「なんだよ、カイン。
俺に改まって話だって?」
ある日、ローレシア城に突然カインがやってきた。今日は公務で忙しいんだというと、申し訳なさそうに「待ってるから」という。
カインが俺を頼ってくれるなんて珍しいことだ。
どうしたんだろうか、何か恐ろしい敵でも出たのだろうか?それでいよいよ俺の力が必要になったのか。
これは腕がなる。
しかし、腕をぶんぶん回しながら話を聞いてみると、全くそんな恐ろしい話ではなかった。
「マリアへの贈り物、だとお???」
ずるっと椅子から転げ落ちそうになった。
カインは、マリアへの贈り物を相談しにきたのだそうだ。
「そんなもん……なんでもいいじゃね?」
なんで俺に聞くんだと言うと、カインは少しムーと唇を尖らせた。
「いや実際、お前がやるなら道端の綺麗な花でもマリアは喜ぶだろ。」
「そーいうんじゃなくって!」
どうやらそういう事では無いらしい。
「この間もね、マリアの誕生日のお祝いをしようとしたんだけどさ。」
「おお、どした?」
誕生日のお祝いだから盛大にしようと思ったが、そもそもの話、自分たちは同じ誕生日であって、マリアが誕生日ならカインも誕生日である。
なので早々にマリアのお祝いプランは却下されて、結局二人でお忍びでディナーを食べに行ったんだそうだ。
「あー。……まぁ、いいじゃん。お忍びでディナー?どこ行ったんだ?」
「ムーンペタ…」
近っ!
と言おうとして、流石にアレンも口を噤んだ。
ほのぼのカップルだと思っていたが、今なおそんな感じなのかよ。
「そいえば、アレンは誕生日どうしてるの?」
誕生日は3人集まって祝ったりする年もあるが、今年は忙しくしてる中で特に集まることもなく過ぎ去っていた。
「ああ…、今年はクレハが張り切って、祝ってくれたよ。」
「へーー!いいな。どんな感じで?アレンの生誕祭!みたいな?」
そう聞くと、アレンが苦虫を噛み潰したような顔になった。
あれ?違うのかな?
聞くと、逆に大当たりだった。
クレハは本当に張り切っていて、むしろ完全に振り切ったそうで、アレンの生誕祭は、城のみでなく城下町まで巻き込んで、文字通りさながらお祭りのようだったそうだ。
「おおお……。それは、す…ごいね…」
「勘弁してほしかったわ。まるでさ、勇者ロトの生誕祭、みたいなノリでやりやがって。城下には暖簾や旗まで出たんだぜ?」
「ふふ、そりゃ本当に勇者アレンだもんね」
「やめろよ」
まだまだ勇者ロトなんて遥か遠い憧れの存在であって、同じように神格化されるのは違和感だった。
「でも、良かったね。」
「良くねえって!小っ恥ずかしい。」
「アレンローレシアで大人気みたいじゃない。昔は居場所がないだなんて言って、悩んでいたのにね。」
そう言われて、アレンはハッと真顔になった。そういえば、昔はそんな弱音を吐いたことがあったなと思い出す。
「だから、お前もやればいいじゃん。マリアの生誕祭…。」
憮然としてアレンがいうと、カインは首を傾げた。
「どうだろう?大仰にされるの、マリア嫌がるし。うう、結局どうしよっかな、欲しいものが何かを聞いても、いつも何もいらないって言われるんだよ。」
「どうせ、マリアだけじゃなくてお前もそんな感じなんだろ。」
控えめな二人なので、その辺はおおよそどっちもどっちなのだと思われる。
「僕のことはどうでもよくて。
そもそも聞いて。もうすぐマリアが女王として即位した日だよ。これはマリアとムーンブルクの記念日だよ。だから、この日に何かお祝いしたいなって。」
なるほど、誕生日に失敗したから、今度はそれにかこつけて祝おうってんだな。
「……そりゃ結構だが、じゃあその日は俺も即位記念日だ。」
「ああー、そっかアレンもだ。おめでとうーー!」
なんだかカインに雑に拍手された。
おいおい、忘れんな。
長い旅路の果てに破壊神シドーを倒して、旅を終えて国に戻り、アレンとマリアはそのまますぐに即位したのだ。冒険の日々ばかり続いていた中で180度生活がガラッと変わって、きっと苦労もしただろうと思う。
