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LEDドライバ CL0116とはナニモノなのか?

昇圧機能付きLEDドライバ CL0116

CL0116は太陽電池などから出力される0.8~3.0V程度の電圧を電源として、青色LEDなどVf(順方向電圧)が比較的高いLEDを点灯させるためのICです。
太陽電池を内蔵して周囲が暗くなると点灯する、いわゆる ソーラーガーデンライト をワンチップで構成できるように以下のような機能を内蔵しています。

  • 昇圧回路
  • LED駆動回路
  • 二次電池(NiCd電池またはNiMH電池)に対する充電制御回路
  • ソーラーセルからの電圧が低下する(=周囲が暗くなる)と点灯開始させる点灯制御回路

まさに至れり尽くせり。しかも秋月電子から非常に安価に入手できるため、電子工作DIY界隈では比較的メジャーなICです。

CL0116

秋月電子通商 http://akizukidenshi.com/catalog/

…なのですが、仕様書に詳細が一切書かれていないため ナニモノなのかよくわからない という不思議なICでもあります。
仕様通りに使えば仕様通りの物は作れますが、価格が安価でそれなりの機能を内蔵しているので他の用途にも活用したいところ。とくに昇圧機能は価格を考えると大変魅力的ですし、せっかくなので色々応用してみたくなりますね。
というわけで、いろいろな回路で昇圧機能を評価してみました。

とりあえず評価結果を

どうでもいいから結果をよこせ、というタイパ重視で生き急いでいる方のために結論を先に書いておきます。

  • CL0116は定電流LEDドライバである
    だからLEDのVf(順方向電圧)によらず様々なLEDを直結しても壊れない。
    ネットでは「Vfを測定して制御している」と書いてあったりするが、そんな高尚なことはしておらず、平均電流が15mA程度になるよう出力電圧にフィードバックをかけているだけ。
    出力電圧は約130KHzの矩形波のため、何の工夫もせず直接なにかの電源として使用することはできない。
  • 一応昇圧型DC-DCコンバータとしても使える
    回路を工夫すれば出力電圧3V程度の昇圧型DC-DCコンバータの代わりにも使えるが、負荷電流が変動する場合はICの定電流動作によって出力電圧が安定しなくなる。
    15mA程度かつ負荷変動が少ない用途であれば実用になるだろう。
  • インダクタのインダクタンスは330uHがよい
    このICは十分な電流駆動能力があるため、インダクタンスが大きいインダクタにも十分にエネルギーを蓄えることが可能。470uHを選択しても良好な結果が得られる。
    ただし大きすぎるとインダクタの外形も大きくなるのでスペックシート通り330uHが良いだろう。
  • インダクタのインダクタンスが小さいと消費電流が大きくなる
    220uHが磁気飽和を起こさない下限値と思われる。
    これ未満だとインダクタが磁気飽和を起こし、昇圧効率が大幅に低下する。

回路例(1): LED1本を点灯させる

普通に1本のLEDをドライブするための回路は仕様書にある通りの回路でまったく問題ありません。
あえて回路図を挙げると以下の通り。

CL0116回路(1)

回路例(2): LEDを複数本点灯させる

あまりネットには載ってませんが、たくさんLEDを点灯させたい場合は以下の回路図のようにLEDを直列に接続しましょう。
Vfの合計が10V程度…白色LEDなら3個程度までは実用的な明るさで点灯します。それを超えると十分な明るさで点灯しないか、まったく点灯しません。
直列接続のためすべてのLEDに同じ電流(約15mA)が流れることには注意が必要です。

CL0116回路(3)

ちなみに複数のLEDを並列に接続するとうまくいきません。
なぜかというと、もっともVfが低いLEDに合わせて出力電圧が制御されるようになるため各LEDに流れる電流にばらつきが生じ、それが輝度のばらつきとなるためです。

回路例(3): 昇圧型DC-DCコンバータとして利用する

LEDを点灯させるためではなく昇圧型DC-DCコンバータとして使用する場合、一般的な昇圧回路と同様にショットキバリアダイオードによって整流し、コンデンサによってリップルを平滑します。
ただし既述の通り負荷電流の変動がある場合、ICの定電流動作によって出力電圧が安定しなくなるため用途には注意が必要です。
ネットではリニアレギュレータを取り付けて電圧の安定化を図っているものもありますが、リニアレギュレータ自体が電流を消費する上、ショットキバリアダイオードのVfも含めると0.5V以上も電圧が低下するので昇圧電源回路としての効率は著しく悪化します。
意地でもこのICを使いたい!!という意図でもない限りは別の昇圧ICを利用した方が良いでしょう。

CL0116回路(2)

それでは次の章から各評価結果の詳細を示していきます。

LEDのVfによる出力電圧の変化

Vfが異なるLEDを接続したとき、それぞれどのように出力電圧波形が変化するか調べてみました。
検証用の回路は以下の回路とし、LEDは Vf≒2.0Vの黄色LED と Vf≒3.2Vの白色LED を使用しました。

CL0116回路(5)

まずは黄色LED。
いったん電圧が跳ね上がり、その後すぐにほぼLEDのVfと思われる電圧に落ちる、という動作を130KHz程度の周波数で繰り返しています。

CL0116:黄色LED駆動時の出力波形

続いて白色LED。
こちらもいったん電圧が跳ね上がり、その後すぐにVf近傍と思われる電圧に落ちる動作を繰り返しています。

CL0116:黄色LED駆動時の出力波形

これらは定電流電源でLEDをパルス駆動したときに見られる電圧波形に酷似しています。
どうもCL0116に内蔵されているLEDドライバ回路は ただの定電流電源 ではないか?と推測できます。

