示 ・スイッチによる12/24h切り替え可能
・常時「時:分」表示(スイッチ押下により「分:秒」表示に切り替え可能)
・コロン点滅(1Hz)
・明るさ検知による自動表示OFF(暗くなると表示OFF)
アラーム機能 なし
自動時刻補正 なし
ただし、電源同期式のためほぼずれることはありません
秒桁リセット 「分:秒」表示中に時刻設定スイッチ押下で秒桁を0にリセットできます
時報に同期させるとき便利です
停電検知表示 停電時はAM/PMを点滅表示
停電時バックアップ オプション
※停電検知回路は内蔵していますが、停電時の動作用クロック(サブクロック)は別途用意する必要があります
※停電時は時刻表示しません

製作データ

製作データは下記です。KiCadの基板データなどはGithubで公開しているのでそちらからダウンロードしてください。

※部品リスト(CSVファイル)に文字化けが発生していたため、修正しました。カンマ区切りのファイルとして読み込んでください。

リンク
回路図 retro_clock.pdf
部品リスト retro_clock_bom.csv
基板レイアウト図(部品面) retro_clock_pwb_a.pdf
基板レイアウト図(半田面) retro_clock_pwb_b.pdf
KiCadデータ(Github) retro-clock_tmct

部品を購入しましょう

まずは部品を購入しましょう。

部品リストをExcelかLibre Officeなどで開いて、自分が持っていない部品をチェックして購入します。IC類はICソケットを使って実装することをお勧めします。これだけたくさん実装するので、間違えて実装してしまうこともありますからね。

ニキシー管は消耗品なので必ずソケットを使ってください。以下のようなものです。

Nixie tube socket

汎用部品たち

部品は秋月電子通商かDigiKeyなどで購入できます。ニキシー管はAmazonとかでも購入できますし、海外のセラーからeBayなどで購入することもできます。

一式の部品を揃えるとだいたい3万円くらいかかるので、予算を確保してから着手した方が良いでしょう。

Link
秋月電子通商
DigiKey
Amazon
eBay

 

設計の詳細が知りたい!という方は下記をご覧いただくと、なんとなく設計時の様子が垣間見えると思います。

ロジックICだけで時計を作る[設計編]

基板

回路図を見ながらユニバーサル基板で製作しても良いですが、配線数が非常に多いので基板を製作することをお勧めします。

基板データは以下の仕様で作られています。

基板のガーバーデータはGithubの ¥gbr フォルダに基板のガーバーファイルが置いてありますので、そのまま発注可能です。ちなみにFusion PCBでは1枚約二千円でした。

仕様
サイズ 245mm × 240mm
層数 2層(両面)
長穴 なし
Vカット なし
シルク 部品面のみ
retro_clock-F_Cu.gtl 部品面 パターンデータ
retro_clock-F_Mask.gts 部品面 レジストデータ
retro_clock-F_Paste.gtp 部品面 はんだマスクデータ
retro_clock-F_SilkS.gto 部品面 シルクデータ
retro_clock-B_Cu.gbl はんだ面 パターンデータ
retro_clock-B_Mask.gbs はんだ面 レジストデータ
retro_clock-B_Paste.gbp はんだ面 はんだマスクデータ
retro_clock-B_SilkS.gbo はんだ面 シルクデータ(空っぽです)
retro_clock-Edge_Cuts.gm1 基板外形
retro_clock-drl_map.ps ドリルマップ
retro_clock.drl ドリルデータ

製作

基板に部品を実装する時のセオリーですが、背の低い部品から実装していきます。

抵抗・ダイオード → IC(ソケット) → コンデンサ類 → その他 の順番で実装していくと組み立てやすいと思います。メインのニキシー管は一番背が高いので一番最後です。

抵抗・ダイオード・背の低いセラミックコンデンサ類を実装した写真が以下です。

Making(1)

