アレンにとって船上は戦場??

こちらの作品は、
DC様が描いて下さったイラストを元に、そらはちが小話を付けさせていただいたものになります。
(文途中挿絵としても掲載させて頂きました)

イラストのご感想等は是非下記リンクへとお願いいたします。


【イラスト】アレンにとって船上は戦場?? (pixivの作品にリンクされています) 



空は澄み切っていて、船出には最適の天候だ。

「よおお、兄ちゃん達!元気そうだな!
 ご指名待ってたぜ!!今日のためにピカピカに磨いておいたからな!
 さぁさ、乗ってくんな!」

意気揚々とアレンを迎え入れてくれた船乗りはミゲルだった。
ミゲルは旅の間はずっと航海士として船を操り、
世界平和にも一役を買ったと言える。

世界が平和になってからは中々アレンたちと会うことはなかったが、
まれにアレンはお忍びの旅で自分を指名してくれていた。

今回はお忍びの指名ではなく、公式のご指名だった。

ロト同盟国3国のトップを船に乗せ、アレフガルドまで行くと言うものだった。
重大任務だった。

「くうう〜、公の行事にとうとう俺を使ってくれるようになったかあ、兄ちゃん!」

普段は国の公式船出の場合は各国の船でそれぞれに向かうのだが、
今回は一緒に行くんだそうだ。

「公式行事って言うほどでもないけどな。
 ラダトームの王様から息抜きに温泉でもどうかって誘ってもらったんだ。
 別に各国の艦隊で行くような用事でもないだろ?」

張り切るミゲルにアレンが釘をさしてそう言った。
なるほど、そう言うことだったか。
航海の先での目的などは、船乗りには関係ないので気にしていなかった。

まぁ理由なんて何でも良いのだ。

「なんでも良いさ。久しぶりに兄ちゃん達の足になれて嬉しいんだよ。」

「はは、俺もミゲルの船に乗れて嬉しいぜ。
 ちょっと待ってくれな。ローレシアからは俺とこのクレハが行くんだが、
 あとの面々もすぐ来るみたいだ。」

アレンはそう言って後を指差した。
旅支度を整えたクレハがすぐ傍にいた。

「ああ、クレハの姉ちゃん久しぶりだな。」

「はい、お久しぶりです。今回もよろしくお願いしますね。」

「任せとけ。」

あとはサマルトリアとムーンブルクからも来客が来ると言う事だ。

しばらくすると残りの一行が船着場へやってきた。
先に乗ったアレンたちが船から手を振ろうとして、やめた。

なにやらがやがやと言い争っているようだ。

「なんだなんだ?」

ミゲルはてっきりカインとマリアが後のメンバーと思っていたが、
あと一人いるようだった。

「ん?あの人は誰だい?」

アレンが覗き込んで、答えた。

「あー、カインの妹だな。」

「ほう、妹さん。」

言い争っているのはカインの妹も同行するというところで
少々もめているようだ。

結局根負けしたのか、マイも含めた3人が船にやってきた。

「遅くなってごめんね〜。
 アレンにクレハさん、ミゲルも久しぶり〜。」

「おお、緑の兄ちゃん、それに姉ちゃんも!
 よく来てくれたな。それから……。」

なんと呼べば良いのかと思って、
マイを見ていると、それに気づいてマイが深々会釈した。

「はじめまして!
 私はサマルトリアの王女マイです。」

「僕の妹なんだよ。」

カインがマイを紹介してくれた。
ふむ、兄妹なのか。確かに雰囲気がよく似ている。

「ああ、はじめまして、航海士のミゲルってもんだ。
 よく兄ちゃんと似ているんだな。」

「えへへ。よく言われます。」

そう言われるとマイは嬉しそうに笑った。

「今回は、私サマルトリアの代表として行きます。」

「サマルトリアの代表が姫なのか。へぇ……。」

アレンが少し驚いたように言った。
ああ、でも確かに。

「別に……マイが来なくても良いと思うんだけどね。」

カインが少しげんなりした様子だが、
マイがきっぱりと言った。

「お兄さまはもうすっかりムーンブルクの人じゃない。
 ラルス王はロト3国をとお呼びなんですよ。
 じゃあ、サマルトリアは私が行くしかないじゃないですか!」

「ううーん、そっかあ……。」

「むしろ、お兄さまは行かなくても良いんじゃないですか?
 ムーンブルクはマリアお姉さまがいれば十分なんだし。」

「えー……。
 クレハさんだって行くんだからいいじゃない?」

「何その嫁ポジション!」

なにやら兄妹で言い争いをしている。

「まぁまぁ、マイさん別に良いじゃない。
 せっかくラルス王が慰安に呼んで下さったんだし。
 船旅を楽しみましょうよ。」

マリアが2人をいなすように言った。
アレンもそれに同調した。

「うん、別にいいんじゃね。
 カインも姫もさ、皆で行けば。
 せっかくなんだし、船旅だから一人くらい増えても」

その言葉にマイは目を輝かせた。

「船旅!私とても楽しみにしていたんです。
 アレン様たちとの船なんて、まるで冒険の旅みたいで。」

マイにとって、こんな冒険の旅は念願だった。

「別に冒険はしないけどな。」

「ま、まぁまぁ話は分かった。
 えーっと、元気な姉ちゃんよろしくな。
 今回は6人で船旅だ、賑やかになりそうだ。」 

そうして、この一行で、賑やかな船出が始まったのであった。



+++

久しぶりの航海とあって、
