第17章ベストショット
1.東京スポーツ2007年8月18日号
前章で紹介してきましたBNFがサブプライムショックについて語ったメディアを紹介します。
8月16日に取材したもので、大底の8月17日については載っていません。
東京スポーツ2007年8月18日号
2.アエラ2007年8月27日号(8月20日発売)
アエラ2007年8月27日号(8月20日発売)
写真の電波時計からサブプライムショックが大底を打った8月17日の大引け後の取材であることが分かります。
3.日経金融新聞2007年8月30日号
日経金融新聞2007年8月30日号
cisは買い、BNFは見送った8月17日ですが、もしFRBが利下げをしなかったら、どうなっていたか誰にも分かりません。
ただ、ストップ安の激増と言うサインがあったので一度は反発したのではないでしょうか。
4.フライデー2007年9月14日号(2007年8月31日発売)
フライデー2007年9月14日号(2007年8月31日発売)
5.KING2007年10月号(2007年9月13日発売)
2007年9月13日、KING2007年10月号が発売します。
その前日の9月12日には、安倍政権が唐突に終わりを告げていました。
再チャレンジの掛け声とともに始まった安倍政権でしたが、わずか一年で幕を下ろします。
その翌日に発売されたKING2007年10月号です。BNFは写真週刊誌と株系のメディア以外で久しぶりに登場します(KINGは男性向けファッション誌。2008年10月号で実質廃刊)。
KING2007年10月号①(2007年9月13日発売)
KING2007年10月号②(2007年9月13日発売)
KING2007年10月号③(2007年9月13日発売)
記事は最初から“神に一番近い男”“真面目でストイック”とBNFを真剣に取り上げています。
今までBNFが雑誌やテレビで言ってきたことの総集編のような内容になっています。
“昨年だけでも58億円、今年になってからも26億円もの株式譲渡益を計上している”
“「今の資産は176億円 」”
“「通常はだいたい30銘柄から70銘柄を保有していますが、株価のチャートなどが頭に入っている監視銘柄だけでも600銘柄から700銘柄くらいはあります 」”
“一日平均200回の売買”
“「株は世界のさまざまな理由で上下している。
アメリカや中国、ヨーロッパの株価動向や為替、商品市況、それらを総合的に頭の中で処理して銘柄を選びます 」”
“「海外の株式動向や為替の動きなど、できるだけ重要な要素を考えながら、関連銘柄を探すんです。
さまざまな要素を組み込んでいけば、勝つ確率も高くなっていく 」”
“「PERやPBRなどの指標は、短期売買にはあまり関係ないですね。
でも、まったく気にしないわけではありません。商社などは事業の実績がある割にPERが低いですし、その分、資産下落のリスクも少ないと考えているから買いやすい。
反対に新興市場銘柄は、PERが高いから、値下がりするとリバウンドしにくいと考えています 」”
“「上げ相場のときは、ただ強い値動きの株を買っていけばいいし、今のように下げ相場のときは、25日移動平均線から株価が大きく乖離した銘柄を狙っていく 」
「下げ相場のほうが、儲けられることも多い 」”
“「基本的には、1泊から1週間くらいの保有をするスイングトレードです。
株価が2%から3%上昇すれば決済します。よほど相場がよくない限り、7%から8%まで上昇するのを待つようなことはしないですね 」”
“ここまで資産を膨張させてきた結果はもはや天文学的な確率の世界だ。
あるトレーダーもため息をもらした。「もはや神の領域!」……”
トレード手法について多く触れられています。
弊HPの第一章でも多く引用しています。
PERとPBRに関しては、ジェイコム事件直後の2005年12月26日に発売されたアエラ2006年1月2日号では
“株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)については、
「まったく見ないです。長期保有だったら意味があるかも知れないが、短期の売買では下がるときは下がるし、上がるときは上がる。
業績のいい企業の株でも下がったら負け。
気にしてもしょうがない。
株価に織り込まれている」”
と言っています。
地合が悪い時ほど、ファンダメンタルの良し悪しで値動きに差が出てくるので考慮し始めたのでしょう。
“「株価が2%から3%上昇すれば決済します 」”