ICなども少しずつ実装していきます。下の写真では動作確認のため5Vレギュレータとヒートシンクも実装していますが、背が高いので順番的には最後の方が良いです。
(左中央の黒いリード線はデバッグ用にGNDを引っ張り出しているだけなので無視してください。)

Making(2)

あらかた実装すると以下のようになります。このあと、トランスやニキシー管ソケットなども実装します。

Making(3)

AM/PM・コロンのネオン管はニキシー管の高さに合うようにリード線を長くして実装します。言うまでもありませんが、リード線の片方は絶縁チューブを被せて絶縁しましょう。

電源・スイッチ類の接続

基板が完成したら電源(5V・GND間とHT・GND間)のショートチェックを行ってから、電源などを接続して動作確認しましょう。

電源を接続するとすぐに動作を開始しますが、部品が熱くなったり焦げ臭いなど異常があればすぐに電源を切り、組み立てに間違いがないことを確認します。

電源コネクタ

このコネクタから基板の電源を供給します。

AC6Vで500mA程度供給できる電源を接続してください。この時計は電源同期式なのでAC(交流)を供給しないと動作しません。

CN1
1 AC IN(6V)
2 (未接続)
3 AC IN(0V)

スイッチコネクタ

基板上にもスイッチを実装するパターンがありますが、このコネクタから操作パネルなどに引き出すことができます。

スイッチ入力はGNDに接続するとON、開放でOFFになります。基板上のスイッチしか使わない場合は何も接続する必要はありません。

CN3
1 5V
2 GND
3 FAST Switch IN
GNDに接続すると押下として認識されます。基板上のSW1と連動しています。
4 GND
5 SLOW Switch IN
GNDに接続すると押下として認識されます。基板上のSW3と連動しています。
6 GND
7 DISPLAY SECOND Switch IN
GNDに接続すると押下として認識されます。基板上のSW4と連動しています。
8 GND

 

CN4
1 DISPLAY(12h/24h) Switch IN
GNDに接続(Low): 12時間表示
開放(High): 24h表示
※基板上のSW2と連動しています。
2 GND
3 FREQUENCY(50/60Hz) Switch IN
GNDに接続(Low): 電源50Hz
開放(High): 電源60Hz
※基板上のSW5と連動しています。
※動作中に切り替えると計時誤差が生じます。
4 GND

停電用コネクタ

停電した場合用の電源と動作用クロックを外部から供給するためのコネクタです。停電時にバックアップ動作をさせない場合は何も接続する必要はありません。

CN2
1 Sub Power IN
DC6.0〜7.5Vを供給します。(直流です)
これ以上供給電圧が高い場合、通常動作時もこちらから供給する電源で動作してしまいます。
2 GND
3 Sub Clock IN
CMOSレベルの信号を供給します。
周波数はFREQUENCY Switch IN(SW5)で設定した周波数の倍です。たとえば50Hz圏であれば100Hz、60Hz圏であれば120Hzを供給します。
4 GND

調整の仕方と使い方

Power ON

電源コネクタ(CN1)にAC6Vを供給すると、ただちに動作を開始します。(スイッチの状態をラッチしている関係で、電源ON直後の表示は 0:01 になります。)

ただしRV2(明るさ検知)と周囲の明るさによってはニキシー管への供給電源がOFFになり、何も表示されないことがあるので調整します。

明るさセンサーの調整

まずはRV2を最小側(TP6の電圧=0V付近)に回しきります。ニキシー管は常時点灯状態になるはず。

この状態で部屋の照明を消し、少しずつRV2をTP6の電圧が大きくなる側に回していくとニキシー管が消灯します。これで調整完了です。(だいたいTP6は0.5〜1Vくらいになるはずです。)

もし明るさ検知は不要で常時点灯で使いたい場合は、RV2を最小側に回しきったままで問題ありません。

逆に、たとえば長期間不在にするから常時消灯したい場合はRV2を最大まで回しきってください。(目安として、TP6=3.5V以上でどんなに周囲が明るくなっても常時消灯になります。)

