「勇者・・・・アレフ・・・・だと?」
黒髪の男は怪訝な顔をしている。
見知らぬ顔の自分達をいぶかしんでいるのかもしれない。
「あ・・あの・・・・自分達は・・・」
怪しいものではない。
そう言いたいのだが、どう言えば怪しまれずに済むのか
まさか「あなたの子孫です」などと言える訳も無く、
カインとマリアはどう答えるべきか考え込んでしまった。
しかし黒髪の男は、きょとんとした顔で答えた。
「誰だ、それ?」
黒髪の男は、ますます怪訝な顔をしていた。
もしかしてとんだ勘違いだっただろうか。
いや、確かに自分達の想像力が膨らみすぎたのかもしれない。
アレンにそっくりだからと「あの勇者アレフだ」などと
思ってしまったのは、あまりに突拍子もない話だ。
逆に勘違いで良かった。きっと単なる別人だろう。
「申し訳ありません、人違いでしたか。」
カインはそう言って頭をさげた。
きっと勇者アレフに良く似た感じの若者なのだろうと
そう2人が思考を落ち着けたとき、
男は再度口を開いた。
「俺は確かにアレフだが、
何の話だ?勇者って。確かに誰かと間違っているみたいだな。」
「え・・?ええ!?じゃあやっぱりアレフ様なのですか?!」
勇者という称号がまずかっただろうか。
「アレフ様〜〜!?なんだそりゃ」
男は磊落に笑い出した。
カインは困ってマリアと顔を見合わせた。
「俺はただの傭兵のアレフだ。」
「傭兵のアレフさん・・。」
「世界には立派なアレフ様がいらっしゃるようだが、俺はそんなんじゃねえよ。」
「・・・・・・。」
やはり人違いなのだろうか。
「つーか、こんなことしてる場合じゃないんだ。
ローラ姫を探さないといけねえんだ。」
そう言って慌てて立ち去ろうとするアレフ。
「あ、待ってください!」
「何だよ。」
「一つだけ確認させてください。
ローラ姫とは・・・・・・ラルス16世の・・ラダトームの王女のことでしょうか?」
そう聞くとアレフは、おかしそう事を聞く奴だと言わんばかりに
首をかしげながら答えた。
「他にいんのか?ローラ姫が。」
++++++
その頃アレンは・・・・
待ち合わせ場所からすっかり離れた所に来ていた。
道に迷った訳ではない。
何故だかここに連れてこられたのだ。
アレンが温泉から上がったとき、
ちょうどマリアがそこにいた。
マリアは風呂上りのせいかいつもと服装が違っていた。
髪の毛に身につける頭巾もいつもと違っていた。
髪全体を包むようにしている。
マリアはアレンを見つけると
「行きましょう。」
とだけ言い、アレンをこの宿へと促したのだ。
アレンは今日宿に泊まるなんて話はしていない。
早くもとの世界へ帰りたいし、泊まっている暇など無い。
「なんだよ?宿取ったのか?」
勝手に宿を押さえてしまったマリアに少し違和感を覚えた。
しかしマリアはもっと違和感を感じたような顔をしている。
「何を申しているの?あなたが宿を取ったのでしょう?」
「は?俺がいつ?俺は早くこの街から出たいんだけど。」
「え?今なんて?」
「?早く街を出たいと。」
「まぁ!やっとそう言って頂けましたか!ならば早く行きましょう!」
何故かマリアは大喜びをしている。
「それより何だよ、その頭。ぐるぐる巻きにして。
おかしくないか?」
「まぁ、あなたが言ったんでしょう?
