マリアが天を仰いだ。
シドーが文字通り天井をぶち破って舞い降りてきてから、
この場所からでも、空が見える。
マリアはその空に向かって、祈りを捧げた。
そんなマリアを余所に、アレンは怪訝な顔をしていた。
「は・・・・はあ・・・!?
なんか良く意味がわかんねえけど・・・!?」
「わ、わかんない・・?
じゃあ、僕が言うとおりにやってよ。」
「・・・???
良い・・けど、何するんだ?」
カインはアレンに説明をするのをやめたらしい。
「シドーが襲い掛かってくるから、なるべく気を散らして。
特にマリアの方を襲わせないように!」
「お・・・おお。」
マリアは何やら集中力を高めている。
たぶん何か魔法を使うんだろう。
それを邪魔されないようにということか。
「分かったよ。」
アレンは頷くなり、その場を飛び出した。
てっきりカインもマリアを手伝うのかと思ったが、
ふと見ると自分のすぐ隣についてきていた。
なんだか・・・良く分からないが・・・
マリアの魔法に何か賭けているんだろうか?
まぁ、一瞬の油断が命取りになるのは
よーく分かった。
アレンも集中力を高めていった。
だが、戦い方としては、
アレンとカインで連続して攻撃するというより、
カインはアレンの補助に徹していた。
そう指示したわけでも無いが、自然とそうなっていった。
余裕があれば、時に一撃を与えることもあるが、
基本的には、一歩下がったところから
絶妙のタイミングで、アレンをフォローし、
アレンが受けたダメージを即座に回復していた。
「アレン!」
「おお、サンキュー」
何も言わなくても、2人の息はぴったりであった。
さっきのザオリク作戦ではないが、
これなら十分に戦えそうであった。
「グオアアア!!」
アレンの一撃が、シドーに尻餅をつかせた。
確かに戦えている実感はあるが、
やはりそれでもシドーはベホマを使って完全回復をする。
「くっそ・・・厄介なやつだなあ・・・」
アレンの攻撃は十分通じているが、それでも一撃で
絶命させられるほどではない。
思わず舌打ちをしたアレンは、
ふと周りが暗闇に包まれているのに気づいた。
「ん・・・あれ・・?もう・・夜か?」
戦いに夢中で、時間の経過に気づかなかったのかと思ったが、
そうではなかった。どうやら空を黒い雲が覆っていた。
「さぁ行くよっ、アレン!!」
「ええっ!?何だって?」
ふいに何故だかカインがアレンの手をぎゅうっと握っていた。
行くってどこへだ、何の話だ。
などと思っているうちに、カインの身体が眩しいほどに光って、
ふわりと緑色の何かが漏れ出していた。
何かって・・これは・・見たことある。カインが持つ魔法の力だろう。
「お前!?何してんだ!?」
「・・マリアが、雨雲を集めてくれたよ。
アレンはさっきみたいに、思いっきりやってくれたら良いんだ。」
「さっき・・・?って、何のことだ?」
そう言ったアレンにカインは笑って答えた。
「アレン、さっき稲妻を呼んだじゃない。
僕らじゃ、いくら練習しても出来なかった雷の力。
アレンだったんだ!」
「え・・ええ・・・どういうことだ!?
それに・・・お前これ何してんだ?」
そうこう喋ってるうちにも、
カインの身体からどんどん魔法力が流れ込んでいるのを感じている。
と、言っても俺は魔法なんて使えはしない。
「稲妻の剣の力かもしれないけど・・・
でもさっきのアレンの雷じゃあシドーは倒せなかったから、
今度は僕らの力を君に捧げるよ。
だから、思いっきりやって!!」
「いや・・・いや・・・何を言ってるんだ・・?」
確かにカインとマリアは雷の魔法を練習していたことがある。
だがそれは一度も成功したことはないようだった。
それなのに、何故かカインはアレンの成功を信じているらしい。
ぶっつけ本番で、こいつ何を言ってるんだ!?
