「カインにマリア!!よく来たな!
待ってたぜ、ゆっくりして行ってくれよ!」
アレンはそう言って両手を広げて2人を歓迎してくれた。
「あ、とりあえず菓子でも食っててくれ!」
が、なにやら忙しそうに先ほどから部屋をあわてて出て行ってしまった。
「アレン・・・・忙しいのかな。
悪い時期に来ちゃったかな。」
せっかくローレシアまでカインとマリアがやって来たのに、
アレンは忙しそうでゆっくり話す時間が中々取れなかった。
出たり入ったりするアレンを、
心配そうに見つめつつ部屋で待つ二人であったが、
次第に、にぎやなか声・・と言うか泣き声が聞こえてきた。
「もー、こいつ全然泣きやまねえから連れてきた!」
アレンが抱きかかえながら連れてきたのは、
生まれて間もない赤子であった。
「うわああ〜〜、アレンの赤ちゃんだ!可愛い!!」
「まぁ、大きな声ね!元気な子だわ。」
思わずカインとマリアの2人もその声に立ち上がった。
が、赤子は人の気配を感じても負けじと大きな声で泣き続けていた。
「お前な、泣ーきーーすぎーー!」
アレンが、がるると怖い顔をして、赤子の顔を覗き込んだ。
それでも全然泣き止まなかった。
「は〜。
とりあえずちょっと、抱いてみるか?」
「わっ・・!?」
カインは、アレンから赤子を手渡されたが
抱き方も分からず、もたもたとしているうちに、
さらに激しく仰け反って嫌がられてしまった。
「わわわっ、無理無理!
余計にすっごい泣いちゃったよ!?」
「お前、意外と子供に好かれないタイプだな。」
すぐにアレンに赤子を返したものの、
まだえぐえぐと泣き続けていた。
「ど・・・どうしたんだろ?なんで泣いてるんだろう?」
「お腹空いてるんじゃないの?」
思わず2人とも心配になった。
「いや、こいつさっきからずーっとおっぱい飲んでんだぜ。
でも飲みすぎで、げぼって吐いて、そんでまた腹減ったって。
もう〜、ちょっと落ち着けって言うんだ。」
「そう・・なんだ。
おー・・・じゃなくて母乳いっぱい飲んでるんだね。
すごいねー。さすが、アレンの赤ちゃん。」
あんまり泣いてることにも動じないアレンを、
カインはすごいなーと思っていると、
止まない泣き声に痺れを切らしたのか、クレハがやってきた。
「アレン様、大丈夫ですか?
こんなに騒々しくてはお話にもならないでしょう。
私が少し寝かしつけてきますよ。」
そう言うと、アレンよりもさらに慣れた様子で
クレハは赤子をアレンから預かった。
赤子はそれだけで、やや落ち着いた様子だった。
「ちぇっ。
やっぱり、俺より、お前の方が良いんだな〜。」
アレンはその様子に少し嫉妬したみたいだが、
それでも安心してクレハと子供を見送った。
もう泣き声は聞こえなくなった。
「やっぱりアレンの赤ちゃんだから、食欲すごいんだねー。」
カインはそう言って笑った。
「でも、クレハさん大変そう。
少し疲れているように見えたわ。」
「そうなんだよな〜。
大変だなあ。赤んぼって四六時中泣きっ放しだから。」
どうやら、アレンたち夫妻は自分で子供を育てているらしい。
「あれ?お乳母さんは立てないんだね?
確かアレンとクレハさんは乳兄弟なんでしょ?」
「あ、うん。そうなんだけどな。
自分達で出来る限りは育てるって事にしたんだ。」
「へえ・・・そうなのね。でも良い事だと思うわ。
小さい頃にご両親に大事にされた記憶は成長しても
きっとどこかに残っているもの。」
マリアのその言葉は深い意味が込められているだろう。
「でも、俺は結局あんまり出来ることがねーんだよなー。」
アレンがそう言って伸びをした。
なんだかんだでアレンも公私にわたって色々大変なんだろう。
「ねえアレン、赤ちゃんの名前は?」
何気なく聞いた当然の質問に、何故か、アレンは固まった。
「・・・考え中。」
「えっ?まだ決まってないの?」
「考え中なんだ。良いだろ、別に。
それより、お前らなんか用事があって来たんだろ?