皆どこかしら胸をおどらせていた。

「なあ、航路についてなんだが、
 北回りの急ぎの航路と、
 南回りのゆっくりの航路があるんだが、どうする?」

航海の舵をにぎるにあたって、 ミゲルがそう航路を確認したところ、
アレンたちは顔を見合わせて、頷きあって答えた。

「「「ゆっくり!」」」

その答えにミゲルは目を丸くして笑った。

「なんだい息ぴったりで。
 普通は『一日でも早く』って言うもんだぜ。
 わざわざ遠回りの航路を選ぶのかい?
 先方待ってるだろうぜ?」
 
でも言わんとすることは分かる。
忙しいアレン達が、旅の仲間と共に過ごせるせーっかくの休暇なのだ。
1日でも長く一緒にいたいんだろう。

「先方には途中嵐で航路が遅れたとでも言うよ。」

「ははは。分かった分かった。
 それだけこの船を居心地良いと思ってくれているんだな。
 嬉しいぜ。ゆっくり過ごしてくれ。」

「ああ。」

アレンはそう言うと悪戯っぽく笑った。
もうローレシアの王になり、立派な大人だと言うのに子どもっぽい仕草だ。

「皆、好きなだけ羽伸ばしてくれよ。」

「そうする!」

ミゲルの言葉に、アレンはうーんと伸びをした。

「なあ、カイン!
 今日はお前飯作ってくれよな!」

アレンはさも当然と言うようにカインを指名した。

「ぼ、僕なんだ?」

「アレン様!っわ、私がやりますよ!?」

クレハが慌てて立候補するが、
アレンはえーっと不満顔だ。

「私の料理はお口に合いませんか……?」

クレハががっかりとした様子だが、
アレンは違う違うと言った。

「お前の飯はいつも食ってるからな。
 だから俺今日は久しぶりにカインの飯が良い!」

「が良い〜、じゃ無いわよ。何そのわがまま。
 あなたどこの王様よ?」

「ローレシアだけど?」

などと言いあいつつ、マリアも呆れ顔ではあるが、
別に止めははしない。

何故なら、マリアにとってもカインの料理は貴重だからだ。
このどさくさに紛れて私も……と、こう見えて確信犯であった。

「うん、まぁ良いけどね。
 色々持ってきたし。時間もあるから、暇な時は釣りもするよ。」

カインが妙に大きな荷物を持ち込んでいたが、
そのつもりはあったようだ。

「へーへーへー。
 お兄さまが料理するんだあ。
 じゃあ、お兄さまも一緒に行くの、しょうがないなあ。
 えへへ。どんなだろ。」

マイも楽しみにしているようだ。
しかし周りをきょろきょろ見渡しながら、首を傾げた。

「ねえ、お兄さま。
 私船の中ではどう過ごせば良いのかしら?」

「好きに過ごせばいいんじゃない?」

そう言ってカインは荷物を持って行ってしまった。

「んもう、お兄さま優しくない!
 私この船初めてなのに〜〜!!」

国の船でラダトームへ行く時などは
至れりつくせりで過ごしているが、
こう言っては悪いが、ミゲルの船はさほど設備が充実している風でもなく。

見ると、アレンは素振りを始めていた。
クレハはそれに付き従っている。

自由に過ごせば良いと言う事なんだろうが、
どうすればいいのか分からない。

「マイさん、良かったら船の案内するわ。」

マイが困っているとマリアが助け舟を出した。

「わ、マリアお姉さま!本当ですか!?」

「ええ、皆マイペースな人たちばかりで困っちゃうわよね。
 旅は長いわ。
 良かったら、船室で少し休憩しましょう?」

「わあい、お姉さま!
 私お姉さまといっぱいお話したいです!」

「ふふ、そうね。私もよ。」

そう言って2人は船室へと消えていった。
ミゲルはそれを見送った。

「ははは、今回は女性陣が多くて華やかで良いやな。
 ってぎゃあ!兄ちゃん早速やったな!?」

大きな打撃音が聞こえ、
見ると、アレンが素振りの勢いが余って、船の壁をへし折っていた。

「うわ〜、わりいわりい。
 素振りのつもりがちょっと剣気こめすぎちまった。」

「アレン様!やりすぎですよ!!」

アレンはあちゃあという様子で壁を撫でて、クレハは慌てている。

「あはは……、まぁ想定の範囲内だ。
 兄ちゃん達が乗るんだもんな。こんな事もあると思ってるさ。」

「わりいな、ミゲル!」

乾いた笑いのミゲルにアレンが謝罪した。
が、さほど悪いとも思っていないような……そんな気がするのは自分だけだろうか?



+++

しばらくして、カインが調理を終えて、皆を呼びに甲板に上がってくると、
アレンはまだ走り回って素振りをしまくっていた。

「やっぱりこの船に乗るとテンション上がるなー、おりゃーっ!」

「アレン様、危ないことはおやめ下さい!」

カインの目の前を、風のようになっているアレンと、それを追うクレハが走り去った。
なんかアレンの精神年齢が子どもみたいになっている気がした。

「ははは…アレンったら相変わらずだね」

まぁ、アレンならこんな感じだよねと思っていると、
ミゲルがぶつぶつと愚痴りながら船の整備をしていた。

「おいおい兄ちゃん、
 さっきあんたに壊されたところ直してるのに、またやる気かよ…勘弁してくれ」

どうもアレンは船を壊しまくっているらしい。
自分たちは無事にアレフガルドへ行けるのだろうか。

一抹の不安がよぎった。



【イラスト】アレンにとって船上は戦場?? (pixivの作品にリンクされています) 

