【ウインカーをLEDに】正しくハイフラ対策をしよう
ハイフラまぢウザいんですけど。
車のありとあらゆる電球をLEDに変えて「綺麗だろ?これLEDなんだぜ?」ていうDIYは割とよく聞く話ですね。
その中で最も厄介なのがウインカーランプのLED化です。
ウインカーランプを駆動する回路は ハザード系 と 方向指示系 の2系統に分かれていて、そのうち方向指示系の点滅回路は電球自体が点滅回路の一部として組み込まれています。
単純にLEDに交換しただけだと回路の時定数が狂うため、以下のような現象(いわゆる「ハイフラ」)が起きます。
- 一瞬だけ点灯するがその後はまったく点灯しない
- 激しく点滅する
- 点滅はするが周期が安定しない
- 点灯しっぱなしになる
これらはいずれも電球に比べてLEDが著しく省電力であるために起こる現象であり、回避手段として「ハイフラ防止抵抗」と呼ばれる擬似負荷を付けることが一般的です。
ただ、この「ハイフラ防止抵抗」は電球と同じだけの電力を熱に変えて消費させる物なので尋常でないほど発熱します。
かなりの発熱量のため部品選定や取り付け位置などが非常に重要なのですが、ネット上でハイフラ防止抵抗を扱った記事を見ると 車載でその部品選定はヤバい! とか それ絶対最大定格ギリギリ! とか、電子回路の設計ができる人間から見ると危険にも程があるな…と感じたためこの記事を書くことにしました。
「安全にハイフラ対策をしたい!」「LED化の参考にしたい!」など考えている人はぜひご一読くださいませ。
なお、この記事では12V車を対象としています。トラックなどの24V車に使いたい場合は必ず抵抗値を倍にしてください。
(余計なお世話だバカ野郎!な方はここでさようなら…)
ハイフラ対策の選択肢
ハイフラ対策にはハイフラ防止抵抗を付ける他にも色々選択肢がありますが、この記事では 電球1個につき6Ω・定格50Wのメタルクラッド抵抗を取り付ける ことを推奨します。
なぜそれを推奨するのか?も含め、個人DIYの範ちゅうで採れる選択肢を以下に挙げてみました。
(1)ハイフラ防止抵抗を付ける
LEDの消費電流の少なさがハイフラの要因となるため、LEDの代わりに電力を消費してやる物(いわゆるハイフラ防止抵抗)を付けてやろう、という考え方です。 最も一般的かつ現実的で、この記事でも推しな方法です。

メリット
- ハイフラ防止抵抗(メタルクラッド抵抗器)は比較的安価に入手できる。
- 配線が簡単。
- 取り付け時に発熱対策をきちんとすればノーメンテナンスで運用も可能。
- LEDの寿命が長い。(ほぼ無交換)
デメリット
- ハイフラ防止抵抗が尋常でないほど発熱する。
取り付け位置・方法にはかなり気を遣う必要がある。 - ハイフラ防止抵抗が電球と同じだけ電力を消費するため、省電力化にはならない。
(2) 見えない位置に電球も付けておく
ハイフラ防止抵抗ではなく、見えない位置に本物の電球を付けちゃえ!という考え方です。
LED化が一般的になり始めた頃によく採られていた方法です。

メリット
- 必要な部品は電球のソケットと元々付いていた電球だけ。最も安価に施工できる。
- 配線が簡単。
- LEDの寿命は長い。(ほぼ無交換)
デメリット
- 電球は取り付け場所をかなり選ぶ。
外から見えない、電球の発熱が問題にならない、かつ電球が割れない位置に取り付ける必要がある。 - 電球が球切れを起こした場合は電球を交換する必要がある。
- 当然ながらまったく省電力にはならない。
(3) ハイフラ防止抵抗内蔵LEDを使用する
世の中には「ハイフラ防止抵抗内蔵LED」というものも市販されています。
その名の通りハイフラ防止抵抗を内蔵しているので、余計な配線を一切せず電球を交換するだけでLED化することができます。
…が、はっきり言ってまったくお勧めしません。