何しに来たんだよ。」
アレンがパッパッと残った菓子を口に詰め込んで尋ねた。
「うん、アレンの赤ちゃんにも会いに来たかったんだけど、
今日来たのは、ご報告にね。
僕達結婚するんだ。」
「けっ・・・!?」
アレンの口端から菓子の破片がポロリと落ちた。
「ちょっとアレン、お菓子落ちたよ?」
そう言われて、アレンは慌てて落ちた菓子を拾った。
そして下を見たまま、答えた。
「・・・・やっとかよ。
思ったより、遅かったな。はは。」
「アレンの電光石火の結婚に比べたら時間が掛かったけど、
そんなに遅いかしら?」
「旅が終わってから1年経っちゃったけど、
うーん、何だか色んな事があったような気もするよ。」
「そっか、そっか・・・。お前らがなあ、結婚なあ・・・。」
アレンはぼんやりそう言うと、
席を立って、どこかへ行ってしまった。
「あれ?アレン・・?どこ行っちゃったの?
まだ話が途中なんだけど・・・。」
「赤ちゃんの事が気になっちゃったのかしら?
なんだか、心ここにあらずな感じね。」
残されたカインとマリアはとりあえず座ったまま、
アレンが出て行った扉を見つめていると、
しばらくするとアレンが何かを持って、帰ってきた。
「アレン、お帰りなさい。
どこへ行ってたの?」
「急に置いていかないでよ。
私たち一応お客さんなんだけど・・・・。」
少し憮然としている2人に、アレンはまぁまぁと手を振った。
「わりー、わりー。
急に聞いたんで、何も用意できてないけど、
とりあえず、祝いに酒持ってきた。」
「えっ、お酒!?」
「ふふ〜ん、こういうときくらい酒盛りだろ。
飲んでけよ。」
「ええーー?」
なんだかアレンは上機嫌に2人をそう誘った。
「今日は、泊まっていけるんだろ?」
「うーん・・・?」
カインはマリアと目を見合わせた。
実は2人には考えがあって世界を巡っていた。
「あのさ、そもそもね。僕らの来た用件なんだけど、
アレンにも、勿論持ってきたんだけど、結婚式の招待状。」
「あ、ああ。」
アレンはその招待状を受け取った。
ローレシアに来てから、なんだかアレンが出たり入ったり落ち着かなかったため、
ようやく招待状を渡せて、少しカインはホッとした。
そしてマリアが少し真剣な顔をして口を開いた。
「色々考えたんだけど、
私は新しく復興したムーンブルクのことを多くの人に知ってもらいたいって思っていて、
私達の結婚式の時が、その良い機会だと思ったの。
だから、ロト同盟国や近隣の国だけじゃなくて、デルコンダルや、
ルプガナの長老さまたちなど旅の間にお世話になった方たちにも
招待状をお渡ししているのよ。」
「へーーー。なるほどな〜。
確かに良い機会っちゃ良い機会だ。
で、何だよ、次もすぐにどっかに行かなきゃいけねえのか?」
少しふてくされたようなアレンにカインは笑って首を振った。
「実は、ローレシアが最後なんだ。
だから別に急いではいないよ。」
「じゃあ、良いじゃん。
一日くらいさ、少しゆっくりしてけよ。
ほら、お前らも飲め飲め。」
そう言ってアレンは2人のグラスにもワインを注いだ。
「あ、ありがとう。」
「ありがとう。ちょっと・・・。い、入れすぎよ?」
「菓子だけじゃ足りないな。飯も作ってこさせるか。
おーい、誰か〜!!」
アレンが誰かを呼ぼうととしたので、
あわててカインはそれを呼び止めた。
「えっ、良いよ良いよ。
そんなのわざわざ・・・!」
「じゃあカイン、お前が飯を作って来ても良いぞ。」
「ええーー!?」
「ちょっとアレン?あなたね・・・。
『作って来ても良いぞ』じゃないわよ。」
「じゃあ、『作って来て下さい』?」
その率直な言葉に思わずマリアが吹き出した。
「アレン・・・ちょっと、あなたもう酔ってるんじゃない?」
確かに、アレンは既に一杯飲んできたのか、
少し赤い顔をしていた。
「お前らが結婚するんだろ?