特に、国としての基盤がなくなりマイナスからの復興となったマリアの苦労はいかばかりであっただろうか。推察するだけでも感慨深い。
「では、時同じくして王様になったアレンに、どういうお祝いをされたら嬉しいのかなと思って相談させてよ。」
「え、ええー?」
急に言われても知らんけどと言いたくなるが、カインはどうも真剣のようだ。
アレンも腕を組んで考え込む。
即位記念日の贈り物とするなら、マリア個人への宝石やらなんやらの贈り物というよりは、ムーンブルク国への贈り物とした方がいいのかもしれない。
実際そういうものの方がマリアも喜ぶかもしれない。
「ああ、そう言う考えか。ふむふむ。」
「ムーンブルクはまだ新しい国だからな。何か足りないものとかないか?」
「そうだねえ」
ムーンブルクは確かに新しい復興途上の国だ。
そこに何かいいヒントがあるかもしれない。
カインはローレシアの国でも見て回ろうかなと思った。王の間も改めてみると、立派な作りなのだ。同じロト同盟国だから、何か参考になる部分もあるかもしれない。
改めて、王の間を見上げてみて、ある物が目に止まった。
「あ、これ……」
「なんか閃いたか?」
カインは何か思いついたことがあるらしかった。
++++
アレンとローレシア城で喋ったのがいいヒントになった気がしていた。ローレシアのみならず、先日カインはラダトームにも行って、いろんな人に相談してきたのだ。サマルトリアにも行って父王とも話をしてきた。
いろんな準備を重ねて、あとはマリアの即位記念日を待つばかり。
しかし、マリアに極秘で動いているので、最近これを随分怪しまれているようだった。
「ねえ、カイン。あなたよく出かけてるみたいだけど、どこへ行ってるの?」
「あっ、えーっと…。」
流石に秘密であちこち行きすぎたかな。一応記念日までは今やってる事は秘密にしておきたい。
「ア、アレンに会いに行ってたんだよ。」
「アレンに……ですって?」
あれ?
なぜか、より一層マリアの表情が曇った。
怪しい場所に行ってないと言うのをアピールしたかったのに、余計マリアは眉間に皺が寄ってしまっている。
「そんなしょっちゅうアレンに会いに行って、また剣の稽古かしら…?それとも修行の旅に…?」
「ええええ!?違う違う!そう言うのじゃないよ!」
何か勘違いをしているようだ。
確かにマリアに事情も言わずに、アレンと修行の日々を送ってるだなんて言ったら、何のつもりかと心配をかけるだろう。
じゃあ何なのか?と思われてるだろうが、もう少しだけ秘密にしておきたいのだ。
「大丈夫だから。もう少ししたらちゃんと言うから。
心配しないで。別に何かと戦ったり、危険なことしてる訳じゃないから。」
「そう……?」
マリアの眉間の皺は無くならなかったが、とりあえず少しは安心してくれたようだ。
+++
マリアは不満に思っていた。
最近、カインがふといなくなることが何度かあった。どこに行っているのかと聞くと、アレンに会いに行ってるという。親友のアレンに会いに行くというのは、ありえることだし、それ自体は不思議ではないかもしれないが、それでも違和感があった。
アレンに会いに行くなら黙って行く必要はないはずだ。それに、アレンにだったら私だって会いに行きたい。どうして黙って行ってしまうのか。
今日も気がつくとどこかにいないではないか。
「はぁ…」
カインの考えることはよくわからない事もあるが、もう秘密は嫌だ。今度という今度は何を考えているのか話してもらおう。
そう思っていると、王の間に誰かがやってきた。
カインが帰ってきたのだと思って立ち上がると、やってきたのはまさかのアレンだった。
「よーー!!マリア!!」
「ア、アレン??どうしたの、突然……!?それにその格好?」
アレンは正装姿だった。今日は何かあるのだろうか。約束などはなかったはず。それとも何か急用でも?