メリット
- 取り付けが非常に簡単。もとの電球と交換するだけ。
デメリット
- LEDの寿命はかなり短い。
尋常でないほど発熱するため、早ければ数ヶ月、たいてい1〜2年程度で破損するので交換が必要。(突然ハイフラ・不点灯・ちらつきなどが起き始める)
冷却ファン内蔵、という製品も同様。あんな小さなファンで冷却しきれるわけない。 - 電力を消費させる目的でLEDにかなり電流を流しており、対向車・後続車両から見るとかなり眩しい。
直視すると目がくらむほど眩しい製品も「車検対応」として売られている。そりゃ輝度の上限は設定されてないけど…。 - まったく省電力にはならない。
これはヤバい製品!(※悪い意味で)
まともな電気的知識を持っている人なら、悪い意味でヤバい製品なのはすぐわかるでしょう。
知り合いが「買って半年ほどでハイフラが起きるようになった!なんだこれ!!」と言って譲ってくれた製品を入手したので、試しに安定化電源に繋いで評価してみました。

安定化電源を接続して12.0Vを供給すると1.7A程度の電流が流れ込み、「暴力的」という表現でも足りないほどの輝度で点灯します。(※上の写真は電圧を8V程度まで落として輝度を下げた状態で撮影しています。これでもかなり眩しい。)
5mほど離れても直視すると目がくらむどころか、眩しくて目を閉じてもまだ眩しいと感じて顔を背けたくなるほどの明るさです。迷惑この上ない…こんなモン売るな。
で、点灯したまま放置しているとたったの数十秒ほどで素手で触れないほど高温になります。
さらに放っておくと2分ほどで徐々に輝度が落ち、消費電流もかなり低下していきます。おそらくLEDに内蔵された電源回路の保護機能(高温保護)が働いているためと思われますが、この状態でウインカーを出すと間違いなくハイフラが起きるでしょう。数分ハザードで停車した後にウインカーを使うとハイフラになる、というのはおそらくこの状態ですね。
ちなみに、LEDは高温で点灯すると激しく劣化してLED素子自体の消費電流が増えていきます。
中身のLED素子の消費電流が増えすぎて、点灯初期から電源回路の保護機能が働くほどの電流が流れ始めるとハイフラが起きます。これがいわゆる「LEDが壊れた」という状態と思われます。
このLED、眩しさ以外にも問題があります。計算するとわかりますが、12V × 1.7A = 20.4W です。これがほぼ熱に変わります。
20Wの発熱なんて大したことない、と思われがちですが、電子工作で一般的に使用されるはんだごては20〜30Wです。 保護機能ではんだごて(約300℃)ほど高温にならないよう制御されていますが、保護状態になると消費電力が落ちてハイフラになるので機能を果たさなくなります。
何が言いたいかというと、明らかに欠陥がある製品だということです。
「それでもお手軽だから買って使う」「消耗品として定期的に交換する」というなら止めはしませんが、そもそも眩しすぎるので耐熱アルミテープなどで半分ほど覆って使うようにしましょう。
(4) レギュレータを付ける
市販のハイフラ防止レギュレータを取り付ける方法です。

「中に何が入ってるの?」「どういう原理?」と疑問に思う方も多いと思うので軽く説明しておきますと、中身は昇圧回路(いわゆる「昇圧レギュレータ」)が入っています。
本来ウインカーランプで消費されるはずの電流を吸い込んでちょっとだけ昇圧し、バッテリー側に戻す、という動作をします。
ウインカーランプに流れるはずの電流はバッテリー側に返されるので、消費される電流はLEDの消費電流とレギュレータ自体の消費電流+損失電流分だけとなり非常に省エネです。
…と書くと「これイイ!!」と思うのですが、車なんて電源電圧がかなり変動する・温度変化も過酷・振動にも晒される、と非常に条件が悪いのです。
このような回路を安定して動作させるのは至難の業で、やはりかなりトラブルが多かったのか現在は製造中止になっています。たまにオークションなどで高値で取引されていますが購入しない方がいいでしょう。
もう市販されていないのでこれ以上詳しくは説明しないことにします。
(5) ウインカーリレー(またはシャント抵抗)を交換する
ここまでの対応は駆動される側(電球やLED側)の対応でしたが、そもそもハイフラが起きないように駆動回路を変えてしまえ、というのがこの方法です。
- ウインカーランプがウインカーリレーによって駆動されている車種
⇨リレーをハイフラ防止対策が行われているリレーに交換します。 - メーター内のマイコンで制御している車種
⇨メーター内にある電流検出抵抗の定数をたとえば10倍くらいの抵抗値に変更します。
これらの方法は根本的な対策になる反面、車両を大きく分解・改造する必要がありかなりハードルが高いです。
とくにメーターの分解は車両の走行距離改ざんが疑われることがあり、車両の中古買取を拒否されたり安く買い叩かれたりと大きなリスクを伴います。
いずれにしてもこの方法は車種によってやり方が大きく異なるためこの記事では触れません。
ハイフラ防止抵抗の選定
さて、ここからは推しの「(1)ハイフラ防止抵抗を付ける」を詳しく説明していきますが、ハイフラ防止抵抗に使える大電力抵抗器は以下の写真の通り色々な種類があります。

