第22章前夜②
5.前夜
福田総理が9月1日21時半から突如記者会見をします。


日本の政治は混迷していましたが、それ以上に米国の経済は揺れていました。




ファニーメイとは米国の連邦住宅抵当公庫のことです。
民間金融機関から直接住宅ローン債権を買い取り、それを証券化市場で住宅ローン担保証券として発行する業務をしていました。
当初は米国の法律に基づいて設立された政府系金融機関で、後に民営化され、ニューヨーク証券取引所にも上場していました。
ファニーメイという名前は通称で、連邦住宅抵当公庫の頭文字FNMAから付けられものです。
フレディマックは米国の連邦住宅抵当貸付公社のことです。
ファニーメイとほぼ同じ業務をしており、ニューヨーク証券取引所に上場していました。
ファニーメイ同様、フレディマックと言う通称は頭文字FHLMCから付けられたものです。
参考文献
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/hu/fannie_mae.html
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/hu/fhlmc.html
ファニーメイ、フレディマックいずれもサブプライムローンの不良債権化に関連して経営が悪化していました。
そのファニーメイとフレディマックに公的資金が注入されて実質国有化されると言います。


噂通りファニーメイとフレディマックへの公的資金の注入が発表されます。





ファニーメイとフレディマックに米国の公的資金が注入されます。
米国民が負担を負い、株主が責任を問われ、債権者は守られるということになりました。
様々な賛否があったでしょうが、これでサブプライムローン問題は解決した…かに見えましたが、新たな火種が起こります。
それはバフェットが予想した「金融機関が破たんする可能性」です。
ファニーメイとフレディマックの公的資金注入が発表された9月8日(月)の米国市場です。


ファニーメイは90%安の73セント、フレディマックは83%安の88セントで終えます。
他方、リーマンブラザーズは損失が拡大すると見られ13%安です。
後に雑誌で語ったところによると、ファニーメイとフレディマックの公的資金注入が決定したこの日、BNFはこの2社を猛然と買い始めます。
「今年最大の大勝負だった」(フライデー2008年12月15日号)と言っています。
「9月7日に米国政府が、経営難に陥っていたファニーメイとフレディマックに公的資金を注入して、救済することを決めましたよね。
それを知った時、りそな銀行が国有化された時のことを思い出したんです。
あの時は(国有化が決まった)当日は株価が下げたんですけど、翌日から上昇していきました。
それと同じようになるんじゃないかと思って」(ダイヤモンドZAi2009年1月号)

BNFの予想通り、ファニーメイとフレディマックは大きくGDします。
BNFが注文しようとした時、思わぬ事が起こります。
「日本株とのバランスを考えて、45億円分買おうと思って注文したら通らなかった。
『一度に1万株未満しか注文できません』って。
1万株って100万円分くらいだから、45億円買うとなるとものすごい大変で。
で、その日は5時間くらいチマチマ注文して……」(SPA2008年12月9日号)
「結局、何日かに分けて30億円分買いました。
ファニーメイを約2100万株、フレディマックを900万株、合計で3000回以上注文したら、上腕の、三角筋が筋肉痛になりました。
あ、注文するときはこの筋肉を使ってるんだって、一つ勉強になりました(笑)」
フレディマック日足チャート(SPA2008年12月9日号より)

2008年9月9日(火)




韓国産業銀行が資本不足のリーマンブラザーズに資本を注入する交渉をしていましたが、それが頓挫し、リーマン株は45%安になります。
リーマンブラザーズは決算発表を前倒しします。

20時30分の決算発表です。


この日のダウは11268.92(前日比+38.19)、ナスダックは2228.70(+18.89)、S&P500は1232.04(+7.53)でした。
ロイターのNY市場サマリーです。

ソロスもリーマン株で損失を出しているようです。

2008年9月11日(木)
リーマン株は40%以上、下落して始まります。

前日発表した資本増強策とは投資運用部門を売却することです。


リーマン株は大きく下落していましたが、引け間際です。

リーマン株は結局-40%以下で引けたようですが、ダウはプラス圏で終えました。
ダウは11433.71(+164.79)、ナスダックは2258.22(+29.52)、S&P500は1249.05(+17.01)でした。
リーマンブラザーズはおそらくバンクオブアメリカ(バンカメ・BOA)に売却されるのだろう…これが大方の見方でした。
2008年9月12日(金)






2008年9月13日(土)・14日(日)
米国財務省はベアースターンズとは状況が違うので公的資金の投入はあり得ないというスタンスです。

米国の金融トップが緊急会合を開きます。
リーマンブラザーズの身売りに関する協議です。




バンクオブアメリカか、バークレイズか、はたまたダークホースのゴールドマンサックスか…
一方で米国政府による公的資金の投入は無いことがほぼ確定です。


“the possibility that the government would need to orchestrate an orderly liquidation of the firm on Monday”
月曜日(9月15日)に秩序ある清算ができるよう米国政府が調整しなければならない可能性がある…
リーマンブラザーズ破綻がにわかに現実味を帯びてきます。






“バンクオブアメリカBAC.N、バークレイズBARC.L、ゴールドマンサックスGS.Nは、米国の投資銀行リーマンブラザーズLEH.Nを買収する契約に早ければ日曜日に合意する予定です”
破たんのうわさが出れば、すぐに救済のニュースが出たりします。
おそらく、ここら辺でBNFが動きます。
ひょっとしたらBNFもこのニュースを見たのかもしれません。
BNFは楽天証券の注文規制のため連日、ちまちまとファニーメイとフレディマックに注文を入れていました。
「最後には、恐ろしく速く注文が出せるようになりました。
何も考えてないのに、腕が勝手に動くんです。
それを眺めていると“この手は機械で、人間の手じゃないんじゃなかな”と思ったり」(ダイヤモンドZAi2009年1月号)
BNFは45億円分、4500回注文を入れる予定のところ、30億円分、3000回程度で心が折れてしまいます。
そこで余った15億円分のうち、7億円分でリーマン株を買いに行きます。
“公的資金が入ると見た” (ダイヤモンドZAi2009年1月号)ためです。
「15億円余っちゃったから、ちょうど暴落してたリーマン・ブラザーズに手を出しちゃったんですよね。
7億円ほど買った」(SPA2008年12月9日号)
ファニーメイとフレディマックは公的資金の注入が決定してから買いに行きましたが、リーマンブラザーズはそれを待たず勇み足で買いに行きます。
BNFも連日の注文作業で判断力が落ちていたのかもしれません。
世界はリーマンブラザーズの行く末をめぐって情報が錯そうしていました。


破たんなのか救済なのか…
ついに形勢が大きく動きます。



バークレイズが降り、バンクオブアメリカがメリルリンチ買収に方向転換、米国政府は公的資金の投入をしない。




https://time-az.com/main/detail/60342 より
万事休す―
6.そのころcisは
世界の経済が動き、BNFが果敢にリスクを取っていた時、cisは高配当のリートを買い集めていました。












この日(9月12日(金))の時点でリートへの投資は4億6648万8232円、含み益は4723万3768円(+10.13%)で、配当利回りは約12%ということです。
cisの9月12日までの収支です。
リートの含み益を背景に9月に入ってから着々と利益を増やしていました。

世界の相場はある意味、この日が一つの区切りでした。
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