身分がばれてはいけないから、変装をしなければ・・って。」
「・・・・・・・」
アレンはさっぱり訳が分からない。
会話がかみ合わない。何の話をしてるんだ。
何故今更マリアに身分を隠して変装するよう言わなきゃならないんだ。
ずっと普通に旅をしているじゃないか。
「うふふ。あなたがそう言うならば、これ、外しますね。」
マリアはそう言うと頭に巻いていた布をぐるぐると解いていった。
その髪の色は、いつも見ている紫の長髪ではなくて、
ブロンドに輝く美しい髪だった。
そこで初めてアレンは気づいた。
『マリアじゃない!』と。
「ス、スマン!人違いだった!!俺の知人と似ていたんだ。
勘違いしていた。」
アレンは慌ててそう弁解した。
女性は不思議そうにしている。
「あなたアレフでしょう?」
「は?あ・・・いや、俺はアレンです。」
アレンの答えに今度は女性がきょとんとしている。
「?あなた・・アレンと申すのですか?アレフにそっくりなのに・・・」
「『アレフにそっくり』?」
アレンはその言葉を記憶の奥底でよく言われていたことだと思い出した。
そう、『アレンは勇者アレフの肖像画に良く似ている』と。
「それを言うなら、あんたはマリアにそっくりなんだけどなあ。」
「マリア?どなたですか?」
「俺の仲間だ。一緒に旅をしてるんだ。」
「女性なのに旅を?危険ではないの?」
「そうだなあ。でもあいつの使う魔法は一級品だから、俺は何度も助けられている。」
「まぁ・・・・・。」
そういうと女性は大きくため息をついた。
「アレフも私のことを少しでも仲間だと、認めてくれたら良いのに。」
「え?」
「アレフは私を気遣うばかりで、この街を未だに動こうとしません。
私はすっかり元気になったのに。」
「・・・・・。」
「早くラダトームに帰りたいわ。」
「ラダトーム?あんたって一体・・・・。」
女性はどことなく高貴な雰囲気をまとっている。
どことなく、自分が育ったローレシアの肖像画で見たあの女性に似ている・・・
ふと、アレンがそう思ったとき、
急速に今までの不思議な体験や、違和感がパズルのように
重なり合っていくのを感じた。
「あんた・・・、いや、あなたは・・・もしかして・・・・!?」
「申し遅れましたわ。ラダトームのラルス16世が娘、ローラと申します。」
「・・・・・!!!」
さすがに開いた口がふさがらない。
目の前にいるのが、いつもローレシアで見てきたローラ姫その人だというのだ。
「それにしても、あなたがアレフじゃないとすると
アレフはどこへ行ったのかしら?」
「え・・?あ、いや・・さぁ・・・?」
こうなってくるとカインが人間違いした自分のそっくりさんがきっと勇者アレフだ。
ローラ姫が自分をじーっと見つめてきた。
「あなたはアレフそっくり。きっと強いのね。」
「え?」
「あなたで良いわ。一緒にラダトームへ行きませんか?」
「えーーーー!!いやいやいや、それは問題があります!」
「問題?アレフには書置きを残しておきますわ。
『ローラ先に帰ると』」
「だーめですって!!俺が生まれなくなったらどうするんですか!?」
先祖と2人で駆け落ちなど、問題だらけだ。
アレフとローラが結婚しなければ、自分も生まれないし、
ローレシアもサマルトリアも存在しなくなる。
駄目だ駄目だ、ありえない。
「は?何ですって?」
「いや・・・とにかく。勇者アレフを探しましょう!!」
「えーー・・・アレフを探すのですか?」
ローラ姫は何故か乗り気ではない。
何故だ?
アレフとローラ姫は、駆け落ちするほどに愛し合ってるのではないのか?
++++
「と・・・言うわけで、姫の身体は長い監禁生活で弱っているんだ。
歩くことも出来なかった。」
アレフは足早に街を探索しながらカインとマリアにそう告げた。
ローラ姫は竜王に連れ去られてとある場所で監禁されていた。
アレフはそれを救出し、衰弱していたローラ姫をこの街まで連れて来たと言うことらしい。
「なるほど、それでこの温泉街で身体を癒していたと言うわけですか。」
「そうだ。でも姫は3日ほど経ったころから、すぐに宿から抜け出すようになってしまった。」
「それは心配ですわね。」
「姫は無茶をする人なんだ。もうすっかり良くなってラダトームに戻れると思っている。」
「お城に戻りたいのでは?お連れしてはどうでしょうか?」
そういうと首をぶんぶん横に振るアレフ。
「お前達は子供だから街を出たことも無いかもしれないが、
外には多くの魔物たちがうようよといるんだ!
