12.邪魔者


うすうすと僕は以前から感じていることがある。



「来たぞ!魔物の群れだ!行くぞ!」

アレンの号令の元、素早く戦闘態勢に入る僕達。
そのアレン自ら敵の元に切りかかる。

「うおおおお!!」

豪快な一振り元、敵を容赦なく切り裂く。
その攻撃を受けた敵は既に息の根が止まっている。

そして、次に動いたのはマリア。

「アレン、下がって!!
 残った魔物はこの私が・・!!」

マリアはいかずちの杖を天にかかげた。

「イオナズン・・・!!!」

大地に地響きが鳴り響き、
敵全てを覆い尽くす大爆発が起きた。
爆発の衝撃で周りの岩や木々が削れるほどの威力だ。

この魔法を受けた魔物たちは例外なく全滅している。

「よおーし。終わり!」

アレンは景気良くそう叫んで、剣を収めた。

なんとも頼りになる仲間達。
とても頼もしい。とてもすばらしい。

しかし・・・・頼りになりすぎる。

だって、さっきから・・・ない。
全然ないのだ。


僕の出番が・・・・!


取り出した剣が出番もなく、行き場を失って悲しくきらめいている。

まぁ、剣で攻撃したところで、アレンのようにはいかないしね。
なら、魔法ならどうかと言われても、マリアほどの威力はない。

とは言っても、こういう不安点があると思われているんじゃないだろうか?

イオナズンのような大魔法を使っていたら
マリアの魔法力はすぐに尽きてしまうんじゃないかと。

いやいや、その心配はご無用。

マリアの魔法力は僕のそれをはるかに上回っているのだから・・・!
だって一桁違うんだよ。

ほら、心配御無用だっただろう?

全く、頼りになる仲間さ・・・・!


・・・・言ってて悲しくなってきた。

はぁ・・・以前から思ってたけど、
僕ってこのパーティーのお邪魔虫じゃないんだろうか?










***






私には以前からうすうす感じていたことがある。


今私達は大海原を船で航海しているところである。

船上は敵が出なければ、穏やかなもので、
逆に言うと、
やることが無かったりする。

そうするとアレンとカインはお互いに獲物を持って、
剣の稽古を始める。

もう何時間も、何日も、この光景を見ている。

たまに私も聖なるナイフを手にして、
その仲間に入れてもらっている。

しかしそうするとアレンは極端に手を抜き出す。

アレンは国の兵士団の中でも一番強かったらしく、
「そんなことじゃあ、新入り兵士にも負けるぜー」
とニヤニヤ笑いながら軽くあしらわれてしまう。
アレンは私の攻撃を受けることもせずに流す。
そして寸止めの攻撃をカウンターで仕掛けてくる。

どうやら私の剣の実力などは
実戦経験のない新入り兵士より下回るらしい。

ではカインと立ち会ってみるとどうか?
そうするとカインは明らかに私を傷つけないよう
気を使っている様子だ。

それでもやはり私が渾身の力をこめて
ナイフを振り下ろしても、軽く受け止められて
ビクとも動かない。
この辺りは男女の力の差というものだろうか?

その上カインは剣だけでなく、
隙を見て魔法を使って戦うという
独自のスタイルを確立している。

それと引き換え私は
いくら長く旅を続けても、
いくら実戦経験を積んでも、
所詮魔法以外には頼るものが無い。

結局私が剣の稽古から抜けると
アレンとカインは再び水を得た魚のように
生き生きと動き出すのだ。



しかし、問題はこれだけでない。

道中を3人で旅をしているときのことだ。
何日か野宿が続くと、2人は私のことを気にしてか
後退することを相談し始める。

何故そう思うのかとすると、
最後尾にいる私に聞こえるか聞こえないかのくらいの声で

「マリアのことを考えよう。」

などと喋っているのだ。

以前旅の道中で暑さにやられて倒れたり、
野宿はお風呂に入れなくて辛いなどと言ったせいであろうか?

私がいなければ、
・・・・2人だけであれば
もっと旅は進んでいたのではないか。

今頃目的地に到着しているのではないか。


そう思うと、私はこのパーティーのお邪魔虫なのではないかと思ってしまうのだ。








*****





俺は以前からうすうす感じていることがある。


ここは旅の宿である。
今日は3人一部屋で同じ部屋に泊まることになった。
(もちろんマリアのベッドは端に離して衝立を立てるぜ)

3人一部屋だとさぞかし話が盛り上がると思うだろう?
俺もそう思っていた。

しかし今目の前で2人は全く俺には理解できない
宇宙語で話し合っている。

属性がどうの、詠唱がどうの、魔方陣がどうの・・・

何やらマルがいくつか重なった魔方陣を書いて、
この角度がどうの、ああのと、
何度も修正を重ねたり、指差したり。

何をしてるんだか全く分からない。

それなのに、こいつらと来たら
俺に話を振ってくる。

「アレンはどう思う?」

「あ、ああ・・・良いんじゃないか?」

「アレンが良いって言ってるし、これで行ってみよう」

などと、言う。

俺がゴーサインを出したことになってしまった。

やばいやばい!!
これのせいで禁断の魔法が発動して
呪われたり、全滅したらどうしよう。

「いや!悪い!俺の意見には従わないでくれ!!」

すぐに素直に謝った俺。
2人は顔を見合わせて納得している様子だ。

「そうよね。ここはそうじゃなくて、こうした方が良いんじゃないかしら?」

「ああ、なるほど。そうすると効果が長く持続しそうだね。」

・・・・・

何が何で、そもそも何の話だ。

俺はすっかりついていけず、いたたまれずに、
便所に行くといって部屋を出た。
あの話はあと1時間は続くだろうか。


いつも2人は俺をリーダーと慕ってくれているが、
仲間が何を作り出そうとしているか
理解すらできないなんて、
俺はリーダー失格だなと思う。

はぁーー。

小腹が減って、何か食いに行こうかと思ったが、
財布が無い。


この間も、武器を買うからと言って財布を借りて、
ちょっと腹ごしらえをしたら、財布が空っぽになった。


そしたら、激しく怒られた。

おかげでもう全然財布を持たせてもらえない。


あれ?


俺ってリーダー失格どころじゃなくて、
俺こそがパーティーの邪魔者なんじゃねえのか・・・?




******


そう考えると、思いきり凹んでしまうのであるが・・。

結局我々は3人で行動するのであった。



- 終 -

2010/11/12
▲

こういう長編と関係ない話こそ
お題でやりたいことでした。

本当は邪魔者一人弾き出すんじゃなくて、
DQ2はこの3人を、
どう組み合わせても素敵でしょ☆
という話にしたかったんですけどね。
お題的にこうなりました。

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