「ああ、緑の兄ちゃん。
 ちょっとあそこで風になってる兄ちゃんを一回止めてくれないか。」

ミゲルが複雑な表情で、
カインにそう懇願した。

「ええー、僕が?
 なんかもう触らぬ神に祟りなし、な気もするけどなあ。」

「ってもう、あんたが止めないと誰が兄ちゃん止めれるんだあああ!」

「うわあ。ミゲルすごい顔。」

ミゲルの表情が、最早ギブアップの様相を呈している。
これはまずい。

「おーい、アレン。
 ご飯出来たよ〜。」

仕方なくカインがそう呼ぶと、
アレンの方もカインに気付いた。

「よぉ!カイン!!
 来たな。ちょうど体動かしてた所だ!
 一緒に剣の修行やろうぜ!」

「え、でもアレンもうご飯だよ?」

そう言えばアレンも止まると思ったのだが、
まだまだと、少々上気した顔で言った。

「飯の前の準備運動だって!
 カインだってなまってるんじゃないか!?
 久方ぶりにやろうぜ!」

「う……うん。
 しょうがないなあ、じゃあちょっとだけだよ。」

と、何故かカインまで武器を手にしてしまったじゃないか。

ぎゃああ、ミイラ取りがミイラになったーー!と、
ミゲルは心の中で激しく後悔し叫んでいた。



+++

しばらくして……

中々船室にやってこない一行を不審に思って、
マリアとマイが甲板に戻ってくると、
パアアアン!と何か激しい音が聞こえた。

「え、え……今の何?
 何の音?」

何事かと思っていたら、
アレンたちが何やらぎゃあぎゃあ慌てている。

「うわー!カインーーー!!」

「カイン様ーー!!!
 ご無事ですかーーー!??」

そんな事を叫びながら、船から海を見下ろしている。

「え……?どうしたの!?」

マリアたちもアレンたちが騒いでいる場所へ行ってみると……。

「うーわ、お兄さま!
 海に落ちちゃったの!?」

マイもびっくりしたようだ。
どうやら、剣の修行でアレンに吹っ飛ばされたカインが
海に落ちた音だったらしい。

「ちょっとカイン、大丈夫!?
 アレン、あなた何してんの!?」

「うわーー!マリア、だだだいじょうぶだって。
 今ミゲルが網用意してくれて……」

「おりゃーー!緑の兄ちゃん早く捕まれええ!」

ばたばたと、すぐさまミゲルが網を放り投げ、
カインは事なきを得た。

「ぶへっ、へっくしょん。ゲホ、ケホッ。
 うわ〜〜、びっくりしたあ。」

甲板に座り込んで、
カインは濡れた体を拭いていた。

「カイン怪我とかしてない?」

「あ、マリアありがとう。
 全然大丈夫。落ちただけ。」

そう言ってマリアにタオルを返した。

「いやあ、悪かったなあ。
 ちょっと勢い余っちまったみたいで。」

アレンはそう言ってカインに謝った。

「いや、別に……大丈夫だけど。」

 「もう、アレン!
 ちょっとの勢いじゃないわよ!?」

マリアがアレンにつめよった。

「わりぃわりぃ。
 さあ、準備運動も終わりだ。
 飯に行こうぜ。」

アレンがそう一行に告げて、
これにて一段落、と思ったが、
なにやらカインがついて来ない。

「カイン?飯にしようぜ。
 もう冷めちまうぞ?」

アレンがする心配じゃない気がするが、
そろそろ空腹を感じ始めたアレンがそうカインを誘った。

「皆ごめん。
 ね、ねえ……。アレンもう一回やろ!」

「え?」

「カイン!?何を言ってるの!?
 無茶な事を言わないで!」

そのカインの言葉にアレンもマリアも驚いた。
自殺行為に思われた。
でも何故かカインは引き下がらなかった。

「マリア、大丈夫だから。
 あとちょっとだけ……。」

「カイン……?」

久しぶりのアレンとの剣の修行。

アレンの凄まじい剣気に、
完全に力負けして吹き飛ばされてしまった。
そりゃあ相手があのアレンでは、当然不利だと思ってはいたけど、
こんなに一方的に負けるなんて、ちょっと嫌だった。