飲まずにやってられっかよーー。」
「どうしたのさ?アレン?」
「どうしたのってどの口が言うんだよー。
あのへたれだったお前が、一丁前になりやがってーーー。」
「痛い痛いっ。耳を引っ張らないでー。」
何だか妙にアレンが絡んでくる気がする。
「ほんで。飯。
作って来て下さいって言ってるんだから、
作って来いよ。カイン。」
「ほ、ほんとに、作ってくるの!?ま・・まぁ良いけど。
僕、なんでローレシアに来てご飯ばっかり作ってるんだろ?」
アレンの結婚式の時も料理を担当したし、
なんだかんだと作ってばかりだと少しぶつぶつ言いながらも
カインは素直に席を立った。
部屋にはアレンとマリアが残った。
「相変わらずの王様気質ね。あなたって・・・。」
呆れたように言うマリアに、アレンが答えた。
「こうやって三人揃っていられるのって滅多にないからな。
旅のときみたいじゃん。
あいつが飯作るのも旅のときと同じ〜。」
アレンは昔のあの過酷だった旅の日々を懐かしく思い出しているようだった。
「あいつ、最近どうしてんだ?
もうサマルトリアに戻ったりはしてねえのか?」
あいつとは、勿論カインの事だろう。
「ええ、今はずっと一緒にいてくれているわ。
お手紙は良く書いているみたいだけどね。」
「じゃあ、別に変わりはないか?」
「ええ、元気にしているわ・・・。
そうそう、あなたが尽力してくれたパデキアの種はやっぱり
ムーンブルクの土壌にあっていたみたいで、
ちゃんと育っているわよ。」
「そっか・・・じゃあ・・・まぁ、きっと大丈夫だよな。」
言外に、少し気遣わしげな言い回しを含んでいた。
カインの事を心配しているのだろうと思った。
「カインの事を気にしているの?」
マリアの問いに少し考えてアレンが答えた。
「・・・俺からしてみたら、あいつはすっげえ頼りない奴で、
その割に無茶な事言うし、よえー割に体張ったりするから
そりゃあ気にはなるだろ。
今なんか魔法だって使えないんだろ?
って、まあそれは昔もだけど。」
旅の間もその後も、
アレンがカインを強く気にかけていたのは
マリアもよく分かっている。
「魔法・・・それの事なんだけど、
この間ね、すごい事があったのよ。」
マリアは先日、カインが自分の手を引いて
魔法の力で空を飛んだことをアレンに話した。
ルーラも出来ないと言っているが、
ふわりと飛翔するだけなら出来るようになったのだと。
「え、本当か?ははっ。なんだ、それ。おもしれーー!
そっか〜〜。あいつそんな事出来るようになったのか。」
アレンは思わず、それを聞くと目を見開いて驚いて、
そして笑った。
「何が可笑しいのよ?私すごいと思ったんだけど・・。」
あれだけ以前ルーラを使いこなしていたからこそできた魔法だろう。
マリアには出来なかった。
「ははっ。あいつらしいな〜。」
アレンは、腹を抱えて笑いながら、同時に少し安堵していた。
カインは・・・あいつは、頼りない。
自分より腕力もないし、魔法だってマリアほどの威力はない。
だけど、いつも自分を驚かせるような事をするのだ。
この魔法の事も、その内の小さな一つだろう。
そして・・・
「早く結婚しろよとか言ってたけど、
本当に、マリアと結婚するだなんて、俺、思ってなかった。
なんと言うか・・・ホントに驚いた。」
「アレン・・・。」
「いつかも言った気がするけど、
あいつの事頼むな。まぁ・・・疑ってねえけど。」
そう言ってアレンは笑った。
そしてワインを一気飲みした。
「は〜〜〜。マリア、お前ももっと飲めよ。」
そして、まだ飲みきってないグラスにさらにワインを注いだ。
「ちょ、ちょっと・・アレン。入れすぎよ。
それにカインの事ばっかり言って、私には何か言葉はいただけないのかしら?」
「えっ?」
そう言われて、アレンは一瞬答えに詰まった。
うーんと首を傾げて答えた。
「いや〜・・・。お前って、しっかりしてるからなあ。」
「まぁ。」
「あ、でもお前の魔法に対する集中力だけは
時にやばいけどな。
ムーンブルクの国民を泣かせたりすんなよ〜。」
「な、泣かせるって何よ。
でも・・・、確かに魔法の事は気をつけるわよ。」
かつて、この魔法の力で祖国を失った事もある。
それだけの危険を秘めたこの力の事は、マリアはしっかりと自覚をしている。
「でも、お前になんかあったら、それもカインが気づいて助けるんだろうし、
もうそこは心配してねえな。」
マリアの魔法に関しては自分は何も手助けは出来ないのだし、
そう思えばこの二人は互いの手助けも出来るし、
お似合いなのだろう。
しばらくして、ちょうど様子を伺いにクレハも部屋にやってくるのと
カインが料理を持って帰ってきたのが同時だった。
「あれ?マリア眠そうだね。
大丈夫?」
だが部屋に戻ると、
マリアは少し眠たそうに目をこすっていた。
「あ、カインお帰りなさい。
そうね、少し旅の疲れも残ってるみたい。」
マリアのその様子に、クレハは気遣わしげに声を掛けた。
「大丈夫でしょうか?
