竜王の城 1


「か、完全に廃墟じゃないか。。」

竜王の城に踏み入れた3人は荒れ果てた城の惨状に
目を見張った。

外壁が崩れ落ち、部屋と部屋の仕切りの壁も所々崩れ落ち
城の内部とは言え、風が吹き抜ける状態であった。



「この奥の本当に竜王がいるのかな・・。」

カインはごくりと息をのんだ。

「何者なのかは分からないけど、大きな力をこの城の奥から感じるわ。」

マリアには何か大きな魔力を感じられていたようだ。。

「お前ら油断するなよ。何があるか分からねえからな。」

アレンは後方の二人に声をかけた。
もし、本当に竜王がいて、戦うことになるとしたら・・・

勝てるだろうか?
どうやって戦えば良いだろうか。
鋼のように硬いと言われるその皮膚。
ドラゴンの弱点と言えば・・・・

「狙うなら顔面だ。」

アレンはそう言った。顔面だけは、それほど頑丈じゃないはずだ。

「そうだね。」

アレンの言葉にカインが続いた。

でも火炎を吐くと言う竜にどうやって近づけば良いのか・・。

「僕達が魔法で何とか気をひいて、その間にアレンが攻撃するしかないよ。」

それしかないだろう。
しかし手持ちの鋼の剣で傷が付けられるだろうか。

「先にロトの剣を見つけたいところだな。」

アレンはつぶやいた。今の装備ではあまりにも心許ない。
ラダトームではマリアにみかわしの服を購入しただけで
新たな装備は手に入らなかったのだ。

「宝箱などに剣が眠っている可能性もあるわね。」

「よし、しらみつぶしに探すしかないな。」




3人は城の階段を下っていった。
地下一階の構造は簡単のようで、奥にさらに階段が見える。

「やっぱり簡単には通させてくれないみたいだぜ。ミイラ男だ!マリア!!」

階段の手前を通せんぼするようにミイラ男の群れが見えた。

「ええ!」

マリアはすかさずバギの魔法を唱えた。
生き残った魔物にアレンとカインの剣で止めをさす。
この戦いのパターンは、このダンジョンでも使えそうだ。




倒した魔物の奥の階段からさらに下の階へと下っていった。

マリアとカインは交互にバギとベギラマを使い、
大量の魔物の群れとも物怖じすることなく戦うことが出来た。

しかし何度階段を下れども、単純な構造の繰り返しで
宝箱は一つも見つからない。



「ねぇな・・・宝箱。」

アレンはぼやいた。

「アレフさまの頃からあった城だからね。宝箱も全て開けちゃって
 ないのかな?」

そういえば、まさにアレフはこの道を通って、竜王への
最後の決戦を挑んだのだろう。そのときアレフの手には
ロトの剣のみならずロトの装備が全て揃っていたことだろう。

「しかし・・・・なんで、ここにロトの剣を置いていったんだ?」

「なんでだろうね?戦いで疲れて、忘れて帰っちゃったのかな?」

「そんなのお前だけだろ。」

アレンは脱力して、カインの頭をはたいた。
その姿を見ながらマリアもそのときの状況を想像した。

「戦いを終えて、剣を置いたと言うのことかしら?」

「平和な世になったから、剣は必要ないって事か?そうなのかなあ」

俺だったら、大事な相棒であった剣を置いて帰ろうなんてしないけどなあ・・と思った。

「まぁ、あのラダトームのおじいさんの勘違いかもしれないけどね。」

一介の街の町人である老人が、かのロトの剣がある場所を知っているというのも
不思議な話だった。





その時、ふと三人に声がかかった。

「お前達、ロトの剣を探しているのか?」

三人が振り返ったところには、一人の人間が立っていた。
いや、人間なのかどうかは分からない。
背の高さはマリアくらいしかなく小柄で細身だった。
ただ、年齢も性別もその姿からははっきりと判別できず、
不思議な力を感じた。

