38.売春・娼婦


これは旅を終えた3人の何気ない会話である。
とある平凡な昼下がりのこと。

ことの発端はカインの何気ない一言であった。

「あのさ、僕一つ旅の間に、解けなかった謎があるんだけど。」

カインが2人に向かって口を開いた。

「謎?」

「どうしたの?ハーゴンの邪教信仰の功徳についてとか?
 信仰って言うものは目に見えるものじゃないし、
 人々の中に入り込んでいるその教示は
 すぐには消えないかもしれないわ。」

マリアが何やら難しい事を言っている。
アレンは早くも眉間にしわを寄せている。
なるほど、それも難しい問題かもしれないが、
そんな大変な話をしようというのではないのだ。

「いやいや・・・それも大変なんだけど、そうじゃなくって。
 あのさ、2人は『ぱふぱふ』って知ってる?」

「ぶっ・・・!!!」

のんびりお茶を飲んでいたアレンは思わず咽た。

「わ、アレン急にどうしたの?」

「お前こそ!!
 急に何てこと言い出すんだよ!?」

アレンは机を激しく叩いて立ち上がった。
何やらアレンのリアクションがオーバーである。

「え?
 ルプガナの酒場から離れた所で、話かけられたんだよ。
 『ぱふぱふでもどうか』って言われて、
 あれからずーっと気になってたんだけど、今思い出したんだ。」

「そ、それで・・・!?やったのか!?
 ぱふぱふを・・・!?」

こいつときたら、意外とやる事やってんだな・・・
ごくりとアレンは問い返した。

「やる・・・って何を?」

だが、カインは軽く首を傾げただけだった。

「ねえ、マリア。そういえばマリアも一緒にいたよね。」

「マリアと一緒にぱふぱふ?
 お前それは相当の冒険者だぜ?」

「冒険者?どういう事?」

カインはますます分からないという顔をした。

「ぱふぱふって何か物とかじゃないの?
 食べ物か何かと思った。
 でもマリアがいるからって、ぱふぱふもらえなかったんだよ。
 女の子を大事にしてねとか言われたよ?
 あ、もしかして相当怖い虫とか!?獰猛なやつ!?」

カインのその言葉にアレンが激しく脱力した。
見るとリアクションの激しいアレンとは逆に、
マリアは先ほど固まっている。

「ねえ、マリアー。」

「え、ええ・・・。さぁ、私もさっぱり分からないわ。」

マリアはようやくそれだけ答えた。
アレンはその様子を見ると、こいつは分かってるな・・・と察した。

しかし、問題なのは本気でハテナマークのカインだ。
こいつ本気で分かってねえ・・・。
アレンはにやりと笑った。

「カインなー、お前何歳だよ?」

「何歳って・・・知ってるでしょ。アレンと一緒だよ。」

「だろー。お前なあ。
 健全な男子がそんな事言ってたら問題だぜ?」

「そ、そうなの・・・?」

よっぽど獰猛なやつなんだろうか?
あ、そうじゃなくて、もしかしてカブトムシとか、
所謂男の子が夢中になる虫のことだったり?
恥をかかないうちにアレンに教えてもらったほうが良さそうだ。

「結構やばいやつなの?」

「やばい?いや、やばい、やばくないと言えば、やばいけど。
 ぱふぱふと言えば、男のロマンだろ!!」

アレンのその言葉に、マリアがこれ以上聞いていられないと
遮って入ってきた。

「ちょっと、アレン!!カインも。
 そんな話はやめましょうよ。せっかく3人集まって
 もっといい話をしましょうよ。」

マリアは、もう話を終わらせたいようだ。

「でも、マリア。僕も男としてそこはちゃんと知りたいんだ。」

だが、妙にカインが毅然として、きりっと答えた。

「ほほう。カイン。良いじゃねえか。
 つーか、マリア、お前が外せよ。カインが知りたがってるんだ。
 男同士の大事な話をするから。」

「い、い、い・・いやよ!私はここにいるわ。
 やましい事がなければ、私を空気と思って、
 気にせず話せば良いわ!」

「お前なあ・・・。まぁ、良いや。
 じゃあ、そこにいろよ。」

アレンはマリアをいないものとすることにした。
それよりカインだカイン。こいつに教えてやらねばならない。

「カイン。俺はてっきりお前は、いつもマリアと
 ぱふぱふしてんのかと思ったぜ。」

「ぶふーーーー!!!何を言ってるのアレン!!?」

空気と思えと言っていたマリアが激しくお茶を吹き出した。

「何すんだよ〜、マリア。騒々しい空気がいたもんだなあ。
 気にせず話せって言ったのはお前だろう?」

「で・・でも、あなたねえ・・・。」

「カインは知りたがってんだから、お前邪魔するなら
 ちょっと出て行けよ。」

アレンはそう言うとマリアの背中をぐいぐいと押して
部屋から追い出してしまった。

「ちょ・・ちょっと・・!」

「あ、マリアごめんね。また後でね〜。」

カインの方はほがらかに手を振ってマリアを見送った。
さっきからのマリアの様子から察するに
獰猛な虫などの話は聞きたくないのだろうと
カインはその心中を察した・・つもりだった。