では、マリア様少しお休みくださいませ。
お休みできるお部屋をご案内します。」
「ありがとう。
少し休ませてもらうわ。」
「ええ、こちらです。どうぞ。
アレン様少し宜しいでしょうか?」
「おお。」
すやすやと眠っている赤子をアレンに手渡して、
クレハはマリアに休息できる部屋を案内した。
「マリア、おやすみなさい。」
「カイン、アレンもお休みなさい。
お酒はほどほどにしてね。」
そう言うと、マリアは席を立った。
2人を見送るとアレンがぼそっと呟いた。
「ちょっと飲ませすぎたかなあ。」
「えっ。」
見ると、2人のグラスもボトルもすっかり空っぽになっている。
だが、背後からさらにもう一本アレンがワインボトルを取り出した。
「えー・・・どれだけ飲んだの?」
「まぁまぁ、お前も飲めよ。」
そう言ってアレンはカインのグラスにワインを注ぎ直した。
「うーん、アレン飲み過ぎは駄目だよー?」
「俺は酒に結構強いんだ。」
「そうかなあ・・?」
顔を赤くしておいて、強いというのもどうだろうかと思うが・・・。
それにしてもあれだけ泣いていた赤子が
今はアレンのひざの上ですやすやと眠っている。
「可愛いねー。赤ちゃん、アレンにそっくりだよ。」
「うん、まぁ皆に言われる。
俺にそっくりだって。」
「ふふふ、本当だよー。そっくりだ。
だから、きっと強い子になるよ。
ねえ、今なら抱っこできるかなあ。」
さっきは仰け反って嫌がられたが、
今ならどうだろうか?
そわそわとカインが聞いてきた。
「ん。抱いてみ?」
恐る恐る抱きかかえてみたが、
今度は泣きじゃくる事もなく、すやすやと眠ったままであった。
「わあ、今度は泣かないよ。ほらほら。」
「見りゃ分かるわ。」
嬉しそうなカインの様子に少し苦笑しながら、
中々様になっているじゃないかと思った。
「かわいいねえ〜。ほっぺたふにふにしているよ。
お日様の匂いがするよ。
あー、かわいいなあ。」
アレンの隣に座って、カインはなにやら観察するように
赤子に触れたりしてみた。
自分の子供を可愛がってくれるのは、悪い気はしなかった。
「そんな事ばかり言ってねえで。
お前も作れば良いじゃん。子供。
いい加減、やることやってんだろ?」
「え?」
「えじゃなくて。」
そう言うとカインがポンと顔を赤く染めた。
こいつは相変わらずそう言う話は疎いらしい。
大丈夫か、そんなんで。
「あ・・・あのね、この間初めて・・・・ったんだよ。」
「お?やるな。男を見せたって事だな?」
ほうほう、こいつの口からそう言うことを聞けるとは
中々俺も年を取ったもんだと思った・・が、
ちょっと想像違った。
カインは手にしたワイングラスを一気に飲むと
赤い顔をして言った。
「う、うん。き・・・きすしたんだよ。」
「・・・・・・・キ・・スだあ?」
今更そんな真っ赤な顔をして言う事かよ、とアレンは少し脱力した。
しかも言ってからさらに恥ずかしそうに、耳まで赤くなっていく様子に
思わずアレンは笑った。
「ははは!なーんだよ、お前。茹でタコみたいになって・・!