 CL0116にLEDを直結できる理由

電源にLEDを接続する場合、電流を制限する目的で抵抗を介して接続します。
CL0116はLEDを駆動するための電流制限機能が内蔵されているので、抵抗なしで直結することができます。
波形からの推測ですが約10~15mA程度の電流になるよう制御されているようです。

抵抗負荷を駆動したときの出力電圧

じゃあLED以外を繋いだらどういう波形が出力されるのか?調べてみました。
以下の回路の R を 560Ω・330Ω・100Ω と変化させたときの出力波形を示します。

CL0116回路(6)

大変わかり辛いですが、負荷が軽い(=抵抗値が大きい)、すなわち電流が流れにくいほど電圧を上げて電流を流そうとしていることがわかります。
やはりCL0116のLEDドライバ部分は定電流駆動動作をしている可能性が高いと言えます。

CL0116:抵抗負荷時の出力波形

インダクタを変えたときの消費電流変化

昇圧回路においてインダクタは「逆起電力によって電源電圧より高い電圧を生成する」という非常に重要な役割を果たしており、インダクタ選定の悪さは昇圧効率の悪化(たとえば 消費電流の割には電圧が上がらない など)という形で現れます。
使用するインダクタの良し悪しについてはネット上で様々な意見が交錯していますが、結論から言うとCL0116には 仕様書通り330uHのマイクロインダクタが無難 です。
以下の回路で L(インダクタ) の種類を変えたとき、消費電流がどのように変化するかを調べてみました。

CL0116回路(4)

 電流値について

ここで示す電流値は一般的なデジタル電流計で計測した値であるため、均(なら)された値です。
昇圧回路に特徴的なパルス状の電流はこの数倍の電流が流れていることに注意してください。

結果は以下の通り。
100・220・330はマイクロインダクタ、(T)68・(T)100・(T)220・(T)470はトロイダルコアを示しますが、いずれもインダクタンスが大きいほど消費電流が少なくなる=効率が良くなるという傾向が見られました。
ただし大きければいいというわけでもなく、普通はどこかでインダクタの直流抵抗が無視できなくなり効率が低下に転じるので程々の値が良いです。
また、トロイダルコアは巨大であるため機器の小型化に適さないという欠点もあります。仕様書通り 330uHのマイクロインダクタ を使用しておけばまったく支障はないでしょう。

インダクタと消費電流の関係

昇圧型DC-DCコンバータとして使いたい!!

ここまで読んた有識者の方なら CL0116の機能は機器用の定電圧電源としては適さない ことが十分おわかり頂けたと思いますが、それでもコスパが魅力的すぎてどうしても使いたい!という方のために回路などを紹介しておきます。
ショットキバリアダイオードで整流して後段のコンデンサで平滑する、という極めてオーソドックスな昇圧回路です。
ネット上の回路ではショットキバリアダイオードに 1S4 を使用しているものが多いですが、どうせほとんど電流なんて流せないので BAT43 で十分です。

CL0116回路(2)

電源電圧1.5V・負荷としてVf=3.2Vの白色LEDを接続しているとき、平滑後の電圧波形(青色)と平滑前の出力波形(赤色)を以下に示します。
電圧としては出力電流が15mA程度となる2.7V程度で落ち着いている模様。ちなみに無負荷だと5V以上出力されます。

CL0116:白色LED駆動時の出力波形と平滑後の電圧

なんだわりと安定してるな…という印象を受けますが、これはあくまで負荷が一定であればこうなるという例。
たとえばマイコンの電源として使ったりするとI/Oを制御しただけで電源電圧が変動し、場合によってはパワーオンリセットが掛かるでしょう。
非常にクセが強くて使いづらい回路であるため、基本的には定電圧電源として使うことは避けたほうが無難です。

 イルミネーションLEDの電源として使える?

結論から言うと、秋月電子で売っているイルミネーションLED(OST1MAEDD1Aとか)はこの回路を電源として使っても動作します。
スペックシート上ではこれらの類のLEDは3.5V以上を供給しないと動作しないことになっていますが、実際は2.5V程度あれば十分動作するようです。
ただし動作中は点灯するLEDの数(=消費電流)が大きく変動するため、それに合わせて電源電圧がかなりダイナミックに変動します。よくこれで動いてるなあ…と感心するくらい…。
ちなみに整流・平滑をせずに接続した場合は正常に動作しません。

LEDの数を増やしたい!!

CL0116の動作は 一瞬だけ高い電圧 が出力され、続いて15mAくらい流れるように電圧を下げる制御が働きます。
ということは、LEDを直列に接続したときVfの合計がこの 一瞬だけ高い電圧 より小さければ、CL0116の制御可能範囲に入るため理論上は何本でもLEDを点灯させることができます。
以下に3本のLEDを接続した回路例を示します。

CL0116回路(3)

実際は何本までいけるかというと、Vf=3.2Vの白色LEDなら3本程度までは明るく点灯します。(4本は点灯はするが暗い)
つまりVfの合計が10V程度までなら直列に接続することでLEDの数を増やすことができる…ということですかね。

ちなみにLEDを3本直列に接続したときの出力波形は以下のようになります。
波形が明らかにおかしいので330uHのインダクタではインダクタンスが不足している模様。効率もかなり落ちていることでしょう。
手持ちがないので試していませんが、もっとインダクタンスが大きいインダクタを使えば効率が改善されると予想されます。

CL0116:白色LED3本駆動時の出力波形

まとめ

CL0116はナニモノなのかを評価によって探った結果、LEDドライバ部分はごく一般的な 昇圧機能を内蔵した定電流電源 であることがわかりました。
非常に用途は限られますが、他の電子回路の電源として利用することも可能です。
この記事の情報をもとに、ほかにもいろいろな用途を考えてみても楽しいかもしれません。

最終更新: 2020-04-26
作成: 2025-04-26
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