「拍手 3」
ある平和な国の、冬の寒い日のこと。
花々が綺麗なこの国も、雪が降り積もっていた。
人々は暖炉の前から動けず暖を取っていた。
そんな中、この国の皆が愛してやまない小さな姫がとことこ歩いていた。
向かう先は大好きなお母様の部屋。
最近急な気候の変化のためか、母は床にふせていた。
風邪を引いてしまったようなのだ。
そこで姫は喜んでもらおうとお母様の看病をしようと
思い立ったのだ。
「おかーさま。」
姫が、母の部屋のドアを開けると、世話係のばあやが驚いていた。
「姫様、どうしたのですか!?」
「ふふふ。私ね、お母様に元気出してもらおうと思って来たんだよ。」
母はベッドに起き上がっていた。元気なんだと思った。
「お母様!もう元気になったの?」
「ええ。元気になったわ。」
姫は大喜びで母に抱きついた。
「あのねあのね、お庭のイチゴに実がなってるんだよ。
お母様と一緒に食べたいって思ってたの。一緒に取りに行こう?」
姫は、イチゴが大好きだった。
「まぁ、お転婆なこと。でもちょうどわたくしもイチゴが食べたいと思っていたのよ。
一緒に行きましょう?」
「ほんとう!?」
お母様もイチゴが食べたいって!一緒にお庭に行けるなんて
なんて嬉しいことだろう!
姫はとても嬉しくなって、母の手をひいた。
「いこう!いこう!お母様!!」
ふと、部屋の隅で立っていたばあやが悲しそうな顔をするのを
気の逸っていた姫は気がつかなかった。
姫とその母はお城の綺麗なお庭にできているイチゴをいくつも
もぎとった。いくつかは実をもぎとってそのまま食べた。
とってもとっても美味しくて、
とってもとっても楽しい時間だった。
そして、二度とこの楽しい時間がやってくることはなかった。
またここ数日、母は顔を出さなくなっていた。
「ばぁや・・・お母様はどうしたの?」
ばぁやに聞いても、何も答えてくれない。
また寝ているのかな?どうしたのかな?
姫には分からなかった。
それから数日後、いつも厳格な父が泣きながら
私を抱きしめた。どうしたの?私は赤ちゃんじゃないのに、
おかしいよ?姫は父にそう言った。
父は姫に言った。
「お母様は遠い遠いところに行ったんだよ。」
「なあにそれ。変だよ。嘘だよ。」
だって母はいつもの部屋で寝ているだけのはずだ。
姫は母の部屋を覗いた。
ほら、お母様やっぱり寝ているだけじゃない。
でも変だな。みんなお母様の周りで泣いている。どうしたの?