クロック生成回路の調整

TP3(VREF_CLK)が2.0Vになるよう、RV1を調整します。

この調整を正しく行うことで、AC電源からきれいなクロック信号を生成できるようになります。

オシロスコープがあれば、TP8(CLK_MAIN)のデューティー比が50%くらいになるよう調整すると良いでしょう。(ちなみに、デューティー比が10%とか90%とか極端でない限り、とくに問題なく動作します。デューティー比の調整は気分的なものです。)

電源周波数の設定

電源周波数に応じて、SW5(または FREQUENCY Switch IN)を切り替えてください。

通常使用中にこのスイッチを切り替えても壊れることはありませんが、分周比が変更されるため表示する時刻にズレが生じてきます。最初に設定した後は触らないことをお勧めします。

Slide switch

SW5(FREQUENCY Switch IN)
ON 50Hz(関東圏)
OFF 60Hz(関西圏)

スイッチ操作

タクトスイッチで時刻の設定や表示を変更できます。

電源投入後、時刻を設定するまではAM/PMコロンが点滅して停電を示したままになるので、必ず時刻を設定して使用してください。

Push switch

SW
SW1
(FAST Switch)
FASTスイッチ
「分」桁が高速で増加します。
押し続けることで、1秒間に50Hz圏では50分、60Hz圏では60(つまり1時間)分だけ増加します。
SW3
(SLOW Switch)
SLOWスイッチ
「分」桁が低速で増加します。
押し続けることで、1秒間に2分だけ増加します。
SW4
(DISPLAY SECOND Switch)
SECONDスイッチ
通常は「時:分」が表示されていますが、このスイッチを押下している間は「分:秒」が表示されます。
このスイッチを押下している間に FASTスイッチ または SLOWスイッチ を押下すると、「秒」を0にリセットすることができます。時報などに合わせて押すと、時刻をピッタリ合わせることができます。
SW2
(DISPLAY Switch)
12h/24h表示スイッチ
12時間表示か24時間表示を選択できます。
OFFで12時間表示、ONで24時間表示になります。
SW5
(FREQUENCY Switch)
動作周波数切替スイッチ
上記「電源周波数の設定」を参照してください。

停電検知

電源が遮断されるなど、回路にリセットがかかり表示している時刻が正確でない可能性がある場合、12h/24h表示設定によらずAM/PMネオンが1Hzで点滅します。

FASTまたはSLOWスイッチを押下する(=時刻設定を行おうとする)と点滅が止まります。

サブクロックと停電用電源の供給

CN2から、停電時に供給する電源と動作クロック(サブクロック)を供給することができます。

停電したらその都度時刻を設定し直すからいい、という場合は何も接続する必要はないです。

この機能を使う場合、停電検知によりただちに電源と動作クロックが切り替わるので、これらはAC電源で動作時も常に供給し続けておく必要があります。

CN2  
供給電源
SUBPWR
DC 6.0 〜 7.5V
※DCです。
CN1から供給されるAC電源が遮断されると直ちにこちらの電源に切り替わります。
供給電源が7.5Vを超えると、通常動作時もこちらからロジック電源が供給されてしまいます。
7.5V未満となるよう注意してください。
※停電中は表示は消えたままです。
サブクロック
SUBCLK
停電した場合に、時計動作を継続するためのクロック信号を供給します。
CMOSレベルの信号を供給してください。
周波数はSW5で設定した周波数の倍です。たとえば50Hz圏であれば100Hz、60Hz圏であれば120Hzを供給します。

サブクロックは50Hzなら3.2768MHz、60Hzなら3.93216MHzを1/32768させると得ることができます。

このサイトでは公開しませんが、基板には蛇の目領域を用意しているのでそこに回路を組み立てることもできます。作りたい方はぜひ作ってみてください。

最終更新: 2021-01-30
作成: 2020-11-30
  • 【製作記事】ロジックIC ニキシー管時計

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