「だって、アレンさっき自分で言ってたじゃない。
『大魔王と戦う勇者みたいだ』って!」
「いや、それは言ったけど・・・!?」
「知ってる?勇者だけが使える魔法があるんだよ?」
疑う事を知らないような目でカインはアレンを見つめている。
こいつ本気か?とカインの頭を疑ってみたが・・・・・、どうやら本気らしい。
マリアの表情はここから見えないが、
どうやらこの行動からすると、信じているらしい。
「大丈夫だよ、アレン。
失敗したら盛大に笑ってあげるから。」
「はぁーー!?」
そんな風にカインが言うのは、どうやら信じきっているかららしい。
まぁ、良い。
なら一度やってみよう。
この稲妻の剣の力は確かなようだ。
アトラスのときとさっきと、どうやら雷の力が
俺の力を倍増させていたらしい。
ならば、カインの力を加えれば、
確かに、もうちょっと・・・多少でかい雷が落ちるかもしれない。
試す価値くらいあるだろう。
「分かったよ。
笑い袋用意して、精々大笑いしろよ!!」
がむしゃらにアレンは走り出した。
だが、大振りな攻撃を仕掛ける機会は中々来ない。
その間にも、シドーは炎や素早い4本の腕を使った破壊攻撃をしかけてくる。
油断すると一気に畳み掛けられそうになる。
何とかその攻撃を掻い潜って、アレンはシドーの目掛けて
反撃の一撃を繰り出した。
「いっけえええ!」
が、いろいろ考えすぎたのか、
アレンの攻撃は、先ほど程度の威力も無かったらしい。
身体に突き刺さった剣を不快そうに掴むと、シドーはアレンごと投げ捨てた。
「うわあ・・・っ・・!!」
さらにシドーは腕を振るって攻撃をしかけてくる。
盾で防御だ・・!
そう考えたはずなのに、何故かガクッと身体から力が抜けた。
唐突に激しい眠気に襲われたのだ。
げ・・・なんだ・・・?
あいつ・・ラリホーも使うのか・・・?
こんな所で意識を手放してる場合じゃないんだが・・・
頭ではそう思うのに、まったく身体は言うことを聞かなかった。
意識が暗闇の中へと誘われていく。
が、そんなアレンを激しく呼び覚ます声が聞こえた。
「アレン!アレン!!!!起きて!」
「・・・カ・・・イン・・・・?」
カインが心配そうに顔を覗き込んでいた。
アレンが目を覚ましたのを見ると、
安心したように笑った。
「早く起きないと・・・・本当に・・・わら・・・・・から・・」
「なんだよ、もう笑ってるじゃねえか。」
アレンがそう言うのと、ずるりとカインが倒れこんでくるのが
同時だった。
「・・・な・・何・・・・?」
アレンを庇って、シドーの一撃を受けたのだろう。
おそらくその爪に切り裂かれたその腹部からボトボトと血が流れ落ち、
下にいるアレンにも滴ってきた。
その量が尋常ではない。
「おい!!おいっ!!しっかりしろよ!?
回復を・・・!!」
「・・へ・・・きだか・・・ら。」
カインは幾分震えたその手に、
残された魔法力をかき集めた。
すぐベホイミを唱えるんだと思ったアレンの思いと裏腹に
その力で傷が癒されることは無かった。
「僕の・・・すべてを・・・きみ・・に・・
・・け・・る・・・・・。
・・から、・・って・・行・・って、アレン!」
「!?」
あろう事か、その魔法力を再度アレンに与えてきたのだ。
なんて馬鹿だろうか。
「カインッ!!お前!!」
文字通り全ての力を失ったかのように、
がくりと意識を失ったカインを揺さぶろうとして・・・止めた。
この出血だから、衝撃を与えないほうがいい。
だが、どくどくと流れる血は止まる様子も無い。
こいつは・・・なんでこんな馬鹿なんだ・・・・!
と、ここでそんな事を言っていても、最早意味は無い。
背後から激しい爆発音が聞こえる。
おそらく今戦っているのはマリアだ。
落ち着け、大丈夫だ。
マリアと選手交代して、
あいつに回復させればカインは助かる。
そうして立ち上がったアレンであったが、
しかしとんでもない事に気づいた。
戦おうにも武器が無くなっていたのだ。
「あ・・・え・・・?な、んで・・?」
そういえば先ほどの攻撃の際、稲妻の剣ごと放り投げられた。
どこかに手放したというのか・・・?
