三人は陸路で竜王の城を目指すことにした。
船でも行けないことはないようだが、かなり大回りだった。
そこで勇者アレフを足跡を追ってアレフガルド大陸を歩くことにしたのだ。
一日歩き通しすっかり夜になっていた。
「ひとまず今日のところは、この辺で休むかぁ。」
アレンは後ろを歩く二人に声をかけた。
木陰で野宿することとなった。
「勇者ロトの時代は、ずーっと真っ暗だったそうだよね。
アレフガルドで夜・・ちょうど今の僕らと同じだよね。」
カインは、持ってきた小なべとちょっとした野菜で
スープを作るらしく、木々を集めて、火をつけながら言った。
「そうね。同じように、夜こうやって野宿してたのかもね。」
マリアは一日の強行軍に少し疲れを感じて、木陰に座り込んだまま答えた。
アレンもそのそばに座っていた。
カインは持ってきたじゃがいもをナイフでくるくるむき出した。
「カイン、手伝いましょうか?」
手伝いを買って出るマリアに、カインは首をふるふる振って、
切ったじゃがいもをなべに流し込んだ。
「ありがと、マリア。でもあんまり持って来てないから、具はこれだけなんだ。」
「今日はスープだけか?」
アレンが不満そうにそう聞いた。
「一応持ってきてるよ。パンがいくつかあるから食べる?」
「食う。」
カインはアレンにパンを渡しながら言った。
「僕驚いたなあ。」
「何が?パン欲しがったのは、なんかまずかったか?」
だったら返すぞと、気まずそうにパンを返そうとするアレンに
カインはぷっと笑った。
「違う違う〜。パンはアレンが食べると思ったから持って来たの。
一つでも二つでも食べて。」
「じゃあなんだよ。」
「アレンがロトの血のことで戸惑いを感じることがあるなんて。」
ラダトームの街で、アレンが見知らぬ老人にした告白を
カインは意外な心境で聞いていた。それはマリアも同じだった。
見た目もアレンは肖像画に残る勇者アレフとそっくりだし
いつだって強いリーダーシップで自分達を引っ張ってくれる。
カインもマリアも、アレンに勇者の面影を見ていた。
「別に・・・誰が何を思っても勝手だとは思ってる。
それに、確かに俺はハーゴンを討つことを決意した。」
「うん。」
カインはムーンブルクの毒の沼地での、
アレンの決意の宣言を思い出した。
「でも俺が立つと全世界がああやってロトの再来を夢見て
あんな期待に満ちた目で俺たちを見るのか・・と思うと・・な・・・」
「勇者様は大変だよねえ。」
神妙な趣でつぶやくアレンに、カインは笑いながら言った。
その姿にアレンは憮然とした。
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「お前だって一緒だろうが。」
「マリアは?どう思う?」
カインは、マリアに話を振った。マリアもロトの血のことを負担に
思っているだろうか?
「私?・・・私は・・・」
マリアは少し考えながら答えた。
「正直、関係ないわね。アレンが考えてることは。」
「どういうことだよ。」
「アレンが言うとおりで、誰が何を考えても自由よ。
その上で私は誰が何と言おうと、ハーゴンを討ち、
ムーンブルクを復興するって決めているの。
たとえロトの血を引いていなくてもよ。」
「そうか・・・。」
マリアの決心は変わることはないだろう。
くわえるなら、たった一人であったとしても同じようにしただろう。
その気持ちの強さは3人の中で一番なのかもしれない。
ロトの血とはマリアにとっては目的を達成するための
心強い武器の一つに過ぎないのだ。
「で、お前は。」
アレンは改めてカインに聞いた。
「僕は・・・二人みたいに強くもないし、
自分のことを勇者だなんて思ったこともないよ。
僕は精一杯アレンとマリアの手伝いがしたいと思っているだけ。」
「俺だって別に自分が勇者の再来だなんて思ってない。
俺はロトやアレフのような魔法だって使えないんだし。違うだろ?」
カインはその言葉にきょとんとした。
「アレン、そんなこと気にしてたのー?」
「な、なんだよ。」
ずっと魔法がなくても戦えるように修行を重ねてきて、
実際になくても十分戦えるようになった。
だけど。
「俺が魔法を使えたら、もっと旅が楽になるだろう?」
「なんでそう思うの?」
「大勢の敵を一度で倒せたり、お前達の傷を癒したりできた方がいいじゃないか。」
カインはその姿をうーんと想像した。そして笑った。
「いや・・・アレンがそれしたら、僕達の出番なくなっちゃうね。」
「そうね、私もアレンは魔法がないからこそ、今の強さがあるんだと思うわよ。」
まだアレンは納得しかねる顔だ。
「まぁ僕に出来ることはちょっとしかないけど、僕なりに一生懸命頑張ります。
結局それしか言いようがないよー。
ただ、アレンだけが重い運命を一人で背負わなくていいからね。
僕達が一緒に背負ってるって思っていてね。
分かった?」
結局、自分にできることをやるしかないのだ。アレンはため息をついて言った。
「よーく分かったよ。お前はマイペースってことだ。」
カインはどんな運命を背負っても、自分なりの精一杯で生きようとするんだろう。
世界を救うという運命を背負っても。
「えーなんで、そうなるのさ。」
カインは少々ふくれて、寝転がった。
「んで、マリアが気の強い女だって事だ。」
「そうね。」
マリアはあえてそう評されたことを、受け入れて笑った。
翌朝も三人はアレフガルドの探索を続けた。
洞穴をくぐって、大陸を南に渡ると、竜王の城が近いせいか、
魔物が増えてきた。
戦いを繰り返すうちに、カインはべホイミを、マリアはルカナンとベホマの
魔法を使えるようになっていた。
そして深い霧に囲まれた小さい島の中に
三人は毒の沼地に囲まれた竜王の城を見つけたのであった。
- 次章へ続く -
2010/10/15
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喋ってるだけです。何だこれは。短いし。
自分達の運命について、語る夜があってもいいじゃないか。
ちなみにこの3人は同じ年の同じ日に生まれたという設定です。
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