大阪教育大学の光永さんの Arduino でオシロスコープ は古い128x64のLCDディスプレイ用に作られたものですが、それを基に128x64の1.3インチOLEDで使えるように変更して Raspberry Pi Pico WとOLEDで2CH WEBオシロスコープ・Pulse generator・Function Generator・周波数カウンタ を作ったので、それを基に0.96-inch 80x160 LCDで使えるようにしてみました。このディスプレイはAmazonだと1000円くらいしますが、AliExpressだと送料込みで300円くらいで買えるので気軽に使えます。OLED版よりも少し広い範囲を表示できますが、解像度が高くなった分文字表示が小さくなりました。その代わりカラーで表示出来るので、2チャンネルの区別が分かりやすくなりました。。サンプル数は160ポイントです。
画面レイアウトとGUI、波形描画方法はOLED版を元にしています。画面全体と同じ大きさのスプライトを使うことで描画方法はOLED版とほぼ同じになっています。
周波数カウンタは1kHz単位のものを仮実装です。また、等価時間サンプリングはRaspberry Pi Picoで実装する方法が分からないのであきらめました。
開発環境は
Arduino IDE 2.3.10 + Raspberry Pi Pico/RP2040 by Earle F. Philhower, III version 6.3.0です。
この環境ではAnalogRead()が使えるのですがオーバーヘッドが多過ぎるようで遅いので、adc_read()を使うようにしました。また、単発のadc_read()では速度に限界があるので高速サンプリング時にはDMAを使って単一チャンネルで500kspsまで出来るようにしました。2チャンネルなら250kspsができるようにしました。
(2026.10.14 追記) Scoppyで2Mspsまで出来るという記事 Quadrupling the sample rate of an RP2040 oscilloscope を見たので、v1.03で2Mspsと1Mspsが出来るようにしました。ただし、ADCクロックを4倍までオーバークロックすることになるので若干精度が落ちる恐れがあります。
時間軸拡大機能があります。2us/divは500kspsの10倍拡大、4us/divは5倍拡大になります。拡大にはsin(x)/xによる補間をしています。 (2026.10.14 update)
Raspberry Pi PicoにはEEPROMが無いのですが、EEPROMのシミュレーションを利用して設定を保存するようにしました。
RP2040-Zeroでも使えるようにしました。ピン割り当てが若干変わります。周波数カウンタ入力のGP22は裏側の小さいパッドになってしまうので実質的に使うのは困難です。WEB機能は搭載されていませんがコンパクトに組むことができます。Raspberry Pi PicoではSPI1を使っていますが、RP2040-Zeroでは基板端のGP9-GP13を使わなくて済むようにSPI0を使うように変更しました。
最新版はGitHubに置いてあります
https://github.com/siliconvalley4066/RaspberryPiPicoWOLEDOscilloscope/tree/IPS80x160
RPPicoIPSOscillo106.zip 2026.10.20 update
RPPicoIPSOscillo102.zip 2026.07.14 update
CPU速度は当初125MHzを想定していました。 Raspberry Pi Pico/RP2040 by Earle F. Philhower, IIIの環境ではdefaultで133MHzになっていてDDSとPWMの周波数がずれる問題が発生したので、システムクロック周波数を取得して自動的に対応するようにしました。ただし、PWMの周波数可変範囲が変動します。
LCDのドライバはTFT_eSPIです。インストールされていない場合はライブラリマネージャーから検索してインストールしてください。Raspberry Pi PicoとST7735を使用するためにカスタマイズする必要があります。
WebTask.inoの
const char* ssid = "XXXX";
const char* pass = "YYYY";
に使用するWiFiアクセスポイントのssidとpasswordをXXXXとYYYYに記入する必要があります。ソースコードを少し変更すればAPモードにすることも可能です。
WebSocketsのライブラリはライブラリマネージャーから検索できるものではなく、以下を使いました。
WebSockets by Markus Sattler version 2.7.2 を使うようにしました。(2026.10.14 update)
