「いらっしゃい。二人とも、よく来たね」
「お兄さま、お久しぶりです!」
久々の再会に兄妹は笑顔を見せていた。
マイ様の隣には私リックが付き従っていた。
ここは王女マリア様が統治するムーンブルク王国。
一度は魔物たちによって滅ぼされた魔法国家であるが、そんなことは俄かには信じられない復興ぶりで今は立派に再興している。
「カイン様、本日は勉強させていただきます。」
「ああ、そんな畏まらなくても……」
この人はマイ様の実兄のカイン様だ。我がサマルトリアの王族でありながら、今は王女マリアの王配としてムーンブルクを支えているのだ。
「長旅疲れたでしょう?」
「ううん、とっても刺激的で楽しかったよ!」
「そう?それは良かったけど」
私たちは見聞を深めるために、世界を巡る旅をしていた。
マイ様にとっては念願の世界旅行だった。喜びを全身で表しながら、どこへ行くのも楽しそうにしていらした。私はそんなマイ様をお守りするのは当たり前として、もう一つ自分に課していることがあった。
それは当地に実力者がいると立ち合い稽古を所望し日々研鑽に励むことだった。単なる観光旅行ではなく、武者修行としての気構えで、ここ最後の地を迎えた。
その理由はただ1つ。
旅を終えて、サマルトリアへ帰還したら、次に待つのはマイ様の即位。
その前に私がマイ様を守れる男に成長したのを見ていただくことになっていた。
旅に出る前に、私はサマルトリアの王様もいる前で、カイン様と模範試合をしていただく約束をしていたのだ。
「あー……、とりあえずお入りよ。マリアも中で待ってるよ」
「はい。マリア様にご挨拶しなきゃね。リックもおいでよ」
城の門兵たちは、私たちを認めると深々会釈をした。
改めて背筋が伸びる。
他の国を巡るときはお忍びの旅だったので一介の旅人と変わりなく身軽に動けたが、マイ様がやはり生まれながらの王族であることを思い知らされた。
王室に入るとマリア様は立ち上がって私たちを迎えてくれた。
マリア様はマイ様より3歳年長と聞くが、正直言うと、凛としてもっと大人に見える。貫禄すら感じられるというか……。
「マイさん、お元気そうね。はるばるムーンブルクへようこそ!」
「マリアお姉様!!ご無沙汰しております!」
おお…マイ様はマリア様の姿を見つけると、駆け足で駆け寄って、そのままマリア様に抱きついた。自分は貫禄があると怯んでしまったのに、マイ様はマリア様の胸に飛び込んでいった。二人は本当に姉妹のように仲が良いようだ。
この「世界の見聞を深めるという旅」というのは、見聞を深めるという意味でも、このムーンブルクは外せないだろう。
この若き女王がいかな手腕で国を収めているのか。そしてまた、そんな女王をどのようにカイン様は支えているのか。
学ぶべきことは沢山あるに違いない。
マリア様は長旅疲れたでしょうと立ち話もそこそこに食事の席に誘ってくれた。
子どもたちもやってきて、それは思いのほかアットホームで賑やかな食卓だった。
「デザートだよ。マイが好きだろうから、プリンも作っておいた。」
「わあ、お兄様の手作りプリン!?久しぶりだ」
「ねえ、マイちゃん。お父様プリン作りだけは上手だよね。」
「アリスちゃんほんとよね」
「だけ…ってことはなくない?」
この可愛らしいプリンはなんとカイン様の手作りだそうだ。
マイ様からカイン様は料理が上手だと聞いたことがあるが、実際に目にするのは初めてだ。プリンを頬張ってほっぺを抑えながら舌鼓を打っているマイ様は、女の子らしい可愛さだ。
なるほど、剣を振るってばかりの自分に足りないのはこれかと私は早速学ぶことができた。わなわなと震える手でプリンを食べてみたら、確かに美味しい。
「あの…お口に合わなかったかな。」
