10月1日



人誰しも原風景みたいな物を持っていると思う。

幼い頃の記憶みたいな物の中に、
超特別版みたいな感じで残っている物って無いか?

例えば若かった母を、幼かった私と弟が左右から挟み、
手を繋ぎ
スキップするシーン。

背景は、そこだけ切り取られたかのように
大地が
芝生でなだらかな斜面。

そこを降りていくのである。

もしかすると
幻覚とか幻想の類だったのかな?とも思う。

何故かというと、あまりに
美し過ぎるシーンだからだ。

実際、私達の母は、そんな風に子供の手を取って何かしてくれるような
類の人間では
無かった。

母性を表に
出せない人、とでもいうのだろうか。

その人が子供たちと手を繋いでスキップなんて…

しかし、だからこそ
甘美な思い出として、何十年経った今も
私の心に
刻まれているのであろう。


柄にも無い事を書いてしまったがオーディオに話を
移す。

上の写真は過去にも貼り付けているかもしれない。

スイングジャーナル臨時増刊
「最新オーディオプラン
1976」

手元にあるのは近年ネットで見つけて手に入れた物で
一冊目は延々悩んだ末にやっと買って、
ページが
バラバラになるまで繰り返し読んで
たぶん結婚のタイミングで手放してしまったのだと思う。

多様な組み合わせが提示されるのだが最高額は
389万円。

一方で一番お求めやすい組み合わせは
8万円。

担当は我らが?長岡先生。

プレーヤー、アンプ、スピーカーの三点セット。

プレーヤーがビクター
JL-A25M

アンプもビクターで
JA-S11。

これだけで6万円くらいは行ってしまう。

スピーカーに割けるのは
2万円くらい。

そこで…




10月2日

そこで出て来るのがOTTO
SX-111Dである。

このスピーカーについては過去にも語っているのだがご容赦を。

当時一本
8,900円。

ウォルナット突板仕上げキャビネットに
アイデン製とされる12センチのアルニコフルレンジ。

OTTO
初のベストセラー、ロングセラーと言われ、
この1976年時点でも発売から少し経っていた筈だ。

宣伝して売れてもちっとも儲から
ないと言われた一本。

ここで話しは自分の事になるが、よっしーの
初めてのオーディオ装置の中核は

プレーヤー ビクター
JL-F35M

アンプ ビクター JA-S31だった。

故に姉妹機が登場するこの組み合わせには大変な親しみと覚えた。

と同時にOTTOの
SX-111Dとはいかなるスピーカーなのだろう?との想いもこの時芽生えた。

今から
50年前のことである。

50年。

かなりの時間が流れた。

かくも長き片思い。

それが
実る日が突然来たのである。





10月3日

実は
過去にもドフで二度三度SX-111Dには出会っている。

だが、いずれも
法外な価格だったので怒って?スルーして来た。

今回は許容範囲だったので遂に…

ただ、出会ったのが
北海道をバイクでツーリングしている時だったから
ちょっと苦労があった。

まあ何でもよい。
50年越しの恋が実ってSX-111がウチに来たのである。



いそいそと
接続。そして音出し。



…なの
だが第一音が鳴った時は青ざめた。



いや、久し振りに聴く
酷い音だ。


なんというか、
痩せて掠れて見るべきところが無い、
と言ったら言い過ぎか?



僕だって50年前の恋人の事を悪く言いたく
ない。

だが嘘は付けないし文句なしに
酷い音だったのだ。



だがしかし、さすが
50年の歳月がよっしーを老練にした。

そんな事で退却はしない。



何がいけない?

というか、このスピーカー、
最後に信号を入れて貰ったのはいつだ?

下手すると30年〜40年寝かされていたとしても不思議ではない。

大切なのは、
まず音楽を送り込んであげる事だ。

だがしかし、その為に加療一か月とかいうのは承服でき
ない。

そこで…






10月4日

信号を送り続ける。

それは良いのだがより
効率よくと考えると低音を送り込むことがひとつ考えられる。

大振幅でコーンを、エッジを揺さぶるという事だ。

第一現状では低音も高音も不足だが特に低音不足は我慢ならない
レベルだ。

となると思いつくのは
DSLである。

すわ、AIWAの
S A60となるのだが二台あってあいにく二台ともダウン。

そこで同じくDSL機能搭載のプリ
C-80が思い浮かぶ。

これを使ってメインはDCP-5500×2台の
BTL接続と
変に豪華になるが結線をやり直すのも面倒なのでこの構成。




これでどうか?


いや、さすがに
DSLは効く。


これまで
貧相そのものだった音が活き活きし始めた。

やはりファンダメンタルズは重要なのだ。

そうこうしているウチに
更にと欲が沸く。

毒喰らわばラウドネスまで、ということでこちらもON。

ついでにトーンコントロールでバスをブースト。

さすがにこの
三段逆スライド方式はやり過ぎるとユニットが危ないが
途端にスピーカーが若返ったから苦笑してしまう。

いや、これは良い。

何が良いって、音楽を聴くのが聴くのが
楽しくて仕方ない。

ローエンドがハイエンドが不足であると言えばそうなのだが
一切がどうでも良くなる。

常日頃から、オーディオマニアは頭が
おかしい
(含む
自分)
アフリカの子供はご飯も食べられないのに
音がどうとか言っているのは許されることではない、
と言っているよっしーとしては、この
12センチフルレンジの描く世界こそは
最適に思える。

これを聴いてつべこべ言う奴は
国外追放である?

…は言い過ぎだが笑うほど音は変わっていく。

さてしかし…



10月5日

C80+DCP-5500
の組み合わせに不満は無い。

だがSX-111Dにセパレートアンプはどう考えても
変である。

本当はS A60なのだが、と呟きつつ、ビクター
JA-S41DCに白羽の矢が立つ。

何故と問われるとこの時のビクターJA-Sシリーズの
ラウンドネスは効かせ方が派手で
分かりやすい良さがあるからだ。

ラウドネスであるとかトーンコントロールに対する考え方は各メーカー、各シリーズで
考え方がかなり
違う。

中にはあまりにも効き方がソフトで、思わず
壊れているのでは?と思うほどの物さえある。

僕はその辺の曖昧さは大嫌いなのだが、そうは言ってもメーカーが僕用にアンプを作るはずもない。

選ばれるのが
'75年頃にスタートしたビクターJA-Sシリーズという事になるのだ。

これでどうだろう?

おお、十分十二分である。

ローブーストの能力、多様性という点では
C-80に及ばないが立派に、豊かに鳴る。

なにより一本あたり単価9千円に満たなかったスピーカーを
鳴らすのにはプリメインが
順当だろう。






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