「だって、僕だって剣の稽古はしてるのに、
 こんなにあっさり負けるなんて嫌だもん。」

「カイン、あなた何を言って……!?」

その悔しそうなカインの表情を見て、
アレンもにやりと笑った。

「へへへ、その負けん気は嫌いじゃねえぜ。
 でも無理だぜ、何回やっても。
 魔法の使えないお前が俺に勝てるわけないじゃん。」

「…………。」

今まで何度かアレンと戦ってきて、
それなりに良い勝負が出来ていたのは
カインが魔法と剣の両方を使いこなしていたからだ。

今のカインは魔法を使えないんだから、
今までのように戦うのは到底無理な事。

アレンとの実力差は広がったままになってしまう。

「あ、じゃあハンデだ。
 お前は武器でも道具でも好きなの使えば良いさ。
 マリアのいかづちの杖とかでもいいぜ?」

アレンはそう言って助け舟を出す。
いかづちの杖は魔法の力が使える。

カインは少し考えた。
確かに、やっぱりどうしても魔法が必要なんだとすると……。

「ねえ、じゃあアレン、これでも良い?
 マイ、僕と一緒に戦おう?」

「は?」

「え?」

「ええ!?」

その一言に、一様に一行が驚いた。
指名されたマイ自身もまさかと思っている。

「わわ、私!?
 マリアお姉さまとかじゃなくて、私なの!?」

「カイン、あなた何を言ってるの?」

まさかの人選にマリアも何事かと思っている。
もし、タッグを組んでアレンを倒すんであれば、
自分と組んだらきっといける……と思うのに。

「っほう〜〜。
 相変わらず、おもしれえなあ。カイン。
 俺は別にかまわねえけど、マリアじゃなくて、姫で良いのか〜?」

アレンはそう言ってニヤニヤしている。
確かマイは多少の魔法と剣を使うはず。
大体その実力もアレンは把握しているが……。

「うん。大丈夫。
 言っとくけど、侮らないでよね。
 僕とマイは息ぴったりなんだから。」

「へえ〜〜。」

その威勢のいい言葉に、アレンも楽しくなってきたが、
マイは突然の指名に激しく緊張した。

「ねえ、マイ。」

「ねえじゃなくて!
 って、ええええ!?おおお、お兄さま!?
 一体何を!?」

「大丈夫だって。」

カインはそう言うと、何やらマイの耳元でひそひそ話しかけた。
戦う作戦のようだ。
.それを聞くと、マイもようやくああ、と腑に落ちたようだ。

「ふふふ、アレン様。
 侮らないでくださいよ、私達兄妹息ぴったりなんですから。」

と、何故かマイも自信満々になった。

「ほんっとにお前らおもしれえな。
 良いぜ、来いよ。」

これから何が起こるのかと、
また海に落とされるんじゃないかと
見守る残る面々はハラハラして成り行きを見守っている。

「行きます!!」

マイはそう言うと、短く武器を持って駆け出した。
鋭く剣を振るったが、
やはりアレンには当たらない。

「ええい、ギラ!!」

攻撃をかわされるとすかさずマイはギラを唱えた。
小さな炎の塊がアレンを襲うが、
やはりそれも簡単にかわしてしまった。

この程度の攻撃なら、当然想定の範囲内である。
なら、まずは軽く姫からおさえるかと、
アレンが軽く剣を振り上げると、背後から激しい熱気を感じた。

「なんだ!?」

カインは魔法を唱えないはずなのに、
なんだこの熱気は、と振り返った。

「やあああ!」

「うわっ!?」

マイが先ほど放った炎を自分の持つ武器に纏わせて
カインが一撃を繰り広げてきたのだ。
昔得意だった魔法剣だ。

なるほど、こういう作戦だったのかとアレンは理解した。