というBNFの発言は議論を呼びます。
BNFの過去の発言を見てみます。
SPA2006年8月29日号(2006年8月22日発売)でBNFはKINGの発言とは違って、
“何%上がれば(下げれば)売るという明確な目安は特に決めていないという。
「まだ上がりそうだなと思ったら持ってるし、ヤバいなと思ったら売る。
相場の流れに合わせてるだけです」”
と言っています。
相場の流れに合わせているため、特に何%で利食いと言うのは決めて無いと言うことです。
2chの投稿には「3パーセント」が2回出てきます。
レス番号262の投稿を補記すると
″ひとつの銘柄に3000万入れて8%取ろうとするより、多くの銘柄に分散して8000万円分買って3パーセント取れば同じ240万じゃん″
という意味でしょう。
レス番号287を補記すると
″値動きの激しいアドバンテストを8000円で買って240円上がったところで売る方が派手に見えるけど、300円の株を309円で売っても同じ3%取れている″
という意味でしょう。
レス番号262では3%という数字を無難に取れる利率という意味で使っており、レス番号287では利確の例えに使っているだけでこの数字に大きな意味はありません。
いずれもBNFが説明のための例えとして使っている数字なのではないでしょうか。
これらからKINGでいう「株価が2%から3%上昇すれば決済します 」と言うのは、取れるところを確実にとって決済するという意味であって、「2% 」「3% 」という数字は2ch時代から例えとして使っている数字で意味は無いのではないでしょうか。
BNFはほとんどの場合、一泊二日の寄付きで決済しているので利益率は日によってまちまちです。
この時期BNFは176億円中100億円を使ってトレードしているようでしたが、2~3%の利益と言うと2~3億円であり、BNFであっても一日でこれだけの利益を出すのは稀でした(サブプライムショック時の一日の最大利益は8月13日の3.67億円)。
この点からも2~3%で利確という発言は事実を言ったと言うより、例えとして言っただけに見えます。
なお、BNFが一泊二日の寄付き前後に決済する理由は、
「次の日、持ち越し株全体で数百万利益が乗った場面で一度手仕舞わないでいられるほど精神力が強くないのと、最近は順張りの持ち越しが多いので勢いある内に手仕舞って他の順張りできる株探すって感じだった 」(2004年4月4日17時56分)
と言っています。
利益を深追いして手仕舞いするポイントをあれこれ悩むより、一律に寄付き前後で手仕舞いして、高確率で上がってくれる他の銘柄を探した方がいいと言っているように聞こえます。
利食いを何%でするかより、高確率で上がってくれる銘柄を探す方が重要ということでしょう。
「持っている株よりもさらに上がりそうな株があったら、迷わずに乗り換えます 」(ダイヤモンドZAi2008年2月号)
と言っています。
KINGの話に戻します。
トレード以外についても内容が豊富です。
サラリーマンを一度やってみたい気がする、事業をやるつもりはない、ホリエモンに会ってみたかった、酒はそんなに飲まない、タバコは吸わない、儲けた日はバーミヤンのチャーハンを食べる、駅の立ち食いそばも好き、株で儲けていてもローンを組めない、車は持っていない、ガソリン価格も上がっている、等々。
心理面についても語られています。
BNFほどのトレーダーも不安に悩まされることがあると言います。
“「今年の夏は、毎日のように悪い夢ばかり見ていました。
決まってニューヨーク市場が暴落する夢なんです。
慌てて持ち株を売ろうとするとマウスを動かすんだけど、クリックできない。
慌てふためいているうちに目が覚めて、ああ夢でよかったと… 」”
“「テロやアメリカの暴落で、いつか大きな損失を被るような気がしてならない。
そんな危険を冒してまで、株式投資を続ける意味があるのか?そう思うときもあります。
大きく負けて、そこで自分の株投資が終わるのかも。
一週間後にそうなっている可能性だってある… 」”
一寸先は闇の世界を生きているがゆえ、絶えず不安感に悩まされているようです。
BNFは取材を受ける度にトレードのつらさを語ります。
“「すでに生活レベルのお金が欲しくてやっているわけでもない 」”
“「株は一度やったら抜けるのが本当に難しい 」”
“「頭がキーンとなって圧迫されるようなストレスを感じます 」”
“「株で損したストレスは、それを取り戻すことでしか解消しません 」”
