第8章「B・N・F」登場
1.「B・N・F」登場
2006年2月に入り、ライブドアショック後の取材攻勢も落ち着きますが、取材依頼を一切断らない方針なのか、その後も様々な雑誌に出ます。
SABRA(サブラ)2006年2月9日号(1月26日発売)

K・Yさんは、K・Tさんの間違いでしょう。
“たとえ、Kさんほどの資産があっても、一度にジェイコム株34億円の注文は普通の人は出せない”
それまでは儲けた金額や資産が評価されることはありましたが、あのわずかな時間での決断を評価した雑誌は、このSABRAが初めてでした。
雑誌の欄外にあるように編集者にトレード経験があったのが影響したかもしれません。
濡れ手に粟(楽して儲けたという意味)とさんざん言われたせいか、
「努力しないで儲けることはできません」
と言っています。
週刊ダイヤモンド2006年2月21日号(2月6日発売)


週刊SPA2006年2月21日号(2月14日発売)
“株ヲタクのイメージが強い彼だが、実際はかなりの男前だった”
と書かれており、


と言われています。
顔立ち以上に
“表情はクールというより無表情”
“他人事のように話す”
“「そうですか」という素っ気ない返事が返ってきた”
と言うようにどこか病的な様子が伝わってきます。


2005年末に発売されたアエラ以降、ネット上では市川市27歳はBNFであるというコンセンサスでしたが、とかく猜疑心の強い2chゆえ、アエラの発売から一か月以上がたち、疑念が沸き起こってきます。






リンクは第6章③で紹介したアエラ2006年1月2-9日号(2005年12月26日発売)です。
このような背景の中で、荒川静香の金メダルに沸いたトリノ五輪開催中の2006年2月24日、月刊宝島4月号が発売されます。




2chの別人疑惑に答えようと思ったのか、マスメディアから名前を名乗るように要請されたのか、あるいは何か考えがあったのか、ついにBNFのハンドルネームを名乗り始めます。
以降BNFはマスメディア上でもBNFの名前を使うことになります。
cisは、それまで市川市27歳がBNFであることは間接的に認めつつも明言は避けていましたが、この時以降はBNFとして明言するようになります。

と言っており、当初からBNFと分かっていたようです。
2.ガイアの夜明け
2006年2月24日発売の月刊宝島4月号でBNFであることを名乗り出ましたが、一般的な影響は大きくありませんでした。
月刊宝島発売の4日後、2月28日にBNFは「ガイアの夜明け」というテレビ番組に出演します。
この番組はかつてBNFが
「儲けてるデイトレーダーを紹介する番組はいいね。
こういう番組ドンドンやってデイトレーダーがもっともっと増えてほしい」(2004年9月1日15時44分)
と言っていた番組であり、自身も出演することになります。
これはテレビ番組という事もあり、大きな反響を呼ぶことになります。
番組予告です。


何より、
“サッカー日本代表の中村俊輔を思わせる”(週刊ポスト2006年1月13日号)
“かなりの男前”(週刊SPA2006年2月21日号)
“端正な顔立ちし、少し気を使えばいくらでもモテる”(月刊宝島2006年4月号)
と言われた素顔を晒すことになります。
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この番組のインパクトは強く、カップ麺、100円ショップ、河川敷を散歩というキーワードがその後のBNFの報道でついて回ることになります。
cisはこのガイアの夜明けについては、


と言っており、誰かにDVDをもらったようですが、それ以上コメントはありませんでした。
自分のスレがBNFの話題で盛り上がるのがあまり気分良くないようです。

と言われています。
市川市27歳がBNFであることが確定したこともあって、2chから追い出した人への恨みも募ってきます。

BNFが2chの投稿を辞めた理由は分かりません。
新宿君やタクシードライバーらのせいだったのか、名無しのせいだったのか、知る由もありません。
2006年5月8日に発売された「マネーの王道」(後述)によると
「2ちゃんねるに書き込んだこともありますが、いまはやらない。
どの銘柄を売買するかは、相場の中で考えるしかない。
終わったあとに話し合っても仕方ないし、場中は話してる暇なんてない」
と言っており、トレードが忙しくなった旨のことを言っていますが、これが真意なのか計りかねます。