Links2004/arduinoWebSockets
Pi Pico用にも変更無しでコンパイル出来るように自動的にpre-defineを見てWEB機能を外すようにしてあります。
Arduino Mbed OS RP2040 Boards 3.1.1 でもコンパイルできますが、CPUがPi PicoのみでWEB表示と設定保存は出来ません。
RP2040-Zeroでビルドする場合はArduino IDEのボード"Waveshare RP2040 Zero"を選択します。
Raspberry Pi PicoのADCの入力インピーダンスが低いようなので、rail-to-railのCMOSオペアンプMCP6022のボルテージフォロワを追加して10:1プローブを使えるようにしました。入力保護のために100kohmを追加してゲインが0.9倍になっていますが、ソフトウェアの対応はまだです。動作確認するだけなら入力回路は省略して直接A/D入力に接続出来ます。 (2026.10.14 update)
RP2040-Zeroの回路図:
先ず起動する前にArduino IDEのシリアルモニターを開いておきます。プログラムが開始してWiFiアクセスポイントに接続成功したらIPアドレスを取得してシリアルモニタに表示します。そのIPアドレスをWebブラウザのアドレスバーに入力すればWEBオシロに接続できるはずです。
例えばシリアルモニタに、
WiFi Connected. IP = 192.168.1.128
と表示されたら、Webブラウザのアドレスバーに192.168.1.128と入力します。
ATMEGA版ではタクトスイッチ4個で操作するようにしましたが、スイッチの場所を取るので5方向スイッチを使うようにしました。5方向スイッチでは上下同時押しや左右同時押しが出来ないので、右上同時押しと左下同時押しに変更しました。#define BUTTON5DIR をコメントアウトすれば元に戻すことができます。
画面右側のメニューは4ページ構成になっています。UpボタンとDownボタンでメニュー内の項目を移動します。一番上の項目でUpボタンを押すと前のページに切り替わります。一番下の項目でDownボタンを押すと次のページに切り替わります。それぞれの項目の位置でRightボタンかLeftボタンを押すとその項目の値を変更したりOn/Offの切り替えをします。
ページに関係なく右上同時押しすると文字表示を消して全画面波形表示になります。再度同時押しすれば元に戻ります。
(2026.10.14 追記) 標準の使用条件ではADCは48MHzのUSBクロックで96サイクルを使って1サンプルを取得するので最高500kspsになります。このADCクロックを96MHzにすれば1Msps、192MHzにすれば2Mspsが出来るようになります。ただし仕様範囲外なので精度が落ちる恐れがあります。でも実際に4倍の192MHzにしてもさほど大きな劣化は無く動作しています。電圧レベルで2%程度の劣化のようです。
これを実現するためには、システムクロックを必要な周波数に変更してから、ADCクロックをUSBクロックからシステムクロックに切り替えることになります。
システムクロックを変更することによってPulse GeneratorやPWM DDS Function Generatorにも影響が出ます。
Pulse Generatorは出力周波数が変わってしまうので周波数表示をそれに合わせて変更するようにしています。周波数の可変範囲は変わってしまいます。
PWM DDS Function Generatorはクロック切り替え時に設定を変更して同じ周波数を出せるようにしましたが、設定変更時に出力波形が乱れる恐れがあります。
画面表示にも影響が出る可能性はありますが現状では大丈夫そうです。
WiFiに影響があるかどうかは未確認です。
OPアンプにMCP6002を使うと5μs/divレンジで矩形波の立ち上がり立下りにスルーレート0.6V/μsの限界による傾きが見えるようになります。よりスルーレートの高いMCP6022等のOPアンプを使うのが良さそうです。
PWMで発生できるパルスをほぼ全て出せるようにしました。125MHzを1/2から1/65536まで設定できます。分周比は1/1から1/255まで全て使います。発生できる周波数は7.48Hzから62.5MHzまでになります。周波数自体を設定するのではなく、発生できる上または下の周波数へ設定を変更して、その設定で発生される周波数を計算して表示します。周波数の高い方は62.5MHz, 41.67MHz, 31.25MHz, 25MHz, 20.83MHzのように飛び飛びの値になる。Duty cycleも実現可能な値が限られていて50%も不可能な場合がある。周波数の低い側の分解能は1/65536になり細かく設定できます。インタラプトは発生しません。
Lab3 - Laboratory for Experimental Computer Science
