2.出会い


ラダトームの街並みは、お祭り騒ぎである。

ローラ姫の旅立ちから、ほぼ100年経っていた。

その面影をつぐロトの同盟国3国が一堂に会するのだ。
この日は6年に一度のロト祭の開催の日だ。



しかしローレシアのアレン王子はとても退屈していた。
船に乗りっぱなしなのも退屈だったが、城についても
大人たちが難しい話をしているばかりでつまらない。

このお城は勇者様が過ごしたと言うすごいお城だと聞いてたのに、
部屋には何もなかった。

退屈しきったアレンはこっそりと部屋を抜け出した。



アレンはきょろきょろと見回しながら歩いている。

「古い城だよなー。ローレシアのほうが新しくてすごいぞ。」

ローレシアはローラ姫の旅立ちにより誕生した国なのだから、
古いのは当たり前なのだが、まだ6歳のアレンにはその辺が
よく分かっていない。


ふと見るとまた新たにどこかの王様が到着したようだ。





「ようこそ、我がラダトームへ。」

豊かな髭が自慢のラダトーム王は自ら先頭に立って
サマルトリアの王家を迎えた。

「これはラダトーム王、御身自らのお出迎え、恐縮に存じます。」

サマルトリアの王は朗らかな笑みを浮かべて一礼をした。

「これが王子のカインです。そちらは王妃と姫のマイです。」

「これはこれは大きくなられましたな。かわいらしい姫君は
 はじめまして。」

ラダトームは小さな姫を怖がらせないように
ニコリと微笑んで挨拶をした。

「こんにちは!カインです!王様もお元気そうで嬉しいです!」

前回来た時は赤子であったカイン王子は、6歳になり、
しっかりとお辞儀をしてニコニコと自己紹介できるようになっていた。







その様子を見ていたアレンはちょっと面白くなかった。

知らないところで知らない王様相手に挨拶をしろと言われても
何を言えば良いのか分からなくて、うまく話せなかった。
そのせいで父王に先ほど頭をこつかれたところだ。





一行に見つからないようにアレンは中庭に出てみた。
花壇には綺麗に花が咲いていた。
ラダトームとローレシアとは気候が違うため、見たことのない
花が咲いている。少し興味を持ったアレンは花壇に
近づいてみた。

「でも何か、これ変なの。花じゃなくて、人参みたいだ。」

アレンの目に留まったのは、綺麗な色の花々ではなくて、
赤い茎の細い植物。綺麗じゃないのに、大事そうにいっぱい
植えてある。

「人参じゃないわよ。これ、パデキアの芽よ。」

アレンのつぶやきに対して、後ろからクスクスと笑い声があがった。
振り返ると女の子が立っていた。この国の子供だろうか。

「とっても栄養があって病気のときに飲むのよ。
 皆大事に育ててるんだわ。ムーンブルクにもあるわ。」

「???知らない。俺の国にはこんなのない。俺病気なんてならないし。」

アレンは生まれたときから健康で、滅多なことでは寝込むこともないのだ。

「何を言ってるの。あなたが病気にならなくても、病気に苦しむ人は
 いるに決まってるじゃない。」

何故だか分からないが、叱られているようだ。アレンは少し面白くなかった。
いつも自分が元気なことで褒めてくれることはあっても、叱られたことなど
なかった。
この国に来てから、何も面白いことがない。






アレンはきびすを返して、部屋に戻ろうと思った。
その時ちょうど先ほどラダトーム王に挨拶していたサマルトリアの一行が
通り過ぎようとしていた。大人相手にニコニコ話をしていた子供も一緒にいた。

あいつも何だか気に入らない・・と思っていた。

見つからないように、通り過ぎるのを待とうと思ったが、
サマルトリアの子供がこっちを見た。パアっと嬉しそうな顔をして、
こちらに走ってきた。






「ねえねえ!君も6歳?」

満面の笑顔でサマルトリアの子供が聞いてきた。

「そうだけど?お前誰だ?」

「僕?僕ね、王子って言われてるんだ。」

「俺も王子って言われてるんだけど?」

「じゃあ一緒だね〜」

サマルトリアの子供はニコニコ笑っている。

「一緒なのか?お前もローレシアの王子なのか?」

二人の一連の会話を聞いて、女の子は笑い出した。

「ぷ。ちょっと!そんな訳ないじゃない。サマルトリアの王様と一緒にいたじゃない。
 サマルトリアの王子様よね?」

「あ、うん。そうそう。サマルトリアの王子です。
 はじめましてー。カインって言います。あなたは?」

カインはぺこりと頭を下げて挨拶をしてから女の子に聞いた。


「ムーンブルクの姫です。」

「わあー。うちにも小さい姫がいるんだよ。さっき母様が抱っこしてたでしょ。」

ああ、確か王の後ろにいた王妃が赤ちゃんを抱っこしていた。
あれもヒメか。

「お前達の国両方にいるんだな。ヒメって名前多いんだな。」

「もう!何言ってるのよ、さっきから。」

ムーンブルクのヒメは呆れた顔をしている。

「なんだよ、俺の国にはヒメなんていないぞ。」

「あなたの国には王子は男の子一人しかいないんでしょ?
 女の子の姉妹がいないだけでしょ?」

「ああ・・・・なんだ、ヒメって王女ってことか。」

そう言われて自分の勘違いに気がついた。
アレンは先ほどから失敗ばかりで何やらバツが悪い。

「私の名前はヒメじゃなくて、マリアよ。分かった?」

何か返事したほうが良いんだろうと思ったが、
アレンは何を言えば良いのか分からなかった。

そして、いつも思ってることを、ただ正直に言ってしまった。

「女は笑ってると思うとすぐ泣くから、俺嫌いなんだ。」

しかしせっかく自己紹介したのに、嫌いなどと言われたら
マリアも面白くない。

「・・・・・・あ、そう。私もうお部屋に戻るわ。」

怒ってしまったマリアは、走って部屋に帰ってしまった。




「ほら見ろ。すぐ怒るだろ。女って!俺も帰ろ。」

「えー。帰っちゃうの?僕2人と一緒に遊ぶの楽しみにしてたのに。」

カインは自分と同い年の王子、王女に会えるこの日をずっと楽しみにしていたのだ。

でもアレンはさっきから面白くないことばかりが続いて、
すっかり遊ぶつもりなんてなくなってしまったようだった。

「お前は自分とこのヒメと遊んでれば良いじゃないか。
 じゃあな。」

そういうとアレンももと来た道を引き返して部屋に帰ってしまった。

「行っちゃった・・・・。名前も聞けなかったなあ・・・。」

あとにはカインが一人ぽつんと残されたいた。





後に同じロトの血を引く勇者として旅立つ3人であるが、
最初の出会いは最悪の印象のまま、あっという間に終わってしまったであった。



- 終 -

2010/10/21
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こちらの「出会い」は6歳バージョンです。
ロト祭って確か公式小説にもあったと思うんですが、
お借りしてきました。

長編の方で、以前出会ってるのに、あんまり印象に残ってないと言うのは
こんな感じの最悪の出会いだったからでした。

しかしアレンすごいお子様だったんだなあ。と思った。
国では一人っ子だしよっぽどチヤホヤされてるんでしょう。

ちなみにこのあと6年後の12歳でも会ってる筈です。

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