「え!?」
厳しい顔をしている私にカイン様が申し訳なさそうにしている。
「そうだよー?父様、僕はもっと硬いプリンが好きなんだけど!」
「そうか。マナごめん。今度は硬めのプリンにするけど、マイはたまにしか来ないんだから許してよ。」
「ああ、マイちゃんの好みだったの?じゃあ、しょうがないなあ」
この子はカイン様マリア様の長男だ。愛くるしい盛りだが、少々わがままなお年頃のようだ。
「リックさんも硬めが良かったみたい。今度は、柔らかいのと硬いの両方用意しておくね。」
「いや!え!違いますよ!?」
こわばった顔の私をみて、カイン様が何か勘違いしたようだ。
「んもう、リックったら。これ、美味しいじゃない?わがまま言ってないでさ。
要らないんだったら頂戴よ。」
私はただ瞬時にマイ様のお心を掴めるカイン様のその手腕がさすがだと思っただけだ。なのに、マイ様にまでプリンの好みにうるさいわがまま野郎と思われてしまった。違う、違うのだ…。
食事を終えると、子どもたちは部屋に戻っていった。
「それで、マイさん旅はどうだったの?どこへ行ってきたのかしら?」
「はい!それがですね……」
マイ様は長旅の旅程について話し始めた。
ルプガナやラダトーム、デルコンダルや、山間のテパの町。
「テパにも行ったんだ。行きづらかったでしょう。」
「結構歩いたけど、お兄様たちの話を聞いて行ってみたいなって思ってて。綺麗な町だったわ。」
「川は枯れていなかった?」
「あ、水門のこと心配してる?大丈夫だったよ。山の水だから川も綺麗だった。」
「そう。」
そういえばテパの町にある水門はこの方々が旅の道中で開けたのだとか聞いた。マイ様も興味津々で視察していた。きっと昔聞いた兄たちの旅の軌跡を間近に感じられたことだろう。
「なるべく、お兄様たちが辿った通りに行きたくって。あとはなんだったっけ?小島のザハンも行ったよ。そうそう、それから綺麗な水といえば、ベラヌール!あそこも綺麗だった!」
様々な町の名前を二人は懐かしそうに聞いていた。
「それでね、ベラヌールの旅の扉からは、ロンダルキアにも行けたわ!」
「えええ、そんなところも行ってきたの?洞窟を渡って?」
「そうよ!あれは大変だった!あの洞窟!」
マイ様のいうロンダルキアの洞窟、あれは大変なダンジョンだった。
階層も深く、落とし穴も多く、地図があっても今自分が何階にいるのかさえも分からなくなる。
「無事に行けた?魔物とか出なかった?」
そう、そして恐ろしいことに、魔物も存在していた。きっと洞窟の中を住処としているのだろう。だが魔王が死んでから魔物からはあからさまな人間への悪意はなくなったので、不意に襲いかかってくることはほとんどなかった。それでも眠っていた魔物を起こしてしまった時などはその怒りをこちらにぶつけてくることもあり…。
「あそこは大変だった思い出しかないわ。よく無事だったわね。」
「マリア様こそ、よくあの洞窟でご無事でしたわ。」
マリア様も思い出したくもないという様子だ。
そうだ。その細腰で、マリア様も戦ったのだ。しかも、当時は魔物たちは悪意をむき出しに襲いかかってきただろうし、洞窟の情報もないし、地図など当然ない。
きっと、それは私たちが攻略した洞窟とはまるで別物で困難を極めただろう。
ただ、マイ様は兄と同じ旅路ができたと思っているので、そのことは言うまい。
「…そんな訳で、世界を旅してきたんだ。本当に楽しかった!」
「それは良かったね。」
マイ様はずっと世界を巡りたいと思っていた。無事それを完遂できて、私もマイ様を守り抜くことができて、安堵していた。
「リックは世界の武者修行もしてきたんだもんね。おかげで、すごく強くなったよ!