しかし急用ならばアレンが満面の笑みなのはよく分からない。旧友の突然の訪問だが、マリアは何が何やら分からない。
カインも一緒にいるのかと周りを見渡したが、その姿は見えなかった。
「あっれー、カインまだいねえの!?ラダトームから戻ってねえの?」
「え、ラダトームってなんの事?アレン、何か知ってるの?あなたカインと何をしてるのよ!?」
なんだか不安になってきて、マリアは思わずアレンを問い詰めるような形になってしまった。
「お前、何も聞いてないのか?」
++++
「いやあ、さがしましたよ。」
「って、うわあ!?」
ようやく帰ってきたカインは、ぬうっと現れたアレンの圧に思わず尻餅をつきそうになった。
「何やってんだお前、おっせええんだよ。」
「……び、びっくりしたーー!」
「大事な日なんだろうが、遅れてんじゃねえぞ。」
「ご、ごめんごめん!」
アレンの圧の後ろでマリアが立っていた。
「カイン、どこへ行っていたの?それに、その荷物は何?」
マリアもカインのそばへとやってきた。
カインは何やらとても大きな荷物を背負っていた。これはなんだろうか?
問いただそうとするより先にカインがそれを差し出してきた。
「な、なあに?」
「マリア、今日で戴冠式から1年だね。おめでとうー!」
「戴冠式って……?」
カインと一緒にムーンブルクに戻ってきた日、マリアはカインから花冠をもらってきた。そしてそんな戴冠式の日から、マリアはムーンブルクの女王としての一歩を歩み始めたのだ。
「イエーイ、おめでとうマリア!それから俺。」
「アレン……。」
アレンもパチパチと手を叩いて祝福してくれた。
そうだ。毎日を多忙に過ごしていて、そんな記念日のことは忘れていた。
カインがアレンまで連れて、それを祝おうとしてくれたのは嬉しかった。
「アレンもカインもわざわざありがとう。それで最近いなかったの?」
「カインがさ、お前を祝いたいから何をしたらいいのかって、うちまで相談に来たんだよ。」
「そうだったの……。」
カインがアレンに会いに行っていた理由はそれだったのかと知った。
「それでね、いろんな人に手伝ってもらって、これを完成させたんだよ。」
カインが差し出した大きな荷物は風呂敷のようなものに包まれていた。
これは何だろうか。
「マリア、支えてるから開けてみてよ。」
「え、ええ」
マリアが包みを開けると、それは大きな絵画だった。
「これ…は?」
その絵にはいろんな人々が描かれていた。あまりに情報量が多くて一瞬なんの絵か分からなかった。
それは、誰かの戴冠式の絵のようだった。
しかし、その場所は覚えがある。そして、それはとても懐かしい場所の気がする。
「え……もしかして、これは昔のムーンブルク…?」
滅びてしまったかつてのムーンブルクの王宮だ。
もう無くなったはずなのに、それでも本来あるべき故郷にやっと出会えたような不思議な感覚になった。
そうすると、この冠を授かっている人物は……。
「マリアのお父様の戴冠式の時の絵画だよ。」
ああ、そうだ。そうだろう。お父様とお母様がここにいるのだ。マリアが一瞬分からなかったのは、自分が知るより随分若い両親の姿だっただからだ。
「こ、これ…一体どうしたの?見たことがない絵だわ。」
かつて、ムーンブルクにあった絵ではない。
カインはこれをどこで手に入れたのか?
「ラダトームに行ったら、当時の資料がいっぱい残っていてね。
王様に色々教えてもらったりして。」
「うちの父上も行ったらしく、母上と描かれてる。ほら、これ。」
アレンが指で示す先には、確かにローレシアの前王の姿もあった。
「うちの父さまも、よく覚えてたよ。マリアのためにと言ったら色々教えてくれた。皆の立ち位置の絵まで描いてくれて。」
どうやら、この絵は当時に描かれたものではなく、いろんな資料を元に作られたものらしい。
「何度も調整して、実際を知る人々にアドバイスもらって完成したんだ。」
現在のムーンブルクの国には、魔物たちに踏み躙られて、ほとんど前王時代のものが残っていない。
それが今になって、こうやってまた目の当たりにできるなんて思っていなかった。
「ラダトームを覚えている?