「げえっ・・・嘘だろ。」
あれだけ、バズズとの戦いが終わったとき
剣を手放すなとカインにアドバイスしてたのに、
これでは本気でカインに笑われる。
ええい、そんな事を言っていても仕方がない。
「きゃあああ!」
今度はマリアの悲鳴が聞こえる。
やばい。急がないと、どんどん仲間が倒されていく。
3人無事に帰ると決めたんだ。
アレンは道具袋から、
使うことはなくなっていたが、ずっと肌身離さず持ち歩いていた
ある武器を取り出した。
「カインの言うことを信じるなら・・・。」
・・・これでも・・・戦えるはずなんだ。
アレンは『それ』を手にすると、戦っているマリアの元へと駆けつけた。
「マリアッ!無事か!?」
「ア・・レン・・・?」
アレンの姿を見て、少し驚いた顔をしていたマリアであったが、
すぐに意図を理解したようだ。
「私なら・・大丈夫よ・・・。」
そう言って、回復魔法を自身に施している姿に少しほっとした。
「なあ、あっちでカインが倒れてるんだ。
カインの回復を頼む。
俺は・・・あいつを倒すから。」
マリアはちらっとそちらの方を向いてうなずいた。
「アレン。私はカインほど、あなたにすべての力を
捧げられないけど・・・・。」
そう言って、マリアはアレンの手を取った。
カインがやったのと同じように、その手にマリアの魔法力が
流れ込んでくるのを感じる。
「そうしていると・・・本当に勇者みたいね・・。」
マリアは、折れた『ロトの剣』を持ち、
ロトの防具に身を包んでいるアレンを眩しそうに見つめた。
「マリア・・・?なんだよ、らしくねえ。」
「カインのことは任せて。
あなたは・・全力で・・・・。」
「ああっ。」
そう言って踵を返したアレンに、
再度マリアから静かながらも、力ある声がかかった。
「アレン、あなたは考えすぎないほうが良いわ。
魔法なんて使ったこと無いんだし。
身を、委ねてしまいなさい。
お膳立ては・・・私たちがしたから大丈夫。」
「・・・お、おお・・!」
空の雨雲がごろごろと音を鳴らしている。
別に、何もしなくても今にも雷が落ちそうだった。
マリアのアドバイスは、正直助かった。
雷を落とせったって、稲妻の剣ではないんだった、これは。
それに、やり方なんかしらないのだ。
ただ、カインとマリアから預かった力が、
自分の身体の中で熱くくすぶっているのを感じた。
じっとなんてしていられなかった。
いや、それだけではない。
今アレンは、更なる力を感じていた。
これは何のビジョンだ?
自分ではない誰かが、この剣でかつて戦った。
この力で戦った。
それが見えるのだ。
それをその身に感じていた。
そういえば、ロトの剣は折れていたため、
アレンがロトの装備をすべて身につけたのは初めてだった。
これが・・・これが・・・・勇者ロトの見ていた風景。
アレンは自然と身体が動いていた。
かつて、勇者ロトやアレフが戦ったように・・・。
そしてアレンがロトの剣を空にかざすと、
まるで待っていたかのように、
マリアが集めた雨雲から稲妻が走った。
そして、それは吸い付くようにロトの剣に収束する。
「!」
もう間違いない。
自分だけの力ではない。
自分ひとりでは、こんな事できるはずがない。
仲間二人の力と、そして、きっと偉大なる先祖の力が無ければ
出来なかっただろう。
「うおおおおおおおーーーーーーーーーーー!!!」
ロトの剣は、以前のベラヌールの戦いで、
その刃が途中で折れて無くなってしまっている。
そのため、折れてから以降実戦で使うことは無かった。
が、稲妻を刀身に纏わせているのだから、
剣先が欠けてようが、関係無かった。
シドーがアレンに向かって長い腕で攻撃を仕掛けてくる。
だが、その雷の眩しさに一瞬ひるんだ。
「今だあーーー!!!」
そして、アレンの一撃は確かな手ごたえを感じた。
直後、夜のように暗かったはずだったのに、
あまりの眩しさでアレン自身目をあけていられなくなった。
この眩しさが自分がやった仕業とは、俄かに信じがたい ――
そんな事がやけに冷静に頭をよぎる。
あれっ?なんで俺こんな事を考えてるんだ?
