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【簡単長寿命!】ニキシー管の点灯の仕方

ニキシー管って何?

このページに偶然辿り着いて、「ニキシー管って何それ美味しいの?」な方もひょっとしたら居るかもしれないので簡単に説明しておきます。

ニキシー管というのは大昔に使われていた、数字を表示するためのデバイスです。現代でいうところのセグメントLEDのようなポジションですね。

しかし放電管の一種であり駆動のために高電圧が必要であることや、機器の小型化に適さない、消費電力が大きいなどの理由によって、現代では完全に表舞台からは姿を消しました。

というわけで、ニキシー管はすでに量産はされておらずデッドストックを消費し尽くしたら世界から消えてしまう存在です。

…しかし見てください、このノスタルジックな光を!

Nostalgic nixie tube

ボーッと淡く光るニキシー管。見ているだけでも癒やされますねえ。

ニキシー管を入手する

ニキシー管自体はこの記事を書いている2020年現在ではAmazonでも購入できますし、ネット上に専門店もあったりと比較的容易に入手可能です。(※とはいえ、年々入手性は悪くなってますし入手できる管の種類も少なくなってきています。)

Amazon ニキシー管

もっと安く大量に入手したい!ということであれば、eBayで購入することもできます。

eBay ニキシー管

eBay

値段的には、以前は秋葉原のジャンクコーナーで1本数十円で投げ売りされたりしていました。

しかしとあるゲームで世界線を示すメーターなんぞに使われたのを機に人気が大沸騰。それに伴い値段も高騰し、この記事を書いている2020年現在では1本1,000円なら安い方、というような価格になっています。

ニキシー管の点灯に必要なもの

ニキシー管を入手したら、さっそく点灯させてみたいですね。以下のものを用意しましょう。

  • 200Vくらいの直流電源
    どうすればいいかわからない場合はこの記事を参考に。
  • 50kΩ〜100kΩ(0.5W)の抵抗

点灯させるだけならそう難しくはありません。以下のように接続すればなんとなく光ってくれるでしょう。

Nixie tube basic circuit

抵抗値は大きすぎると、光らない・文字の一部だけ光る・文字の一部が不規則に点滅する、という状態になります。
その場合は10kΩずつくらい抵抗値を減らしていくとよいでしょう。

くれぐれも気を付けないといけないのは、抵抗などの電流制限は必須 ということです。「スペックシートに書いてある供給電圧を掛ければ光るだろう」と早合点して電源に直結するとニキシー管が一瞬で死にます。場合によっては電源も過電流で死にます。これは放電管の特性によるものです。(後述)

200V程度を印加した状態で40kΩ程度まで落としてもまったく点灯しない場合、電源回路がおかしいか、管が死んでいるか、接続が間違っているか、のいずれかの場合が多いです。

ちなみにスペックシートの意味

どうせならニキシー管のスペックシートも見てみましょう。重要なのは主に下記のパラメータです。

点灯させて遊ぶ程度なら知らなくて良いですが、長持ちさせたいとか安定させたいとか思うなら知っておいた方が良いでしょう。

項目 意味
Power supply voltage(V) 供給電圧
ニキシー管の電源として用意してほしい電源の電圧のことです。
参考程度であり大して重要ではありません。
Lighting voltage(V) 点灯開始電圧
放電が始まる電圧のことです。
「≦170V」とか書いてあったりしますが、これは「170V掛ければ十分に放電が始まって点灯するから、170Vは印加した方がいいよ」という意味です。
Operation voltage(V) 点灯中電圧
定格電流で点灯させたときニキシー管の両端にかかるだいたいの電圧です。
抵抗を介してニキシー管を点灯させているとき、抵抗の両端には(電源電圧)-(点灯中電圧)の電圧がかかるので、抵抗器に必要とされる定格電力を計算するときに参考値として用います。
Operation current(mA) 点灯維持電流
いわゆる定格電流です。
この電流を維持するように抵抗を決めます。