何故そこまでしてトレードを続けるのか?多くのメディアがこの質問をBNFにぶつけました。
いつも淡々と答えるBNFですが、この時は珍しく、登山家ジョージ・マロリーの有名な台詞を意識してか、こう答えています。
そこにチャンスがあるから―
6.ダイヤモンドZAi2007年11月号(2007年9月21日発売)
ほとんど前章で紹介しましたが、サブプライムショックについては最も詳しく載っています。
BNFは10月号(8月21日発売)でのcisとの対談に続いて2か月連続の登場です。
ダイヤモンドZAi2007年11月号(2007年9月21日発売)
7.SPA2007年10月2日号(2007年9月25日発売)
SPA2007年10月2日号(2007年9月25日発売)
BNFはKING2007年10月号で“今年になってからも26億円もの株式譲渡益を計上している”と書かれているので、1~3月に13億円儲けているのでしょう。
年初にはBNFを超えたと言っていたcisですが、サブプライムショックでも損を出さないBNFにだいぶ謙虚になっています。
8.突っ込み買い投資法
ここでBNFの手法の一つである突っ込み買いについて説明します。
“10日急落していた銘柄を拾う”(ダイヤモンドZAi11月号)
“17日の後場はノーポジションでただ相場を見ていたんですが、前日比600円も下げていた日経平均が、午後2時35分~38分さらに200円も急落!?さすがに買いだろうと”(SPA2007年10月2日号)
8月10日と17日に突っ込み買いを試みます(17日は結果的に見送り)。
BNFは突っ込み買いについてはほとんど説明することがなかったので、どのような要件で行っているのか分かりません。
分かっている範囲では、
①日経平均が底値圏にいること(底値圏は充分な乖離率だったり、レンジ相場ならレンジ下限にいることなどから判断する)。
②その底値圏にいる日経平均が急落し、さらに急落すること(大きくGDし、さらに寄付きから急落した場合、または寄付きから急落し、さらに後場急落した場合等、数段落ちすること)。
③連れ安している個別銘柄に買いを入れること。
この3点になります。
個別銘柄に買いを入れる際、ボリンジャーバンドの-2σまたは-3σを割っていることを基準にしていた可能性はあります(BNFが逆張りでボリンジャーバンドを使っていたのは発言から確かですが、どのように使っていたか不明です)。
結局のところ、はっきりと要件はわからず、BNFの突っ込み買いについては、ほとんど謎となっています。
参考にBNFが好んで取引をした三菱商事の日足チャートを貼っておきます。
Excelでチャートを作成していますが、Excelは2軸までしか表示できないので、それぞれ25日平均線、ボリンジャーバンド-2σ、-3σを表示しています。
8月10日は突っ込み買いをし(実際の銘柄は不明)、17日は突っ込み買いをしようとしたが止めた日です。
BNFは17日に買わなかった理由として、米国株が高値圏にいたことと時間が無かったことを挙げています。
9.ガイアの夜明け(2007年10月9日放送)
テレビ出演は4月30日の「大河バラエティ超近現代史」以来5か月ぶりです。
「ガイアの夜明け」に出るのは2006年2月28日の放送以来およそ1年7か月ぶりです。
野球中継延長のため40分繰り下げて、22時40分から放送されました。
BNFは番組の最初と最後に出ており、動画では2分38秒までが番組の最初に放送されたもので、それ以降が番組の最後に放送されたものです。
2分38秒まではサブプラムショックが大底を打った8月17日に取材したものです。
2分38秒以降はFRBがFFレートを下げた9月18日の翌日に取材したものです。
9月18日、FRBは連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、フェデラルファンドレート(FFレート)の誘導目標値を0.5%引き下げ、4.75%とすることを全会一致で決定します。
8月17日に公定歩合を引き下げたのに続き、金融緩和です。
翌9月19日、日経平均は前日終値比+236.32円(+1.50%)で始まり、この日のBNFを取材しています。
VIDEO
サブプライムショックの大底となった8月17日について
「資金の半分ぐらい、80億とか90億とか行く感じだったら、それでもたぶん5億円ぐらいは利益上がってたくらいの場面だったんで、それでもう一日様子見るっていう判断しちゃったってのが、まぁ…それでその2分が5億円儲かるか、全然儲からないかの…結構判断だったんで…あの判断は今年一番のミスですね 」