ね!」
そう、これも目的の一つ。
お三方の旅路を真似て、私も強くならねばならなかった。
「はい、デルコンダルではあのキラータイガーとも戦ってきました。」
「うわ……。本当に?」
「それはすごいわ。」
二人も驚いているから、この修行は間違ってはいなかったと思う。
旅の前に宣言したカイン様にも負けないために、私は修行を重ねてきた。
そのためには手段を選ばなかった。旅の最中手に入った力の種は全部使ってきたのだ。武器も新しい武器やがある度に覗いて最強の武器に新調してきた。
「ね、お兄様。だからリックとの約束の勝負してやってくれる?」
「ああ、今日会った時から殺気混じりの視線を感じてる気がしてる。あまり気は乗らないんだけど、そのためにずいぶん修行したみただね……。いいよ。」
「ありがとうございます!」
ロトの血を引きしマイ様のそばにいるのだ。
ここで実力を認めてもらねば、私はマイ様のおそばに居る資格無し。
「最初からそういう約束だったものね。マリア、良いかな。」
「…………そうね。」
マリアは少し気が進まないようだ。
それは何故だろうか。自分の夫が負けるのは見たくないのは当たり前か。
申し訳ないが今は負ける気はしなかった。
私は各国の精鋭との戦いも経て、かつてないほど自信を身につけていた。
かつての英雄だったカイン様ではあるが、おそらく今は修行とも実戦とも遠ざかっているのだろう。細身で華奢な体格の方で、大して力があるとも思えない。手にした剣もまるでマイ様が使う武器かと思うような軽そうな武器だ。反対に私が手に入れたひかりの剣は世界最高峰の武器だった。
昔は強かったかもしれないが、今その強さはどうだろうか。
私はただの一日だって修行を欠かしたことはない。それに加えて今は力の種のドーピングもしている。これは流石に申し訳なくさえ感じるくらいだ。
「では、剣術模範試合を。カイン様、胸をお借りします。」
城の裏庭に案内された。
私はマントを脱ぎ捨てて、一礼すると身体中に裂帛の気合いを漲らせた。
負けない。武者修行の最後を完遂させるために、負けるわけにはいかない。
「はああ!!」
「うわっ」
私の一撃を受けると、カイン様は少し驚いた様子だった。
このまま力技で押し切れるかと思ったら、カイン様は剣戟を横に流した。
「まだまだ!!」
横なぎに振るった剣もかわされた。
「すごいね…。こんな力強い剣戟、この国にはいないんじゃないかな。」
カイン様が驚いたように言った。それは私が隣国ムーンブルクの兵よりも強いということか。
お褒めに預かり恐縮ではあるが、まだ満足はしない。
カイン様の闘い方は予想以上に軽快なものだった。
軽業師かというくらい身が軽く、ひょいひょいと私の剣戟をかわしていく。なるほど、確かに手強い。
ならば、対キラータイガー戦でも使ったこれだ。
「マヌーサ!」
「え!?」
マヌーサは幻惑の魔法だ。これを使えばキラータイガーの鋭い牙さえ無効と化した。カイン様の剣は明後日の方向で虚しく鳴っている。
「うわー。これはやばいね。」
よし、効いた!これで勝てる!
私は畳み掛けるように何度も剣も振るった。器用にそれを捌いているが、相手の攻撃は効かないのだから、私の勝利は時間の問題。
「っ、っと!」
防戦一方になったカイン様であったが、あともう少しと思った瞬間、不意に私はその姿を見失って大きく空振りをした。相手の姿がこつ然と消えたのだ。
「えっ!?」
一瞬自分もマヌーサにかかったのかと思ったのだが、違った。
「お兄様!それずるいわよー!」
マイ様が声を投げた場所を見上げるとカイン様が空を飛んでいた。
空を…とぶ?そんな魔法あっただろうか。
いや、だが、魔法の名前などどうでもいい。
魔法勝負ということなら、それも準備はしている。
「ギラ!」
「ああ、ばか!リック無駄なことしないで!」
無駄?空中戦に飛び道具の魔法は有効なのは、魔物たちとの戦いでも学んだものだ。
炎はカイン様に直撃した。ダメージは免れない!
炎に包まれてカイン様は空から落ちてくる。そこを追撃の一撃だ!!