そんな危険な場所に姫を連れて行くわけにいかん!」
なるほど。
アレフはローラ姫が心配なのだ。確かに魔物たちが多く出る中
たった一人で、戦闘も出来ない深窓の姫を連れ歩くのは危険すぎるだろう。
カインとマリアは目を見合わせた。
自分達が旅を手伝えれば良いんじゃないかと思った。
そう言おうとしたとき、
見知った2人組が現れた。
ローラ姫とアレンだ。
「姫!???」
「ア、アレフ・・・・・」
出会ってしまった2人は気まずそうな顔をしている。
「やはり、そうでしたのね!!
私をラダトームへ連れ帰る気なんて無かったのでしょう!?」
「違う!そういう訳じゃないんだ!」
「私はあなたを信頼して、ここまで着いて来たというのに・・。」
そう言うとローラ姫は唇を噛むように悲しんでいる。
そんな2人の修羅場をよそに
アレンとカイン達は無事に合流した。
「お前ら・・!なんで勇者アレフと!?」
「アレンこそー、なんでローラ姫と一緒にいるの。」
「たまたま会っただけだよ。
つかこれ・・・やばくね?」
目の前で、自分達が憧れてきた勇者アレフとローラ姫が喧嘩をしているのだ。
「このままにして置ける訳が無いわ。」
マリアが一歩、アレフたちの元へ歩みでた。
「あなたが・・マリアという者ですか?」
ローラ姫は自分を見ると何故か名前を知っていたらしい。
おおよそアレンがそっくりだからと名前を告げていたのだろう。
「ええ、お初にお目にかかります。ローラ姫様。
一度でもお会いすることが出来ればと思っていましたわ。」
マリアはスカートの裾を手にし、ゆっくりと丁寧にローラ姫に挨拶をした。
お会いしたいと思っていたのは本当だが、まさかこんな形になるとは。
「ローラ姫様はお城へお戻りになりたいのですね?」
「ええ・・・、もう城を出てからどのくらいになるでしょう。」
自分が暮らし育った城へ戻れない悲しさは
マリアこそ一番良く分かっている。
「ならば、戻りましょう。」
マリアは優しく微笑みながらそう言った。
「おい、あんた!何を言うんだ!」
アレフがあわてて意義を唱えた。
「アレフ様、私たちも長く旅をしている者です。
この仲間達とともに魔物と戦い、必ずや無傷で姫を
城へお連れするよう約束しますわ。」
力強くそう宣言するマリア。
アレンもカインも続いた。
「僕達も協力します!
僕らも魔法だって使えるし、力になれると思います。」
「あなたは?」
「えーっと、僕はサマルトリ・・・ア・・・・の・・・・・・・あいた!」
「バカお前、何言ってんだ。」
嬉しそうに自己紹介をしようとするカインをアレンは慌てて止めた。
サマルトリアなんて国は今存在しないのだ。
「俺たち・・えーっと何と言うか親戚同士なんだ。」
「まぁ、親戚同士で旅を?仲が良いのですね。」
ローラ姫は笑っている。特に怪しまれていないらしい。
「な?勇者アレフ、俺だって剣に覚えがある。
一緒にラダトームへ行こう。」
アレンがアレフに拳を振り上げた。
アレフがまたきょとんとしている。
「だから、その勇者って何なんだ。」
「わーーー、もう、アレンってば!傭兵のアレフさんだよ!」
時期から考えると、恐らくこの未来の英雄であるアレフは
まだ勇者と呼ばれていないのだ。
「よし、分かった。姫がそれだけ言うんだ。
城に戻りましょう。」
そして、アレフとローラはようやく帰城を決めたのであった。
+++++
「姫ーーー!!あぶなーい!!」
アレフの悲鳴にも似た声が聞こえる。
前面の敵と対していたときに、
背後にも敵が現れたのだ。
「だーいじょうぶですよ。」
背後の敵はアレンが斬り捨てた。
ローラ姫の左右はカインとマリアが固めている。
鉄壁の防護だ。
それでも先ほどから何度もアレフは後ろを気にしている。
「ねぇカイン・・・。」
「?」
「アレフ様って・・・・心配性なのかしらね。」
自分達の力も十分に見てもらえたのに、
それでもアレフの心配は尽きないようだ。
「いやあ・・・。大変だったと思うよ。」
「え?」
先ほどからのアレフの動きを見ていると良く分かる。
敵を倒すことも、姫を守ることも、自分達の回復をすることも、
旅の行程を考えることも、休息の際に油断無く見回ることも、
その全てをアレフはたった一人でしなければならなかった。
「アレフ様、かっこいい。」
カインは独り言のようにそう言うと