「あなたは・・・?」

「その前に聞きたいな。どうしてロトの剣を探しているんだ?」

カインの質問をさえぎって、さらに青年は質問を投げかけた。

「俺たちの戦いに必要だからだ。」

アレンは不思議な青年の質問にそう答えた。

「お前達の・・・戦いに・・・ロトの剣が必要だって?」

青年は驚いたようにそういった。

「何がおかしい?」

「だってロトの剣を使える人間は限られているだろう?」

ロトの装備は並の人間には重くて扱えないのだ。
使えるとしたら、ロト本人か、その子孫のみ。

「誰が使うのさ?お前達がロトなの?」

青年は笑いながら聞いた。
その馬鹿にしたような様子を見てアレンは、少しむっとした。
自分がロトの子孫には全く見えないと言われてるかのようだ。

「俺が使う。文句あるか。」

アレンは自分を指差した。その姿に笑っていた青年は
真顔でアレンを見つめて観察した。

なんだ・・・こいつ・・・・人をじろじろと見やがって。

アレンは無礼な青年の行いにますますイライラしてきた。

「お前が・・・!?・・・ロトの子孫だって・・・!?」

「そうだよ。悪かったか!」

「信じられないなあ。じゃあ、ロトの印を見せてよ!」

ロトの印?何だそれは?
初めて聞く名前だった。何かアイテムの名前だろうか。
アレンはカインとマリアの方を見たが、二人も首を横に振った。

「持ってないんだ。」

青年は、じゃあ駄目じゃないとあざ笑った。



「あなたはロトの剣のありかを知ってるんですか?」

カインはせっかくの手がかりを逃すまいと、青年に聞いた。

「お前は誰なの?」

青年はカインにも指を差して聞いた。

「僕も彼と同じロトの子孫です。」

青年は「へ〜」と感心すると、今度はマリアにも指を差して
「お前は?」と同じ事を聞いた。

「マリアも同じです。ロトの子孫です。」

カインの答えに青年はいよいよ笑い出してしまった。

「な、何がおかしいんだよ!!」

アレンはさっきからのあまりにも不躾なこの青年の態度が
頭にきていた。

「こんなおかしいことが、他にあるかい。」

青年は笑いすぎて目に涙を浮かべているほどだ。



「ずっと待っていたロトの子孫がこんな3人の子供達だなんて。」



「待っていた・・って?あなたは・・?」

話が見えずにカインは青年に聞いた。


「ああ、そろそろ質問に答えていってあげようか。」

青年はまだくすくす笑いながら話し出した。


「ロトの剣はこの城にあるよ。」

「本当か!?どこにあるんだ!?」

アレンは青年に詰め寄った。

「でも簡単には渡せないなあ。あれは大事なものなんだ。」

「どうしたら渡してもらえますか?」

カインの質問に青年は少し考え込む様子で答えた。

「お前達、ロトの印を持っていなかったからね。
 本当のロトの子孫かどうか信用できないからなあ。」

「疑うのかよ!」

「本当のロトの子孫だったら、さぞかし強いだろう。」

そういうと青年はにやりと笑ったまま目を瞑った。



アレンもカインもこの青年が言わんとすることが分からなかった。

しかし、マリアは城に入ったときに感じていたあの巨大な力と
同じものがこの青年から発せられているのを気づいた。

しかも力はますます大きくなってきた。

「アレン!カイン!下がって!!」

マリアはそれに気づくと二人に叫んだ。
その叫びを聞いた二人は反射的に後ろへと下がって
マリアのそばに戻った。

「な、なんだ?」

「も。もしかして・・・・。」

訳の分からないアレンと、真っ青な顔になるカイン。



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「勘のいい子がいるみたいだ。我のことは知っていると思うけど
 自己紹介しよう。」

青年は仰々しく頭を下げていった。

「何年ぶりだろうか。かつてはお前達の祖先と死闘を演じさせてもらった。
 我が敵のロトの血脈のことを忘れたことはなかったよ。」

「ま・・・まさか・・・・。」

鈍感なアレンもとうとう気がついたようだった。



「久しぶりだ。我こそは竜王。」




三人はあわてて武器を取り出し、身構えた。



「りゅ、りゅう、竜王って・・竜じゃないのか・・・・!!!」


アレンはあわてて後ろの二人に聞いた。そう聞かれても、竜王など
初めて見るのだから二人にも答えようがない。

「ああ。この姿は仮の姿さ。竜の姿だと移動するだけで
 このボロ城は壊れちゃうからね。」

答えられないでいる二人の代わりに竜王自らその質問に
答えた。

「じゃあやろうか?」

竜王はアレンにそう聞いた。

「な、何を・・・!??」

「ロトの剣が欲しいんだろう?我を倒したら渡してやろう。」

「え・・・・・!!!」

「お前達もそのつもりで来たんだろう?」

竜王と戦う前に手に入れたかったロトの剣は、
竜王を倒さないと手に入らないらしい。
そもそも・・・本当に竜王と戦わないとならないのか・・?

「ロトの子孫に会えるのを楽しみにしていたんだ。
 なんと3人もロトの子孫がいるなんて知らなかったよ。
 さぞかし強いんだろうなあ。」

竜王は心底嬉しそうで、わくわくしている様子だった。

「な、何故戦わないといけないのですか!!」

カインがあわてて竜王に聞いた。
ロトの勇者と竜王の戦いは100年も前に決着がついているはずだ。
今また再戦する理由なんてないはずだった。

ひとしきり3人の様子を観察していた竜王が、ふと真顔になった。

「お前達は自分がロトの子孫だと証明できるものを
 何も持っていないではないか。
 では、その力で証明してもらうしかないな。」

「そ、そんな・・・!」

唖然としているカインと、声も発することも出来ないマリアに
アレンは言った。

「お前ら・・・覚悟を決めようぜ・・・・。」

アレンのその言葉に竜王はにやりと笑った。

「さぁ・・・始めようか・・・・・・・・・。」




そうつぶやいた瞬間、まばゆい光とともに、
竜王は本来あるべき姿、巨大な竜の姿へと変化したのであった。




- 続く -

2010/10/17
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まさかの竜王変化!
覚悟してないところでボスとか出てくると、ギャーッて思いますよね。
今きっとそんな状況です。
饒舌な竜王さんは最下層で待っててくれず迎えに来てくれましたよ。

次回、苦戦必至。



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