と言っています。
様子見に回ったのはダウがまだ下げ余地があると見たためとフライデーで言っています。
番組の終盤で再びBNFは登場します(動画では2分38秒過ぎから)。
FRBのFFレートの引き下げ(金融緩和)を受けて、日経平均が+236.32円(+1.50%)のGUで始まった日です。
BNFは前場だけで4億円の利益を上げました。
cisは2007年9月は調子がよく、
1ヶ月で3.72億円の利益を上げていましたが、BNFの一日の利益にも及びません。
なお、9月19日はcisは前日に空売りを持ち越しており、
1100万円儲けるのが精一杯でした。
cisはせめてBNFに次ぐ地位だけは確保したいみたいです。
なおBNFが日本大学出身(中退)という根拠はありません。
10.ビクター・ニーダーホッファー
BNFが憧れの投資家としてあげ、そのハンドルネームの由来となっているのがビクター・ニーダーホッファーです。
ここで少しビクター・ニーダーホッファーについて説明します。
ビクター・ニーダーホッファーは1980年代から90年代半ばにかけて高いパフォーマンスをあげ、世界一の投資家とまで言われていました。
1997年10月27日、アジアの通貨危機に関連して、彼はプットオプションを大量に売り建てます。
狙いは当たっていたものの、わずかにタイミングが早かったため追証が発生し、翌10月28日強制決済によってそのファンドは破綻します。
このことについて語ったNHKのドキュメンタリー番組『マネー革命「1日で50億円失った男」』を見て、BNFは株を始めます。
ビクター・ニーダーホッファーは1997年の破綻後、家を抵当に入れ、アンティークのシルバーコレクションを売却し、1998年に再び相場の世界に戻ってきます。
当初はウインブルドンファンドと言うファンドを立ち上げ、2002年2月にはマタドールファンドというファンドを始めます。
2001年からの5年間でビクター・ニーダーホッファーのファンドは、複利で年利50%という驚異のパフォーマンスを記録します。
最も悪かった2004年でも40%のパフォーマンスです。
完全に復活したよう見えたビクター・ニーダーホッファーでしたが、彼はまたもや氷山にぶつかります。
2007年7月からのサブプライムショックによってボラティリティが急上昇し、証拠金要件が次々と引き上げられます。
8月にはvix指数は37にも達し、ビクター・ニーダーホッファーは証拠金を用意することができませんでした。
強制決済です。
「ボラティリティは、私が予想していたよりはるかに大きかった。さまざまな不測の事態に備えていたが、それを超えるものでした」
(The movements in volatility were greater than I had anticipated. We were prepared for many different contingencies, but this kind of one we were not prepared for.)^1
8月17日FRBが公定歩合を引き下げ、市場は落ち着きを取り戻しますが、ビクター・ニーダーホッファーのマタドールファンドは75%以上価値を失っており、9月に閉鎖に追い込まれます。
9月18日にFRBはFFレートを引き下げ、株式市場は回復していきますが、それはすでにビクター・ニーダーホッファーがファンドを閉鎖した後でした。
「市場の混乱に足を踏み外した。私は私が思っていたほど頭が良くなかった」
(I was caught wrong-footed in the market turbulence. I’m not as smart as I thought I was.)^2
統計学に基づいて、急落時にオプションを売り建てるという投資スタイルでしたが、未曽有の相場を前にそれはあまりにも勇敢すぎるスタイルでした。
英雄は静かに相場を去っていきました。
参考文献
https://en.wikipedia.org/wiki/Victor_Niederhoffer
(2021年7月17日閲覧)
https://www.newyorker.com/magazine/2007/10/15/the-blow-up-artist
(^1^2はこのサイトからの引用による)
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