点灯開始時と点灯中でなぜ電圧が変わるのか、放電管の特性を知らない人にはさっぱりわからないと思うので一応説明しておきましょう。

放電管は電極間に電圧を掛けて放電させるのですが、ここでは電極間の電圧を0Vから少しずつ電圧を上げていったときの挙動を考えます。以下のグラフを見ながら読むと多少理解は捗ると思います。

Discharge tube: Voltage and Current

少しずつ電圧を上げていっても、「ある電圧」に達するまでまったく電流が流れず点灯もしません。しかし、「ある電圧」に達すると放電が始まり、とたんに電流が流れるようになり点灯が始まります。(上図でいうところの、電圧が一番山になっている部分)

その「ある電圧」というのが上記でいう 点灯開始電圧 です。

点灯開始電圧に達するとほぼ際限なく電流が流れるようになりますが、放っておくと電流が流れすぎて電極が破壊されてしまう(電極が過熱して溶けてしまう)ので、電極が破壊されず かつ 点灯(放電)が維持できる電流に抵抗などで制限します。このときの電流のことを 点灯維持電流 といいます。(上図でいうところの、電流が平になっている部分)

電流が制限されるので放電管の両端の電圧は点灯開始電圧より低くなります。この電圧が 点灯中電圧 です。あまり電流には依存せず、だいたいある電圧に落ち着く傾向があります。(上図でいうところの、電圧が平になっている部分)

このように、正常に機能している放電管は 「点灯維持電流」「点灯中電圧」が維持されている状態 になっています。
これは基本的な放電管の特性で、若干の差異はありますが蛍光灯でも水銀灯でもナトリウム灯でもだいたい同じような特性を持っています。

長持ちさせるには

ニキシー管を長持ちさせるということは、すなわち安定した放電を長続きさせること。

結論から言うと、とにかく定格電流を守り電極の状態を良好に保つこと。これに尽きます。

点灯中(放電中)のニキシー管の電極表面はプラズマで覆われており、温度に換算すると1万度くらいになっています。ニキシー管の内部は気圧が非常に低いので全然外には伝わってきませんが。

定格電流でもこんな状態なのに、それより電流を増やすと……どうなるか何となく想像できますね。電極をむやみに劣化させないためには定格電流を守る必要があります。

 

さて、定格電流はいいけども、次はじゃあニキシー管に流れる電流はどうやって計算するのか…ですね。あまりきちんと書いてないサイトが多いですが、実際に計算してみましょう。下記の回路を見てください。

Nixie tube current measurement

ニキシー管に流れる電流は、電流制限抵抗の両端の電圧(V)を電流制限抵抗の抵抗値(Ω)で割ると求めることができます。
(※机上で検討する場合は、電流制限抵抗の両端の電圧(V) は 電源電圧(V) - 点灯中電圧(V) で求めます。)

たとえば
電流制限抵抗値R = 51kΩ、
その両端の電圧V = 72Vの場合、

72(V) ÷ 51,000(Ω) = 0.0014(A)

…です。
電流制限抵抗値の大きさ(Ω)を増やすほど電流は小さくなりますから、ニキシー管に流れる電流が定格以下(または点灯維持電流程度)に収まるように電流制限抵抗値を調整します。
ぴったりな値の抵抗がない場合は、大きい方を選びます。たとえば計算上は53kΩが適しているとなった場合、53kΩの抵抗は入手性が非常に悪いため入手性の良い56kΩを選択します。

ちなみに、他のサイトの製作記事で以下のような記載があったりしますが、これらの原因はいずれも電流の流しすぎと思われます。

  • ニキシー管が結構発熱する
    →本来ニキシー管はそれほど発熱しません。30分ほど点灯しっぱなしでも、表面がほんのり温かくなる程度です。
  • 青い光がかなり目立つ
    →オレンジ色の文字の周りがよく見るとほんのり青いかも?という程度が普通。
  • 数ヶ月で文字全体/文字の一部が光らなくなる
    →定格電流で点灯させっぱなしでも最低1年くらいはもつはずです。
    物によっては10年以上もちます。