煙の中の炎はまだ消えていない。
「トドメ!!」
必殺の間合いの一撃、だったはず。だがまるで炎は術者の私に反旗を翻すかのように襲いかかってきた。そして、燃え上がったままの剣が私の眼前でピタッと止まった。
目の前に現れたのはカイン様の剣だった。
「う、うう……? ま、まい…」
「…ごめん、これは卑怯だった。剣での勝負だ。今のは無しで。」
勝負アリかと思ったが、カイン様の剣の炎はふっと消えた。どうやら今の一撃は無かったことにするらしい。
「リック!魔法勝負は無理よ!訳分かんないことされちゃうからやめた方がいいよ!」
そうか、実際の戦いぶりは知らないがこの人は魔法剣士だったいう。
私のようなにわかじこみの魔法は返されてしまう。相手の土俵に立ってはいけない。ならば、やはり勝負はこの鍛えた身体での渾身の一撃のみ。
「はああぁぁ…」
私は剣を持つ手に力を込めた。
愛するマイ様を守るつもりで、この一撃に全てを込めて…!!
もしまた避けるというなら、何度でも追いかける。負けはしない。
「マイ様は私が守るのだ…!!」
「…っ……!!」
カイン様は避けようとしない。諦めたか。
ならば、これまでだ!
ガキイィンと確かな手応えを感じた。
ただその時、一瞬だけカイン様から発される空気が変わった気がした。
キラータイガーの牙をも叩き割った私の剣戟は、しかしその細腕を吹き飛ばすことはできなかったのだ。それどころか、どこにそんな力があったのか、吹き飛ばされたのは私の剣の方だった。
「ぐわっ!?」
そして、次の瞬間私は尻餅をついていた。
「ふぅ……。」
カイン様はゆっくり息を吐くと、こっちに剣を向けた。
負けた?力技でも打ち負けた?
「ま、まいりました…」
私は真っ青になりながら、土下座した。
「……うん。」
私の言葉に少し驚いたような顔をしたが、カイン様は剣を下ろした。
「ああ、負けちゃった……。」
私の背中にマイ様の落胆した声が届く。不甲斐ない。あれだけ修行しても全然届かないものなのか。
「カイン!大丈夫…!?」
「マリア。うん。平気だよ。」
マイはずっと偉大な兄たちには敵わないのだと言っていた。
その言葉を身をもって私は知ったのだ。
穴を掘って埋まりたい気分とはこの事だ。
私の修行など所詮子供騙し。マイ様を守るなどと私にはできないのだ。
「リック、強かったよ。」
「やめてください、やめてください。このような未熟者…マイ様に合わせる顔をもありません。」
「バーーーカーー!」
マイ様はぶーっと顔を膨らませて私の両頬に触れてきた。
どんな落胆の表情をしているかと思ったが、チラッと見た時マイ様の目には涙が浮かんでいた。
「…マイ様……?」
落胆のあまり泣かせてしまったのかと思ったが、そうではなかったようだ。
「ありがとう、私のためにここまで強くなってくれて。」
「そ、そんな……」
強くなんてなれなかった。今無惨に負けたではないですか。私には返せる言葉かがなかった。
「リックさん、本当にすっごい強かったよ。」
「やめてください。」
頭上からカイン様の声が届く。
その言葉は素直に受け止められなかった。細身で華奢と侮ったその細腕さえ突破できなかったのだから。
「嘘じゃない。腕力なんて僕よりずっとあると思うし。剣戟も鋭かった。」
「そんなこと」
カイン様は私の方が腕力があったといった。それならなぜあの時打ち負けたのだ。
「本当だよ。あなたの力はもう人類史上最高レベルになってると思うよ。」
「それでもカイン様には勝てなかったじゃないですか!」
その理由をカイン様は教えてくれた。
「ローレシアには、行かなかったの?」
「え?」
ローレシアは、サマルトリアの隣国だ。
いつも行っているからと今回の旅の旅程には入っていなかった。
「僕が勝ったのは、もっと腕力がある人を一人だけ知ってるからだよ。」
「…それは……」
マイ様もああ…と頷いた。
「確かに世界武者修行の旅の割に、一番大事なところ省いちゃったわね。」
「そうね、自慢の腕力で勝負するなら、ローレシアのアレンを私もおすすめするわ。」
マイ様とマリア様がそんなことを言っている。