シドーと戦ってんだぞ。
続けて第二撃、第三撃と攻撃しなきゃあ・・・!
そう思うのに、周りの眩しさは少しも引けていかない。
眩しいとかそういう問題じゃない。
真っ白だ。
なんだ、どうした?まるで・・天国かどっかみたいじゃねえか。
って、冗談じゃねえぞ!!
俺、もしかして、慣れない力使ったとかで、死んだのか!?
まだ、シドーを倒してないのに!
仲間だって深手を負ってるんだ。
俺が死んでる場合じゃないぜ!?
アレンがそんな事を考えていると、
真っ白で何も無かったこの空間の前方に人影が見えた。
「・・・?」
目をこすってもう一度見ようとしたが、
気のせいだったのか、人などはいなかった。
「気のせいか・・・?いや、それよりここはどこなんだ?
まさか、本当に天国か・・・!?」
あわてたようにアレンは周りを見渡した。
「いいえ?」
アレンの問いかけに誰かが答えた。
驚いて、振り返ったが誰もいない。
「安心なさい。破壊の神シドーは倒れました。
きっとこれであなたたちが求めた平和が戻ってくるでしょう。」
「だ、誰だ・・?も、もしかして勇者ロトか!?」
こんな神様みたいな真似が出来るのは、普通の人間ではないだろう。
もしかして伝説の勇者ロト!?
そわそわとそんな事を言っておきながら、
この声はどう考えても女の声だな、と思った。
「いいえ。私はロトではありませんよ。
でも、かつてのロトとの約束は守られたようです。」
そう言って彼女は優しく微笑んだ・・・気がした。
「・・・・?
も、もしかして・・・・。」
これは・・・奇跡だろうか。それとも幻だろうか。
「私の名は精霊ルビス。」
「・・・・・ル・・ルビス・・・様・・・!?」
アレンは愕然としながらその言葉をかみ締めていた。
その名は、アレフガルドの創造神とも言われている伝説の存在。
「小さなあなた達に、この地を託すのは心苦しくもありますが・・
私はいつでも見守っていますよ。ロトもきっと同じでしょう。
さぁもう、おかえりなさい。
そして、私のかわいい子孫たちに光あれ!!」
その言葉にアレンの身体が光に包まれた。
それよりアレンは、耳に聞こえてくる言葉に動揺していた。
精霊ルビス!?
ロトとの約束って何なんだ!?
って、なんで俺今そんな神様としゃべってるんだ!!??
アレンは頭の中がごちゃごちゃで混乱していた。
だが、結論をつける前に、真っ白だった視界が徐々に晴れてきた。
次に目に入ってきたのは、
今度は見慣れた陽の光。
「眩し・・・。」
アレンの呟きに、聞きなれた声が返ってきた。
そっか・・・俺は帰ってきたらしい。
「アレン、気がついた・・・!!」
カインとマリアが、目を真っ赤にしてアレンを覗き込んでいた。
その先にはあれだけあった雨雲が既に散開していて、
晴れ間が広がっていた。
「さっきから、眩しいのばっかりだけど、
今度のは・・・俺も知ってるやつだな。」
「何のこと・・・?」
カインが少し不思議そうにしている。
へへ・・俺が精霊ルビスに会ったなんて言ったらびびるだろうな。
起き上がると、きっと巨大なシドーの死体でも転がっているのか思ったが
崩れ落ちた瓦礫などはあるもののシドーの姿は無かった。
「カイン、シドーはどこへ行ったんだ?」
「消えた・・みたいだよ。僕も見てないんだけど。」
カインは少し首を傾げた。
どうやら意識を失っていたため、アレンのあの一撃を見ていなかったらしい。
「私は見てたわよ。眩しい光とともに、激しい一撃でシドーが倒れ・・・。
眩しくて見えないと思ったんだけど、
いくら確認してもシドーもあなたも見えなかったわ。
どうにかなっちゃったのかと思ったわよ?」
マリアがそう言った。
どうやらさすがに神というだけあって、空にでも帰ったのだろうか・・?