「っち!!しゃらくせええ!!」

ギラの炎くらい、アレンにとっては訳無い。
武器ごと叩きつぶして返り討ちにしてやる!と思った。

が……

「な……、なんだこれ!
 ちょ、おま!!」

カインの剣の炎は激しく燃え上がって、
小さな火の玉どころか、
人一人簡単に飲み込むほどの大きさに膨れ上がった。

「いっけええええ!」

自分だって、ずっと修行してきてるんだ。
負けっぱなしなんて嫌だ!!

と気合をこめて振るった剣の一撃は、大きくアレンを飲み込んだ。

「うわああっ!!」

「アレン様ああ!!」

クレハが思わず絶叫した。
炎に包まれたアレンはその場に膝をついた。

「わっと。」

カインはその様子に、慌てて炎を消した。
ぷすぷすと焼け焦げた匂いがする。

「アレン様!ご無事ですか!?」

慌ててクレハが駆け寄る。
が、それより先にマリアが魔法を唱えた。

「ベホマ。」

マリアの最高回復魔法が、
あっという間にアレンのキズを癒す。

「マリア、悪いな。
 くっそう……やられたあ」

憮然とした表情でアレンが起き上がった。

「ふふふ、アレン。
 あなたカインを甘く見ないことね。」

「なんだよ、マリア。
 なんで、お前が嬉しそうにしてんだよ。」

カインがアレンが一矢報いて、何故かマリアが嬉しそうだ。
マイもカインに飛びついて喜んだ。

「やったあ、お兄さま!
 私達の勝利〜!」

「うん、へへ。やったね。
 どうアレン。まだ僕もいけるでしょう?」

カインもマイと手を打って、嬉しそうにしている。

「うーん、あんなの反則技だろう。
 魔法剣とか聞いてねえし。」

「えー、ギラと剣だよ?
 全然想定の範囲内でしょう?」

「ぐぬぬ……。」

確かにそうと言えばそうなのだが、
全然さっきのはギラレベルの炎じゃなかったと思うんだが……
とアレンは思いつつ。

「じゃあ、今度こそご飯にしようよ。」

「ま、そうだな。続きはまた明日だ」

とアレンたちが振り返ると、
一人大騒ぎしているミゲルがいた。
海水バケツを両手に、水を船に巻き散らかしている。

「「 あ゛ 」」

飛び散った炎が、ところどころ船を燃やしていた。
ミゲルは火消しに走り回っていた。

「あ゛、じゃねえええーーー!!!
 もう…、もう兄ちゃん達は修行禁止ーーーー!!!!!」

一人船を守る航海士ミゲルの悲壮な悲鳴が、
船上をいつまでもこだましたという。

 
終






2017/02/15
▲

 
以下、そらはち ↓

 DC様が素敵なイラストを描いてくださいまして
 (素敵ですので、是非ピクシブで大きなイラストとキャプションもご覧下さいませ〜)
 皆があんまり生き生きして楽しそうだったので、頼み込んで小話を付けさせていただきました(><)

 小話というにはかなりボリューミーな感じですが(笑)
 クリア後の結婚後くらいかなあって思います。まぁ、番外編的な。

 皆でわいわい楽しそうで、どれだけ大人っぽくなったかなあ〜と思いきや、
 全然大人になってない的な感じでしたw

 なんか妙に血気盛んで、そう言うのも懐かしく楽しかったです!
 (マイとのタッグ戦は、危機1あたりで)

 イラストもいい感じに挿絵みたいに馴染んだと思います〜v

 この後は、暇を持て余したアレンとカインは、もうずっとうだーっと釣りとかしてるんでしょうね〜

 DC様、素敵なイラストを本当にありがとうございました!
 賑やかなお話書いてて楽しかったです〜(^^)