アレフの戦う後ろ姿を、尊敬の眼差しで見つめた。
アレンは、あの「勇者アレフ」と共に戦うという
この貴重な体験を、一瞬たりとも無駄にしたくないと思った。
アレンは力自慢であるが、アレフはその自分と同等以上の力が
あるだろう。さらに先ほどからべホイミやベギラマなどの強力な
魔法も使っている。
まさに勇者の戦い方だろう。
魔物を斬り捨てながら、アレンはそう思った。
「アレン!お見事だな!」
見事な太刀筋に勇者アレフは感嘆の声をあげた。
「ご先祖様ほどじゃないですよ。」
「は?ごせんぞ?」
「いーや、独り言。」
アレンは笑いながら言った。
「アレン、また来たぜ!!」
2人は剣を構える。すっかり良い相棒だ。
先ほどから間断なく繰り広げられる戦闘。
ローラ姫は自分が足手まといなのを十分に感じ取っていた。
自分が足手まといだから、アレフまでもがマイラで足止めを食っていたということも
本当は良く分かっている。
でも、本当は自分だってアレフの力になりたい。
守られてばかりの自分は嫌だった。
ローラ姫はある事を思い立った。
「マリア?」
「はい、なんでしょう姫様。」
「あなたは魔法が得意だと聞きました。教えてもらいたい魔法があるの。」
「え・・・?」
姫はマリアにそっと耳打ちした。
「どうかしら?」
「ええ、それは・・・素敵なことだと思いますわ。」
マリアはローラ姫の願いを快諾した。
幾度と無く戦闘を終え、一時の休憩を取ることにした一行。
「ラダトームへはあとわずかだ。2・3時間もしない内に到着するだろう。」
アレンは地図を見ながら、そういった。
「ああ、順調にここまで来られている。
お前達のおかげだ。」
「いや、とんでもないです。」
「ところでアレンの太刀筋は何となく俺のものと似ている気がするんだが・・・。」
「え、いや!気のせいですよ!!」
ローレシアの剣流は、アレフの伝えたものだから、似ていて当然なのだ。
「はーい、皆さん、食事ですよー。」
カインがありあわせの材料と持ち合わせの鍋で簡単な食事を作って運んできた。
「おお、助かるぜ。干し肉しかなかったんだ。」
「あはは。アレンもそうですー。放っておいたら干し肉しか食べないんですよ。」
勇者アレフが、アレンとそっくりな顔でアレンと同じようなことを言うのが面白かった。
「そうなのか、アレンはとにかく俺にそっくりだよなー。」
「いやーーーーー。偶然じゃないですか?」
「そうか?マリアだって、ローラ姫とそっくりじゃないか。
なんだか他人に思えないんだが。」
「えーっと・・アレフ様!世界にはそっくりな人間が3人はいるそうですよ!」
「そうなのか?じゃああと1人いるのか。それは会ってみたいもんだ。」
何とか話題をごまかしつつ、男達3人が楽しげに歓談しているとき、
用足しに出ると言って少し離れていたマリアとローラ姫が戻ってきた。
「姫様お帰りなさい〜。ご飯ありますよ。」
「ありがとう。」
姫は軽く頭を下げたが、食事には手をつけずそのままアレフの隣へと座った。
「ど、どうしたんですか。姫。」
アレフは少々驚いていた。自分はすっかり嫌われたと思っていたからだ。
ローラ姫はアレフの右手を取った。
「アレフ、長くの戦いで傷を負っているでしょう?」
アレフの右手は激戦の痕で衣服が破れ、出血もしている。
「いや、大したことは無いのです。姫、さわると汚いです。」
血液がローラ姫に付着することを恐れ、
アレフは手を引こうとした。
「汚い?」
しかしローラ姫はそれを拒否した。
「何が汚いものですか。あなたはこの腕一本で、いつも私を守ってくれていた。」
ローラ姫はこれ以上ないほど優しく笑った。
「いつもありがとう。アレフ。」
そう言うとローラ姫はホイミを唱えた。見る間にアレフの傷が癒されていく。
間違いなく回復魔法のホイミだ。しかし姫が魔法を使うなんて初めて見た。
「え・・・!?姫が・・・・魔法を・・・!??」
驚くアレフに、ローラ姫は恥ずかしそうに笑った。
「マリアに・・・教えて頂いたのよ。」
「いいえ。姫様とても魔法の才能がおありだわ。すぐに覚えてしまったもの。」
きっとローラ姫はアレフのために、一刻も早くホイミを覚えたいと思っていたのだろう。
実際すぐに覚えてしまった。
「ねえ、アレフ。これで私もあなたの役に立てるかしら?