あの城は歴史が深くて、ずっと昔の歴史も絵画が残してくれていた。それこそ、勇者アレフとローラ姫の肖像画が残っているくらいだったでしょう。」
「ええ…、そうだったわね…。」
その大事な人がもうそばにいなくなっても、もうニ度と会えなくなっても、こうやって記憶は永遠に繋いでいけると教えてくれた。
「ありがとう…。皆の記憶の中にいるお父様とお母様にまた出会えるなんて。」
思っていないことだった。
カインは手にしている絵画をマリアに渡した。マリアはそれを愛おしそうに抱きしめた。
「大事に繋いでいきましょう。かつてのムーンブルクの事を。」
「うん、そうだね。喜んでもらえて良かった。
…って、それは皆の力を借りて完成したんだけど、本当はやろうとしたことはそれだけじゃなくてさ。」
「え?」
カインは扉の向こうで待つ人を招き入れた。
マリアの知らない少し年配の女性の人だった。
「この絵を描いてくださった方だよ。ローレシアやサマルトリアでも肖像画を描いたことがあるって。」
なるほど、この戴冠式の絵を描いた画家の人だったようだ。ローレシア王の肖像画も描いたようだ。
「ああ、そうなんですね。ありがとうございます。素敵な絵画をお描きくださって。大切にこの国の記憶として大事に守っていきますわ。」
画家は優しい笑みを浮かべた。
「マリアさまはお母様にそっくりですね。」
「え?」
どうやら、この画家は当時の戴冠式に参加したことがあるようで、ムーンブルク国王および王妃に実際会った事があったらしい。
「今日マリアの肖像画を描いてもらおうと思って来てもらったんだよ。」
「今日? 私の?」
かつてのムーンブルクの記憶と共に、新しいムーンブルクを作り上げたマリアの肖像画を今こそ永遠に残しておきたい。
カインはそう願って、今日の準備を進めてきたのだ。
「ローレシアにも肖像画ってあるし。それで思いついたんだってさ。
ま、ジジイババアになってからの絵より、若いうちに描いてもらっていいんじゃねえか?」
「お美しい姿を残させていただきますよ。」
「そ、そんな……ありがとう……」
口を挟んできたのはアレンだ。
きっとアレンはカインから色々相談を受けていたのだろう。
そして、アレンが今ここにいるというのは?
「あのさ、マリア女王の肖像画も描いてもらう予定だけど、実は三人の絵も描いてもらおうと思って。アレフとローラ姫の旅立ちの時の絵が残っているように、僕らも三人で一緒に戦って旅をしたんだもの。それで今日アレンにも来てもらったんだ。
マリア、これはどう思う?いいかなあ」
突然の提案に、すぐにはなんと答えたらいいのか分からなかった。
それでも、それはすごく素敵なことだ。素直に嬉しく思えた。勇者アレフと同じように、私たち三人が戦った記憶も未来に残っていくのだ。
「もちろん、嬉しいわ。きっと記念になる、どころじゃないかも。でも、そんなのって大変じゃない?」
「何枚でもおまかせください。私どものことなら大丈夫ですよ。勇者たちの記憶を残せるのは、とても光栄なことですから。」
もうそういう話になっているようで、画師は嫌な顔ひとつしなかった。
「マリア、せっかくだからあの日の戴冠式の姿を再現しようよ。」
カインが少し恥ずかしそうに取り出したのは、あの日と同じムーンブルクの生花を使って作られた花冠だ。
「お前、こんなん作ってたから遅かったんだな。」
「う…、後に残るかと思うと、緊張しちゃって失敗作がいっぱいで…。」
また、カインがこっそり隠れて花冠を作っていたのだと思うとマリアは思わず笑ってしまった。笑われてカインは少し慌てて手にしている花冠を見つめた。
「へ…、変かなあ。ちょっとここ、よれちゃって変だと思ったんだ。」
「ええ?変じゃない、変じゃないわ。そういうことじゃなくって。」
マリアは少し肩の力が抜けたようだ。
「ねえ、肖像画を描いてもらえるなら、私一人より、カインと一緒がいいわ。」
「えっ、僕も!?」
「画師さま、それでもいいでしょうか?」
「ええ、もちろん。ご夫婦での肖像画はたくさん有りますものね。アレフさまもそうでしたわ。」
では早速準備をいたしましょう、と画師は道具を取りに行った。
「時間がかかりそうだなあ。
なあ、カイン、マリア。俺いい暇つぶし持ってきたんだ。」