部屋に2人だけになると、
カインは改めて、アレンに尋ねた。

「あんまり獰猛なやつじゃないの?」

「獰猛?だから、お前何と思ってるんだ?
 めちゃめちゃソフトだよ。やわらかいあれに包まれたら
 男なら誰でも興奮するぜ〜〜。」

「やわらかいあれに包まれる?
 あー、分かったー!」

「やっと分かったかよ。」

カインがようやく理解したようなので、
アレンもうんうんと頷いた。

「マリアとはやったことないけど、
 僕サマルトリアでいつもやってるよ〜。」

「そっか、マリアとはまだやってねえのか・・・。
 って!!サマルトリアでってお前それって結構問題だぜ?」

マリアと言う彼女がいながら、
サマルトリアでぱふぱふやりたい放題などとは問題発言だろう。
マリアが席を外していて良かった・・・。
血を見るところだったぜ・・・などとアレンはごくりと息を飲んだ。

「あー。やっぱりそうなのかな。
 僕もちょっとそう思ってたんだ。」

そういうとカインはきょろきょろと部屋内を見渡し、
そしてソファに置かれたクッションを二つ手にして戻ってきた。

「こういうことでしょ?」

そう言うと、カインはアレンの顔をクッションで包み込んだ。

「ふにふにふに〜〜って。
 どう?あってる?これがぱふぱふだよね?」

おお・・・
二つのやわらかみに包まれて・・・・
これは確かにぱふぱふ。

「えーい、こっちもぱふぱふ〜。
 そっちもぱふぱふ〜〜。」

そしてカインはクッションを使ってアレンの顔のみならず
腕や腹部やしまいには太ももやらと
優しく包み込んだ。

おい・・・おいおい・・・・どこまでぱふぱふする気だ。
こいつはやべえだろう?

ぱふぱふってそんな、そこまでやっちゃうもんなんだっけ・・?
どうなんだっけ?

アレンはされるがままになりつつ、
ぼんやりと思考をめぐらせた。

こいつめ、幼い顔をして、
実はそんな所まで進んでいたとは・・・。

って言うか、やっぱりサマルトリアでぱふぱふしたい放題はまずいだろう!
仲間として、さすがにそれは案じるぜ!!!

「カインの馬鹿やろうーー!!」

「わっ!!」

アレンはカインにクッションを投げつけた。
こいつには世間の常識ってやつを教える必要があるらしい。

「それは駄目だろう!!さすがに!!」

「え・・・・。やっぱり駄目・・・?
 男としてやっぱり駄目?」

「ああ。分かってるじゃねえか。
 それは、男としてやってはいけない事だ。」

アレンは何度も頷いた。

「良いか、男として越えてはいけない一線とは・・・。」

「やっぱり気持ちいいからって、
 沢山やわらかいクッション集めてきて、
 ふにふに〜ってその上でごろごろして寝てたら、駄目だよね・・。
 男として格好悪いよねえ・・。」