この中で、約21W程度の消費電力に耐え、かつ比較的小型であり一般的に入手可能なものは「メタルクラッド抵抗器」か「セメント抵抗器」のほぼ2択になりますが、後述の物理的・熱的な制約により「メタルクラッド抵抗器」ほぼ一択になります。
以下にそれぞれの外観と特徴を示します。
| 外観 | 特徴 |
|---|---|
メタルクラッド抵抗器![]() |
ヒートシンクの中に電気的な抵抗を持った巻線が入っており、熱伝導耐熱樹脂で固めてあります。 巻線なので振動や衝撃に強く、放熱性も比較的良好であるため200W程度までの定格電力の抵抗器としてはよく利用されます。 |
セメント抵抗器![]() |
電気的な抵抗を持った巻線をセメントで固めてあります。 安価で比較的大電力にも耐える一方、材質がセメントであるため衝撃に弱く放熱性も良くはないです。定格としては40W程度までが一般的。 |
どちらの抵抗がよい?
この記事では メタルクラッド抵抗器 を強く推します。 セメント抵抗器は衝撃に弱く、放熱性も良くない からです。
なぜセメント抵抗器が推奨されないのか、参考例として TE Connectivity 社のセメント抵抗器 SQB シリーズの仕様書抜粋を示します。
SQB40W に 約21W(すなわち部品の最大定格の約52%) の負荷をかけたとき、部品の表面温度が何℃上昇するかを示したグラフです。赤線で示す通り部品の表面温度は200℃上昇することがわかります。
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ここで重要なのは、このグラフが示すのは 上昇する温度であり「何℃になるか」ではない ということです。
たとえば25℃の環境で使えば225℃になりますし、60℃の環境で使えば260℃になります。(※60℃の環境というと極端に思えますが、真夏の炎天下では十分にありえる温度です。)
さらに悪いことに、セメント抵抗は熱抵抗が大きいため放熱板などを取り付けてもほとんど放熱が効きません。ハイフラ防止抵抗としてセメント抵抗器を選択した場合、このような高温に繰り返しさらされるため著しく劣化が進み最終的には焼き切れてしまいます。
一方、メタルクラッド抵抗器の例として TE Connectivity 社の THS50 シリーズに同様に 21W の負荷をかけたとします。
以下のグラフの通りヒートシンクで十分に放熱できていれば70℃程度しか温度は上昇しません。(それでも70℃くらいは上がるんですけど。)
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メタルクラッド抵抗器は200℃以下での使用が推奨されているため、たとえ60℃環境下で使用して130℃まで上昇したとしても十分に余裕がありますね。
また、アルミ製ヒートシンクが付いているため衝撃や温度変化に強いという特徴もあります。
これがメタルクラッド抵抗器を推奨する大きな理由の一つです。
何Ωがいいの?
この記事では 6Ωを強く推奨 します。
前後のウインカーランプをLED化するために 3Ω の抵抗取り付けキットも販売はされていますが、12V で 3Ω の負荷 だと 4A(48W) の電力を消費します。
たいてい 50W の抵抗器なので、これでは部品定格ギリギリです。
また、たとえメタルクラッド抵抗器でも 120℃ くらい上昇するため相当慎重に取り付け位置を決める必要があります。
…そんなに気を遣うなら 6Ω の抵抗器を2つ並列に付けた方が安全です。
これなら発熱が 約20W ずつ分散されるので取り付け位置に過剰に気を遣う必要はなくなります。
取り付ける位置と方法
6Ω・50W の メタルクラッド抵抗器 と決めたら次は取り付け方法です。
既述の通りかなり発熱するため十分に放熱可能な部位に取り付ける必要がありますが、車体にはわりと平面の部位がない ので取り付けが難しいです。
というわけで下写真のように抵抗器とヒートシンクをモジュール化したものを製作し、これを車体にねじ止めする方法を推奨します。

まとめ
ハイフラ防止抵抗の選定と取り付け方法を紹介しました。
もしLED化でハイフラに悩んでいる場合は、この記事をぜひ参考にしてみてくださいね。