あなたの足を引っ張ってばかりだったけれども・・。」
「ひ・・・姫!いや、いや・・・・違うんだ。俺の方こそ!
こんな未熟な俺に全て託して着いて来るなんて
さぞや心配だったと思う。不安だったと思う。」
そう言ってお互い頭を下げている。
はっきりと分かった。2人とも、単に不安だったのだ。
その2人の様子を見て、あまりにもおせっかいな事だと十分に分かっていたが、
カインは声をかけた。
「大丈夫ですよ。アレフ様、ローラ姫様。
お2人の力はこの世界に平和をもたらすんです。
その後もお2人はお互いに助け合って素晴らしい国・・あ、いや
素晴らしい人生をお送りになると思いますよ。」
「おまえ!何を!」
急にそんな事を言い出したカインにアレンは驚いた。
「アレン、だって・・・本当のことでしょう?」
「ええ、そうね。カイン。本当のことだわ。」
マリアは静かに同意してくれた。
「お前達は、一体・・・何を言ってるんだ?お前達は本当は何者なんだ?」
アレフは何が何やら分からないと言う表情をしていた。
「何者かは言えませんけど、
あなた方をずーっとずーっと、小さいころからずーっと尊敬し、
お慕いしてきたんです。」
カインはこの2人に出会えた感激を伝えた。
「私もですわ。アレフ様とローラ姫様の愛の深さを知って感動しましたわ。」
マリアはローラ姫の自分の力でアレフを癒したいと言う一途な愛の力に
深く感動した。
「・・・。アレフ様。一緒に戦うことが出来て本当に嬉しかった。
アレフ様の強さ・・・・本物でした。きっと、これからどんな戦いがあっても
あなたなら勝てます。」
アレンはアレフの横で戦うことが出来て本当に孤独な勇者の強さを実感した。
これから来るべき大きな戦いも、彼なら乗り越えられるに違いない。
++++
そして、3人は無事にラダトームへアレフとローラ姫を連れ帰ることができたのだった。
「ああ、ありがとう。アレン、カイン、マリア。
良かったら、城へおいでください。きっとお持て成しいたしますわ。」
ローラ姫は旅の疲れも見せず、自分達を城へと招待しようとした。
しかし、アレンたちはこれを丁重に断った。
「ありがとうございます。姫様。
でも自分達は帰らないといけない世界があるのです。」
「あら・・そうだったの?それなら仕方ないわ。」
きっとそこには待っている人がいるのだろう。
「きっとまたラダトームへいらしてくださいね。」
「ええ・・・きっと。ありがとうございます。」
3人は深く頭を下げた。
「元気でな。」
アレフはアレンに握手を求めた。
「助かったよ、本当に。」
「いいえ、こちらこそ。勇者アレフ、これからも頑張ってください。」
「その『勇者アレフ』と言うのはこそばしくて仕方ない。
やめてくれよ。」
アレンは笑った。きっともうしばらくしたら、皆がそう呼ぶのだ。
少しは慣れておいたほうが良い。
そしてアレンたちは慌しく去っていった。
「アレフ、あの者達何だったんでしょうね。」
アレフは、ふとアレンが持っていた剣の印のことを思い出した。
あれはまるで・・・ロトの剣ではないのか?
いや、そんな訳はない。そんなはずはないだろう。
「姫、では行きましょうか。」
アレフはそう言うと、ローラ姫の手を取り、ラダトーム城へと帰っていった。
- 終 -
2010/12/07
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