勿論知っている。隣国ローレシアのアレン王。サマルトリアにくる時は気さくな様子でそんな風には思わないが、誰もが認める最強の剣士…だという。
「カイン様より強いんですか?」
「そりゃあ、もう。」
カイン様はふふッと笑った。何かイタズラ小僧のような悪い笑みにも見える。
「そうね。うちのクナなんて、アレンには胸を借りるとか言ってたけど勝負にもならなくて、剣も心もバキバキに折られてボロボロになっちゃったんだから。数日は立ち上がれなかったわよ。」
「ひえ……」
「まぁ、比喩じゃなく、アレンは化け物みたいに強いからね。」
クナはムーンブルクのマリア様のお付きの兵で、その強さはお墨付きである。が、そのクナでもアレンにはコテンパンにやられたという。
「それにアレンはカインみたいに優しくないから、気をつけた方がいいわよ」
「…………」
もう流石に二の句が告げられない。
「んもう、また落ち込んでる。」
私の前にしゃがみ込んで少し怒った様子なのはマイだ。
「せっかく自信つけてくれたと思ったのに。
私、あなたが言った守るって言葉、嬉しかったのに。あれは、嘘じゃないでしょ?」
マイ様を守るのは私だと、兄であるカイン様相手に啖呵を切ったのだが、今となっては恥ずかしくも思う。だが…。
「嘘じゃない、です。」
「ふふっ、ありがとう。じゃあ、いいよ。今は負けてもいいよ。」
そういうとマイ様はちゅっと私のおでこにキスをした。
「ほわっ……!?」
思わぬ出来事に私はいよいよ腰を抜かした。
「お兄様、今日は負けちゃったけど、今度はローレシア流も身につけてくるから。首を洗って待ってて!」
「やーだよ。なんで僕仇敵みたいにされてるの。」
カイン様はお手上げというふうに手をあげた。そして今度は優しく笑いながら言った。
「リックさん、やんちゃな子だけど、妹のことこれから頼んだよ。」
「え、は!ははーー!」
さらっとすごいことを言われた。
わ、完璧なる完敗だったのに、カイン様は私を認めてくれたようだった。
私は再度深々頭を下げてそれに応えた。
そうすると次はマリア様がこちらに向かってしゃがみ込んだ。
「マイさん、リックさん、一つ伝えておくけど。
今日のことは以前からの約束だったから見逃したけど、今後カインと戦いたいなら、私を倒してからにしてくれる?」
「え、ええええ?」
よもやの事態だ。再度カイン様と戦いたいならマリア様を倒さないといけないらしい。
「アレンにも私、口を酸っぱくして言ってるの。本当に。 」
マリア様は何かご立腹だ。
「マ、マリア様?何を…」
「マリア様は当代最強の魔法使い。七色の魔法をお使いになると言われているわ。リック、さすがにマリア様には勝てる気がしないわね。」
マイ様にそう言われて、こくこくとうなずいた。何だこの三方は。最強ではないか。
「はは。最強の一角の中で、僕弱点っぽいでしょ。だから勝てそうって皆思っちゃうみたいで、なんだかこうやって色々な人から力試しにされちゃうんだよねー」
「そう。私それが許せなくって……」
おお、マリア様が怒っていらっしゃる。だが、お気持ちは分からなくもない。
カイン様を侮って色々な輩が挑戦してくるらしい。
私もそれじゃないか…!
「も、申し訳ありません!」
マリア様の視線が痛い。
「実際、それでお兄様の戦績は?」
「うーん、アレン以外には負け、…ないかな?」
「アレンとだって、なんだかんだいい勝負よね。」
「ひええー。アレン様の強さやっばいのに、お兄様もやるわね」
ああ、やっぱり最強の3人だ。
世界は広い。世界中旅をしたって届かない背中がある。
その背中はまだまだはるか遠くに感じた。
- 完 -
2023/09/19
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【後書き】
ご無沙汰しております。
久々にまた小説書いてみました。まさかの普通に以前の続きのようなお話です。
戴冠3のラストであったリックさんとカインの立ち会い試合。やってみました。今更すぎるんですが、久々に書けたので楽しかったです。