今更そんなに恥ずかしがる事かよ。
お前、どこの生娘だよ。」
「うー・・・・。
なんだよー。笑わなくても良いじゃないかー。」
やっと初めてキスできたのに〜。とカインはぶつぶつ言っている。
おいおいマジかよ。
なんて奴らだ、こいつら・・。
あれ?でも何か引っかかる。
「でも初めてってのは変だろ?
旅の間にさ、あったじゃん・・・。俺ちゃんと知ってるんだぜ。」
「え?初めてだよ!?
旅の間なんて、何もなかったよ!?」
知ってるんだぜなどと言われても、
カイン自身は旅の間は何もマリアに手を出してない。
いや・・手ぐらいは出したが・・。
「この間、兵隊長がローレシアに帰ってきたんだよ。」
「?ああ、えっと・・・ベラヌールにいたローレシアの元兵隊長さん・・・?
それがどうしたの?」
「どうしたのじゃねえよ、お前散々世話になっただろうが。」
「え・・・うん、そう・・だけど。
確かに、この前ベラヌールに行ったときいなかったんだ。
そうしたら、あとでお礼を言いに行かないとね。」
急に変わった話題に、カインは真顔で頷いた。
確かに呪いで倒れた時にベラヌールで大層世話になったのだ。
「・・・・・・・。」
「・・・・・・あの?
アレン、どうしたの?変な顔をして。」
いぶかしむような表情のアレンが、急に何故そんな話をし出したのか
カインには分からなかった。
「はーー・・・。お前本当に覚えてないんだな。」
「な・・何の話さ・・?」
「だからさー。
マリアがお前を助けるために世界樹の葉を口移ししたんだよ。
だから、初キスはそっちだろ?」
そう言われて、カインは思わず鳩が豆鉄砲を食ったようなきょとんとした顔をした。
「え・・・えええ・・・・!?嘘ぉ・・・!」
「別に俺が見たわけじゃねえけど、兵隊長が嘘つく必要ないだろ。
俺聞いたんだぜ。意識もなくて、物も飲み込めないカインに、
マリアが意を決して、口移ししたんだろ?
お前、世界樹の葉どうやって飲み込んだと思ったんだ?」
「ど、どうやってって・・普通に飲んだのかなあって思ってたよ〜。」
「は〜〜・・。
だから、マリアは覚えてないほうが良いって言ってたんだな。」
確かにマリアは妙に何度もベラヌールでの事は忘れていたほうが良いと言っていた。
何故か、微妙に顔を赤らめたりしながら。
カインはそれを思い出しつつ、声をあげた。
「うーーわーー。本当に覚えてないんだけど!!」
その声に驚いて赤子が泣き出してしまった。
「わっ、ごめんごめん・・!!おっきな声だして。」
アレンが泣いてる我が子を抱き上げると、
呆れたように、カインに言った。
「って事で、初キスはマリアからって事だな。
しかも覚えてもないとか、お前本当駄目だねえ・・・。」
「じ、人命救助でしょ・・・?!この場合って。」
「まあ、事情はさておきだ。」
アレンはカインをからかうのが面白いようで笑っていた。
赤子の泣き声が聞こえたのか、慌てたようにクレハが部屋に戻ってきた。
「おい、クレハ〜。
また、おっぱいだって!」
「ええ、そうみたいですね。そろそろ時間です。
本当によく飲む子です。」
クレハはパタパタと赤子を抱いて立ち去っていった。
「クレハってずっと胸が小さかった割に、
結構よく出てるみたいなんだよな。」
「何が・・・」
「何がっておっぱいがだよ。
あ、乳がって言った方が良いか?」
「・・・・・・・うー・・。」
カインの顔がずっと赤いのは
もはや酒のせいなのか何なのか分からないが・・・。
「ふふ、夜は長いんだ。
まぁお前には色々教えてやるって。」
「・・・・・・・・。」
そして2人の長い夜は、その後もまだまだ続いたと言う。
- 終 -
2013/12/09
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