参考:ニート
ガイアの夜明けでは自らのことを「ただのニートだと思います」と言っています。
ニートとは勉強も就職も職業訓練もしていない無業者のことで、もともと英国発祥の言葉でしたが、2004年7月に「ニート―フリーターでもなく失業者でもなく」(玄田有史ほか)という本が出版されて以来、日本でもよく使われるようになりました。
ニートはこの頃から就職氷河期世代を中心に社会問題化していました。
文学界2006年4月号(2006年3月7日発売)で批評家の東浩紀はニート問題を論じる中でこのように言っています。
「この前、みずほ総研がジェイコム株を誤発注した時、二十億円儲けたという二十代の男がいましたよね。
報道によると彼はクレジットカードも持っておらず、近所のスーパーで買い物をしている。
その人物が二十億円持っているというわけですよ。
究極の勝ち組は、部屋にひきこもってパソコンで株の売買を繰り返すデイトレイダーだということになりかねない。
逆に言えば、ニートが仕事に就かないのはそういう例があるからで、自分は大学も出ていないし、職にも就いていないし、実家でフラフラしているけれど、いつ俺も二十億円儲かるかわからない、とか思っている連中がすごく増えてしまっている。
もちろん、うまく当たって儲かる人は一万人に一人、もっと少ないのかもしれませんが、残りの九千九百九十九人は、人生設計をするインセンティブが与えられない状態のまま、宙ぶらりんで三十代を迎えてしまう。
これはさすがに危険だと思いますね」
BNFがニートを増加させたかどうかはともかく、最も成功したニートというニュアンスで捉えているのがわかります。
また、デイトレーダーの金銭感覚を改めるため
「拘置所にいれるのがいい(笑)」
と言っており、デイトレーダーを懲らしめる対象として見ています。
これが当時のデイトレーダーに対する平均的な見方だったのではないでしょうか。
文学界2006年4月号P191
文学界2006年4月号P192~P193
文学界2006年4月号P194~P195
なお、この中に出てくるジェイコム事件で7~8億円儲けた26歳の女性というのが何者なのか不明です。
参考:ネオニート矢野
ネオニート矢野とはテレビ東京のドキュメンタリー番組「給与明細」で2005年5月に紹介された人物です。
親の遺産で株式投資をして生活しており、ネオニート(就職はしていないが収入があるニート)と呼ばれます。
インパクトのある人物で、とかくスマートなBNFと対比されることもあります。
※10分~12分は音声が入っていません。
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ネオニート矢野はこの時代最も有名なニートの一人でした。
ダイヤモンドZAiから取材を受けた矢野
ダイヤモンドZAi2006年4月号
3.2005年の手法(日経先物の出遅れ銘柄を買って行く投資法(出遅れ銘柄投資法))
2006年3月4日、月刊CIRCUS2006年4月号が発売されます。




このCIRCUS2006年4月号はBNFが唯一2005年の順張りの手法について語ったものとして貴重なものになっています。
CIRCUS2006年4月号①
CIRCUS2006年4月号②
CIRCUS2006年4月号③
この雑誌の内容を噛み砕く形で2005年のBNFの手法について説明します。
2005年のBNFの手法は、今まで紹介してきた、「トータルの値動きに乗る順張り(トータルの値動き投資法)」や「日中の高値を維持しているものを買って行く投資法(日中高値投資法)」に加え、「日経先物の出遅れ銘柄を買って行く投資法(出遅れ銘柄投資法)」になります。
2005年の日本株は、2003年半ば~2004年同様、世界情勢との相関が低く、日本株独自の動きをしていました(この傾向は2006年半ばまで続く)。
そのため、ダウやナスダック、上海と言った世界の相場よりも日経平均(日経先物)が最も重要な指標となっていました。
BNFはこの時期、日経先物を
「非常に利用価値が高い」(CIRCUS2006年4月号)
と言っています。
また、日本株は2005年半ばから俗に小泉バブルと呼ばれる平成最強の上昇トレンドに入ったこともあり、ある銘柄が買われると若干タイムラグを置いてその関連銘柄も買われるという好地合になっていました(いわゆる連れ高)。
こうした背景から、日経先物及びそれと同時に動く銘柄に連れ高する銘柄を狙うトレードをします。
連れ高(先行銘柄・遅行銘柄)を見つける具体的な方法として
「毎日これ(※登録銘柄情報の監視銘柄)を見続けると “一気に下がっていたハイテクが値を戻し始め、すると日経平均が上がり、相場が強くなってきたのを受け鉄鋼も騰げ始める” というイメージが湧くんです」(CIRCUS2006年4月号)
と言っており、まずセクター間の先行・遅行を把握します。
先行セクターのハイテクが上がり、次に日経平均とともに上がる鉄鋼セクターが上がります。
「連れ高にはパターンがあるんです。
たとえば鉄鋼なら、前兆として上の4社(※住友金属、新日本製鐵、神戸製鋼所、JFEホールディングス)のどれかが、日経平均とともに騰げ始める」(CIRCUS2006年4月号)
と言っており、鉄鋼セクターの中には日経平均とともに上がる銘柄もありますが、動かない銘柄もあります。
「しかしこの前兆段階だと、他の3社のどれかが、まだ騰がってなかったりするんです。
そんなときすぐ買いを入れるんですよ」(CIRCUS2006年4月号)
と言っており、鉄鋼セクターの中でまだ上がっていない銘柄に素早く買いを入れると言う形です。
若干整理すると
(1)まず先行セクターのハイテクが上がる。
(2)次に日経平均とともに動く鉄鋼セクターが上がる。
(3)次に鉄鋼セクターの中でまだ上がっていない銘柄にBNFが買いを入れる。
(4)最後に鉄鋼セクターの中でまだ上がってなかった銘柄が上がり、BNFに利益が出る。
ということです。
BNFはこのトレードのコツとして
「セクターで分けて監視しておくのは重要です。
昨年(※2005年)、上げ相場の例でいうと鉄鋼、銀行、証券、商社などは同時進行で連れ高したのですが、造船はいつも一歩遅れて上がりました。
高値に追いつこうとする。
それはセクターごとに比較するからわかるんです」(CIRCUS2006年6月号)
と言っており、セクターごとに値動きを把握するのが重要です。
ただ、先行・遅行を把握することより、
「どちらかといえば、先物が動いた瞬間、どれだけ早く反応できるかの勝負ですよね」(CIRCUS2006年4月号)
と言っており、BNF自身は
「考えるより先に手が動く。それほど反射的なんです」(CIRCUS2006年4月号)
と言っています。
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