本当は定電流駆動が良い

「定電流駆動」とは、とにかく一定の電流が流れるように制御する、ということです。

たとえば1mAの定電流駆動で点灯させようとしたとき、最初は電流が流れないので点灯開始電圧まで上がります。
点灯が始まるとその直後に1mAになるまで電圧が落ちます。原理的にも非常にニキシー管に優しい駆動です。インバータ式の放電管の点灯回路もこのような制御を行っています。

…が、ニキシー管は複数桁ある場合がほとんどですし、この回路は桁ごとに必要になります。回路規模の関係で採用されることは非常に希ですが、制約無視でとにかく寿命を最大限まで延ばしたい場合(たとえば放電管の交換が非常に難しい場合)はこのような手法が採られる場合もあります。

じつはダイナミック駆動はあまり良くない

「ダイナミック駆動」というのは、複数の桁を順番に点灯していくタイプの表示方式のことです。

たとえば表示桁数が4桁ある場合、1桁目→2桁目→3桁目→4桁目→1桁目→…という感じで1桁ずつ表示します。ゆっくりやると1桁ずつの表示が見えますが、これを1秒間に100回とか200回とか切り替えると、全部の桁が表示されているように見えます。(動かすと表示が若干チラチラしますが。)

これの何が良いのかというと、瞬間的に表示されるのは1桁だけなので表示回路は1桁分だけで良く、回路が簡略化できるのです。そのため、このダイナミック駆動は家電の表示パネルなどにも多く使われています。

 

…さて、ニキシー管自体は冷陰極管と呼ばれるタイプの放電管です。このタイプの放電管は、ダイナミック駆動で点灯・消灯を繰り返しても寿命が縮むことはほとんどありません。(「ほとんど」というのは、点灯した瞬間は定格を超える電流が一瞬流れるためです。)

しかしダイナミック駆動は1灯当たりの点灯時間が短くなるので、十分な表示輝度を得るためには相応の電流を流して輝度を上げる必要があります。定格電流では輝度が足りないためか、ネット上に公開されている回路では定格の1.5〜2倍程度の電流で駆動しているものも多くあります。

当然ながらこのような駆動をするとニキシー管の寿命は著しく短くなります。2ヶ月ほどでダメになった、という例もあるようです。そもそも現在一般的に入手できるニキシー管はダイナミック点灯用に作られていないのでできればダイナミック駆動は避けるべきですが、やむを得ず採用する場合も定格電流は守るようにしましょう。

意外と大食らいなので注意

ニキシー管は1灯あたり、だいたい2mA〜3mA程度の電流で点灯します。

点灯中電圧を150Vとすると、0.3〜0.45Wの消費電力になります。豆電球は1.5Vで300mA(0.45W)程度ですから、同じくらいは消費するということです。
ちなみに白色LEDなら3.2Vで10mA(0.032W)くらい流せば、かなりの明るさで点灯します…いかにニキシー管や電球が大食らいかがわかりますね。

また、ニキシー管の電源を昇圧回路で生成している場合は昇圧回路の回路効率も加味する必要があるので、電池なんかで駆動すると数時間ももたず電池切れになります。電源はACアダプタなどコンセントの電源から生成した方が良いでしょう。

まとめ

ニキシー管を長寿命で安定して点灯させるための方法について記載しました。

とにかくニキシー管は定格電流を超える過電流で駆動すると寿命が大幅に縮みます。せっかく海外からはるばるやってきたのですから、その寿命を全うさせてあげたいもの。

たいてい2〜3mAが定格電流なので、これを超えないよう注意して電流制限抵抗を選びましょう。

最終更新: 2020-06-14
作成: 2020-06-14
  • ニキシー管

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