曲がり管の流れ解析

2016年5月8日

はじめに

曲がり円管を流れる流体の計算を行う。乱流モデルによる二次流れの様子を比較する。

バージョン

OpenFOAM 3.0.1

ヒント

乱流モデルを用いることができるソルバーを用いる。定常計算であれば simpleFoam でよい。

メッシュのせいか、LRR による計算が発散しやすく、計算手順や設定に工夫が必要だった。

計算条件

  • 計算条件は須藤らの文献[1]および杉山らの文献[2]のものを用いる。
  • 円管の直径は D = 104 mm とする。入口から 100D の直管のあと、曲率半径 R = 2D で 90°曲げて、40D の直管で出口に達する。
  • 入口流速は U = 8.7 m/s、入口乱流強度は杉山らの文献にならい k = U2×10-5、ε = k3/2/D とする。
  • レイノルズ数は Re = 60,000 (動粘性係数1.508e-5 m2/s) とする。
  • ソルバーは simpleFoam を使用。
  • メッシュは SALOME により作成。側面に境界層メッシュを入れている。セル数は 101,250。
  • 設定はチュートリアルケース pitzDaily ベースであるが、特にレイノルズ応力輸送モデルを用いたときに安定して計算できなかったため、勾配制限 cellLimited を用い、緩和係数を p は 0.3、それ以外は 0.7 に設定した。
  • 初期化には potentialFoam を使用。標準 k-εモデル以外は標準 k-εモデルの計算結果を初期値として用いた (createTurbulenceFields を使用)。

二次流れの比較

曲がり部分の出口から 5D の位置断面における平面速度成分のベクトル図を示す。

標準 k-εモデル/realizable k-εモデル
RNG k-εモデル/SST k-ωモデル
レイノルズ応力輸送モデル

どれも 二次流れ自体はそれなりに出ている。SST k-ωモデルは k-ε系のモデルより 2 次流れが弱く出ている。RNG k-εモデルがはっきりとした 2 次流れを示している。レイノルズ応力輸送モデル (LRR) では非対称性を示している。文献[1]では流れは対称ということになっているので、レイノルズ応力輸送モデルの結果の妥当性に疑問が残る。

はく離の比較

曲がり部分の中央断面の流速分布を以下に示す。

標準 k-εモデル/realizable k-εモデル
RNG k-εモデル/SST k-ωモデル
レイノルズ応力輸送モデル

SST k-ωモデルだけ他と様子が異なる。

速度分布の比較

曲がり部分の出口から 5D の位置断面における上下対称軸における速度分布 (軸方向流速を入口流速で割ったもの) を以下に示す。

文献[1]の測定結果 (読み取った値は こちら) と比較すると、k-ε系のモデルの結果は概ね妥当といえそうである。中でも右端は RNG k-εがもっと測定結果に近い結果を示している。ただし、左端については k-ε系のモデルはどれも測定結果よりも低い数値を予測している。レイノルズ応力輸送モデルの結果が左端において測定結果とよく一致しているが、偶然かもしれない (あるいは測定結果が比較位置では対称ではない?)。SST k-ωモデルは測定結果とは大きく異なる結果を示している。

参考文献

  • [1] 須藤浩三, 高見敏弘, 矢野賢司: 円形断面をした90°ベンド内の乱流, 日本機械学会論文集 (B編), 58巻, 548号 (1992).
  • [2] 杉山均, 秋山光庸, 篠原康則, 人見大輔: 代数応力モデルによる90°曲がり円管内乱流の数値計算, 日本機械学会論文集 (B編), 63巻, 610号 (1997).