「へー・・・。
でも、なんとなく僕、誰か・・女の人の声を聞いた気がするよ。」
「ああ、私も。偉大な誰かの声を聞いた気がするの。」
お、こいつらも聞いてたのか。
じゃあ教えてやろうか、その声って精霊ルビスの声だったって。
・・・あれ?
その話の内容も、一字一句覚えていたはずなのに、
何故か思い出せなかった。
気になることも言ってたと思うのに。
まぁ・・・良いか。
いつか思い出せるだろう。
その時、また3人で話をしよう。
「アレンは?知ってる?」
残念ながら、それは忘れちまったが、
この戦いでアレンが実感した事がひとつだけある。
「俺たち、いつも見守られてたんだぜ。
だから、こんな俺たちに、奇跡が起きたんだよ・・・!」
その答えに少しカインはきょとんとしているが、
アレンもそれだけは覚えているのだ。
今までの旅の間、絶望的な状況が何度もあったが、
ここまで無事やってこれたのは、そのせいだったのかもしれない。
マリアがアレンの傷を癒していると、不思議なことが起きた。
横目に見えていた倒れた悪魔神官たち、そしてあの大神官ハーゴン。
それらが、しばらくすると空に召されるように消えてしまったのだ。
残った瓦礫の山だけが戦いの激しさを物語っていた。
「きっと魔物の恐怖におびえる時代は終わったのね。」
マリアはそう呟いた。これで良かったのだ。
だが、自分の手に残る生々しい感触。
ハーゴンが苦しそうに血を吐いていた姿は脳裏に残っており、
必ずしも自分たちが全て正しかったとは思わない。
マリアの思いを感じ取ったのか、そうでもないのか、
崩れた壁から外を見ていたカインがマリアの手を引いた。
「マリア、マリア!!ねえこっちへ来て。
外を見てよ!」
カインが指差したのは神殿の外だった。
「ロンダルキアが雪解けしてるんだ。
吹雪も止んでいる。
今本当に、世界が変わったんだね!」
世界が変わった・・・。
それだけの事を為し得たのだ。
マリアも外の様子を見てそれを感じた。
「はは・・・。
あ〜。終わっちまったな〜。」
アレンは、2人のその様子を見ながら、
ごろんとその場に転がった。
カインは何か思い出したように、
今度はそんなアレンの傍に座り込んだ。
「ねえ、アレン、僕アレンのすごかった所見そびれたんだけど、
また今度やってみてね!」
「はぁ〜〜!?無理だよもう!
あれは奇跡みたいなもんだって!」
「えー?そんなこと無いよ。
アレンならできるって!」
そう言ってカインは笑っている。
マリアは、そのカインの様子を見て微笑ましく思いながらも、
少しだけ不思議に思うことがあった。
あの時、カインにベホマは効かなかったのだ。
そうして、アレンの一撃の直後、
マリアの目も何も見えないくらいに眩んだ。
そしてその耳に誰かの声が聞こえたような気がして・・・、
気がつくと何事も無かったかのようにカインが起き上がって
そして、アレンを心配そうに覗き込んでいたのだ。
一瞬の事過ぎて、もしかすると勘違いかもしれない。
単に魔法の効きが遅かっただけかもしれない。
カインだって、マリアのベホマで回復したんだと思っている。
だけど、きっと・・アレンが言った奇跡と言うのは、本当だったんだろう。
マリアは自分たちを守ってくれていたその奇跡に感謝していた。
そうして・・・
太陽の日差しが差し込む暖かい光の元に、
3人の最後の戦いは、ついに終結を迎えたのであった。
- 続く-
2013/06/21
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