「そうだ、男として、気持ちいいからって
 沢山のやわらかいおっぱいが・・・。
 って・・・、何だって?」

途中まで喋っておいて、アレンは思わず聞き返した。

「何って、アレンこそ何だって?」

カインが真顔で聞き返してきた。

「おっぱい?」

「クッション?ふにふに?」

ちょっと待てちょっと待て。
カインの真顔が辛い。

「ちっがーーう!!変だと思ったーー!!
 ぱふぱふし放題って、
 サマルトリアのどこにそんな花街みたいな場所あったけとか
 色々心配したじゃねえかー!」

「は、花街って・・・・。」

「お前の事だから、花街も花屋さんと勘違いしてねえだろうな?」

「さ・・・さ、さすがに分かるよーー。
 女の人を買いに来るとかいう・・・そんなのサマルトリアにはないよ!?」

「だろ。だから、お前がサマルトリアでぱふぱふし放題って言うのが
 変だろって思ったんだ!」

「あ、あの・・・で、結局ぱふぱふって何なの?」

まだこいつはそんな事を言ってやがる。
こいつこんなんで本気で大丈夫か?
仕方ねえ、俺が一つこいつを大人にしてやろう。

「だからさ、おっぱいって二つあるだろ?」

「・・・・・・・。」

全く手のかかる奴だ。
アレンが説明すると、カインは顔をパーンと真っ赤にしながら、
は〜・・・と話を聞いていた。

「でもマリアって、そんなに胸でかくないもんなあ。
 ちょっと難しいかもな。」

「え・・・じゃあ、もしかしてアレンはクレハさんと
 いつもぱふぱふをしてるの?」

カインは素朴に純粋に、そんな事を聞いてみた。
おお、食いついてくるなと思いつつ、アレンは首を横に振った。

「いや、それがさあ、あいつさぁ女を捨ててる所があるから、
 胸とかまるで男みたいに滑らかに平らかで、
 全然成長しなくって、俺は逆に心配したくなるぜ。」

「そうなんだぁ・・・。見た目、十分クレハさん女の人らしく見えるけどね。
 男っぽいって言う方が僕はちょっと良く分からないけど。」

「あいつは結構外見から入る奴でさ。
 男装姿もすげえ様にはなってるけど、
 でもやっぱり女なんだし、女らしくしてるのが良くないか?」

「そうだねえ・・・。」

「やたら、剣とか教えてくれって言ってくるし。
 それは良いんだけどさ。それだけじゃない何かと言うか・・。」

「あー、ちょっと分かるー。
 確かにうちの妹も、お前もう十分だろとか思うー。
 剣とか振り回してる場合じゃないよーって思っちゃうよね。」

「だよなあ。って、ところで、何の話だっけ?」

「ぱふぱふの話。」

いかんいかん、そうだ話がそれすぎている。

「そうだよ、ぱふぱふの話だよ。何の話してんだ。
 で、なんだよお前結局したことねえんだよな。」

「う、うん。」 

「じゃあさ、ルプガナにいるんだろ?
 そのぱふぱふ娘のとこに、ルーラしていけば良いじゃん!」

「あー・・・そうだねえ・・・・。
 って、ところで、この部屋ちょっとなんか寒くない?」

アレンがルーラを提案した所で、
急に室内が冷え込んだ気がした。

いや、気がするどころではない。

部屋の中が凍りだしている。

「うわっ、なんだこれ・・!?」

「ちょ、ちょっとマリアでしょ!?これは一体・・・?」

部屋の中を凍らせられるなんて、
そんな芸当が出来るのはマリアくらいだ。

「ふふ・・・。どうぞ気にせず続けて。
 私の事なんて空気と思って。」

「げっ、マリア!?お前まだいたのか?
 それに何を書いてんだよ!」

「席を外させてもらってる間の
 貴重な時間に、お手紙を書きあげたわ。」

「手紙?」

「おたくの大事な王様が、頭の中ぱふぱふでいっぱいで
 親友として私困っておりますって。
 差し当たって、クレハさんに出せば良いかしらね。
 ふふふふ。」

「うわーーー!」

アレンは準備周到すぎるマリアの仕事に思わず悲鳴を上げた。

「カインも分かってるわね。」

マリアはカインの方を向いて、一通の手紙を取り出した。
こちらはサマルトリアにでも出す脅しのつもりだろう。

「わーー、マリア。冗談だよ!」

そうやってカインを脅す姿に、
アレンは、こいつらの力関係が目に見えるようだなと思った。

「おい、マリア。部屋凍り付けたり、脅しかけたり、
 反対なら反対って言えば良いじゃないかー。」

アレンはマリアのやり方に抗議した。

「あら、私はルプガナに行くななんて言ってないわよ。
 行きたければどうぞ。」

「え、そうなのか?」

「ええ。ご自由にどうぞ。
 でも確かルプガナのそのバニーガールって
 おかまらしいけどね。
 じゃあ、あとは2人で、ごゆっくり。」

にっこり笑って、マリアは部屋を出て行った。

「なんつった?おかま?げ、おかま?
 きもちわるーーー!
 おい、カインお前それ先に言えよ。」

アレンが思わずそう言って振り返ると
カインはその場で凍り付いていた。

「さむ・・・くて・・・うごけない・・・。」

「ギャーーー。おい、大丈夫か!?
 ってか、俺もこおっとる!
 ドアノブも凍って動かんぞ!?
 ほぎゃあ!止まってたら足も凍りついたーー!」

「まりあー・・・許してー・・・。
 あけーてーー・・・。」

静かなるマリアの怒りを感じながら、
2人の悲鳴はしばらく鳴り響いたという。
 




- 終 -

2013/09/18

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 リクエスト小説で「アレンカインマリアの3人がぱふぱふについて考える」でした。
 www。
 ぱふぱふを知らないカインと、知ってるアレンとマリアと・・って感じにしてみました。
 でも、意外と健全男子で普通に食いついてきた感じでwww
 なんとなくクリア後の番外編って感じでしょうか。
 色々スイマセンでしたー。

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