「暇つぶし??何かしら。」
アレンが懐から取り出したのは一冊の本だった。
勉強嫌いなアレンなのに、アレンと本だなんて、そんな取り合わせは珍しい。
「アレン、それは何の本かしら?」
「言ってみれば、俺からの祝いだけど。」
「本のお祝い?まぁ、ありがとう。」
魔法の本か何かだろうかと思ったが、アレンに限ってそれはないだろう。
「うちの城に書庫があってさ。そこには勇者ロト伝説やアレフの伝記があるんだ。」
「それなら、私も昔何度も読んだわ。」
「ああ、やっぱりそうか。ロト同盟国なら当然あるよな。」
カインもうんうんと頷いているから、サマルトリアにも当然伝わっている。
アレンが持ってきたのはその懐かしい勇者ロトの伝記だろうか?と思ったら、そうではないらしかった。
「今回カインから話を受けて、勇者ロトの伝説だなんてはるか遠いもんだと思ったけど、案外……そうでもないんだなって。」
旅の記憶も時と共にどんどん薄れていく。かつての人達はその勇者たちの旅路を本にして残した。
だが、アレンたち三人の旅の記憶なんて誰も本に残していない。しかし考えてみればそれも当然だ、この旅路をアレンたちは誰にも広めようともしていなかったし、本人よりも知っている人はいないのだから。
「だからこれは俺たちの冒険の書だ。旅の記録が全てここにある。」
「私たちの冒険の書…?これをアレンが?」
アレンは少し偉そうに腕を組んだ。
「俺からはじまった旅なんだから、お前らが始めるより、俺が作るのが一番いいだろ。」
えへんと言うアレンだが、カインは少し苦い顔をしている。
「いやあ全部、アレン視点だからね。
さっきちょっと見せてもらったけど、なかなかすごかったよ。三人旅なのに、アレンの戦闘記録ばっかり。」
「そりゃ…俺の記憶だし。」
「街の記録なんて、武器屋と美味しいレストランの記録ばっかりだったし。」
「そりゃあ…俺の記憶だし。」
「もー。アレンはあの長旅でご飯しか見てなかったのー!?」
「だって、飯がうまい街は平和なんだ…。」
二人のやり取りに思わずマリアは吹き出してしまった。
これはその名の通り、『アレンの冒険譚』という仕上がりのようだ。
「ふふっ、面白そう。」
「面白いとはなんだ。感動巨編だぞ。」
「アレンってば、自分でそんなこと言う?」
アレンは真面目に作ったんだが…と面白がられて少々憮然としている。
「二人ともありがとう。
肖像画が完成するまで、まだまだ沢山時間はかかるわ。この機会に三人で懐かしい旅を振り返りましょうよ。」
「うんうん。このままだと『アレンの冒険の書』になっちゃうから、振り返りながら皆で加筆修正しよう。」
「えー…」
アレンはいやそうな声をあげてはいるが、実際はその表情はそれほど嫌がってもおらず、三人で過ごせる時間に嬉しそうだった。
カインが肖像画の提案をした時も、仲間をずっとそばに実感できるからと、アレンは前のめりになって賛成してくれたのだ。
マリアも楽しそうにしている。
その表情を見てカインはホッとした。
良かった、喜んでもらえた。
少し立ち回りがまずくて心配もかけてしまったけどれど、アレンと作った今日という日が、マリアにとっても特別な1日になっていればいいなと願った。
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- 終わり -
2023/12/06
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【後書き】
36周年の良いサマムンの日に何か小説を書きたいなと思いまして、カインがマリアに何か贈り物ができたら良いなと考えたんですが、二人の話にしたかったんですがどうしてもアレンも入れて三人の話にした方がこれは喜ぶんじゃないかとカインが判断したようで、三人の話になりました。サマムンの小説って言えるか心配。。でもカインが動いてカインから思いっきり贈り物みたいなのってあんまりなかったかなあと思うので、たまには良いでしょうか?
めっちゃ緊張気味のカイマリの肖像画↑と、めっちゃ楽しげな三人の肖像画↓です
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