を流用させていただきました。波形データはその他色々な所から集めました。周波数の設定と波形の選択だけがオリジナルです。周波数の分解能は取り敢えず0.01Hzにしました。インタラプト処理が入るので速いサンプリング時にオシロスコープの波形が間延びするようなら明示的にOFFにした方が良い。サンプリング周波数はATMEGA版の31kHzの約2倍の61kHzに上げてみました。メモリに余裕があるので用意した23波形すべてを使えます。
リンク先が消えているようなので同じ内容を探してみました。
Arduino Sinewave Generator
APIに周波数を計測するfrequency_count_khz()が有ったので利用してみました。サンプリングした波形から算出して画面上部に表示している周波数とは別物です。GP22ピンに入力されたデジタル信号の周波数をカウントする機能です。2kHz以上の周波数を1kHzの分解能で計測出来ます。周波数の上限は分かりませんが内蔵のPulse Generatorで発生した62.5MHzが計測出来ました。試しに内部のシステムクロックを測定するように指定するとちゃんと125MHzが得られました。これ位の高周波になると配線による波形歪みに注意しないとまともに計測できない恐れがあります。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 入力チャンネル数 | 2 |
| 入力結合 | DC and AC |
| 入力電圧範囲 | 0 to 3.3V |
| 入力インピーダンス | 1Mohm |
| 電圧レンジ(volts/div) | 1V, 0.5V, 0.2V, 0.1V, 50mV |
| 時間レンジ(time/div) | 10s, 5s, 2s, 1s, 0.5s, 0.2s, 0.1s, 50ms, 20ms, 10ms, 5ms, 2ms, 1ms, 500us, 200us, 120us (83ksps),
(DMA mode) 100us, 40us (250ksps), (1 channel) 20us (500ksps), 10us, 5us (2Msps) |
| トリガモード | Auto, Normal, Scan |
| トリガ極性 | rise/fall edge |
| トリガソース | CH1 or CH2 |
| トリガレベル調整 | 画面内位置を上下に調整 |
| 外部トリガ | No |
| 波形位置調整 | 上下に調整可能 |
| 波形反転表示 | Yes |
| 電圧測定表示 | Max, Average, Min (AC入力でもDCレベルを表示) |
| 周波数&Duty測定 | Yes |
| 電圧・周波数・Duty表示 | 表示・非表示切り替え |
| 文字表示 | 文字サイズ固定 |
| FFT | Yes |
| A/D変換分解能 | 12bits |
| サンプル数 | 160samples/channel (8bits/channel) 12bit/sampleを電圧レンジに応じて0から79にスケーリングして表示 |
| 表示解像度 | LCD: 160x80 dots, 水平10dots/div 垂直10dots/div WEB: 800x400 dots, 水平50dots/div 垂直50dots/div |
| 等価時間サンプリング | No |
| 設定状態EEPROM保存 | Yes |
| 操作方法 | 5方向スイッチ (Left, Right, Down, Up) |
| プリトリガー | No |
| ホールドオフ機能 | No |
| 時間軸拡大表示 | x2, x5, x10 sin(x)/x補間 |
| X-Y表示 | No |
| Pulse Generator | 7.48Hz to 62.5MHz 約3.3Vpp方形波 Duty ratio可変 |
| Function Generator | 8bit PWM DDS 0.01Hz to 9999.99Hz(実用は400Hzまで) 約3.3Vpp
23波形 sine, saw, revsaw, triangle, rectangle, 20% pulse, 10% pulse, 5% pulse, 1dot pulse, noise, gaussian noise, ECG, sinc5, sinc10, sinc20, sine 2 harmonic, sine 3 harmonic, chopped sine, sine abs, trapezoid, step2, step4, chainsaw |
| 周波数カウンタ | Yes 分解能1kHz 2kHzから125MHz程度まで |
| PCへのデータ転送 | No |
| SDカードへの波形保存 | No |
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